眼科専門医試験解説

第29回 眼科専門医認定試験 一般問題 過去問解説

第29回 眼科専門医認定試験 一般問題の解説を行います。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

問題については以下↓の眼科学会ホームページよりダウンロード出来ます。

専門医試験過去問(日本眼科学会HP)はこちらから

第29回臨床問題の解説はこちらから

目次

1問:神経節細胞と視細胞数

答えはe

片眼に対しての細胞数は以下の通りです。

  • 錐体細胞650万個
  • 杆体細胞1億2000万個
  • 視神経100万本。

視神経と神経節細胞は1:1なので
神経節細胞:視細胞= 100万:1億となり、比率は1:100になります。

僕は大体のイメージで以下のように覚えてます

  • 杆体細胞は日本の人口くらい
  • 錐体細胞は大都市周辺の県の人口くらい
  • 視神経は田舎の県の人口くらい

2問:内顆粒層に核が存在する細胞

答えはb, c

3問:加齢に伴う変化

答えはa

角膜内皮細胞は加齢とともに減少しますが、内皮が減った場合に周りの内皮が減った分を補おうとする際に、デスメ膜にposterior collagenous layer(PCL)と呼ばれるコラーゲン様の物質を産生します。
これによってデスメ膜は加齢とともに肥厚します。

ちなみに滴状角膜で、スペキュラマイクロスコープで内皮が黒く抜けて見えるのは内皮が無くなっているわけではなく、デスメ膜にコラーゲン様の物質が沈着することでデスメ膜が内皮側に盛り上がるので、その部分の内皮の写真が撮れないので黒く抜けて写ります。

加齢に伴い基本的には機能は衰え、組織は萎縮、減少していくものが多いのでデスメ膜のように増えるものは問われやすいので覚えておきましょう。

4問:交叉性支配の外眼筋

答えはa, d

交差するのは「上」とつくものと覚えておけば良いと思います。

滑車神経は中脳の背側から出て、中脳の真後ろで交差してから上斜筋へと向かいます。
交通事故などで頭部打撲が起こると、衝撃で中脳が滑車神経の交差部にぶつかることで両眼性の滑車神経麻痺となることがありますので重要です。

両眼性の滑車神経麻痺は第一眼位では上下写真が無いように見えることもあるので、病歴や症状から疑う必要があります。

5問:虹彩

答えはb

a, c, dは確実に正しいと思います。

eの選択肢に関しては眼科学第3版には瞳孔括約筋も散大筋も二重支配と記載がありますので、正しいと思います。

bの選択肢何に対して前面なのかが不明確ですが、虹彩実質に対して前面ではなく後面なので誤りということでよいかと思います。

6問:新生児の眼軸長

答えはc

新生児の眼軸は16.5mm程度です。
眼軸が短い分、角膜と水晶体の屈折力は強く、以下のようになっています。
 
角膜屈折力:51.2D
水晶体屈折力:34.4D

眼軸は成人より約7mm短く、1mmで約3D変化するので、21D分遠視になります。
その分角膜も水晶体も約10Dずつ程度屈折力が強くなっているのでバランスがとれていると考えると覚えやすいです。

7問:角膜実質のコラーゲン

答えはa

角膜実質は1型コラーゲンです。

8問:外眼筋の作用

答えはb

上下の直筋と斜筋の動きはややこしいので、間違えてしまった方はこちらの記事を参照頂ければと思います。

9問:涙腺

答えはb

主涙腺は上眼瞼挙筋の腱膜によって眼瞼部と眼窩部に分けられますので誤りです。

三叉神経によって眼に物理的な刺激などが感知されると副交感神経によって涙液が分泌されます。また、平常時にも涙液が分泌されており(基礎分泌)、これは交感神経の作用によります。

10問:ERG

答えはb

c波やERPはマイナーですが、少なくともa波、b波、OPsの由来については覚えておくべきだと思います。

11問:乳児の視力評価

答えはa, b

乳児が可能な検査

  • 選択視法(PL法)
  • 視運動性眼振(OKN)
  • 視覚誘発電位(VEP)

2歳頃から可能な検査

  • 絵指標・図形指標
  • 森実式ドットカード

3歳頃から可能な検査

  • 字ひとつ視力検査

12問:網膜対応異常

答えはb

主な網膜対応異常の検査の一覧を貼っておきます。
この表の左にいくほど、日常視に近い検査で、右にいくほど両眼分離度が大きくなります。

Bagolini線条試験位相差ハプロスコープ大型弱視鏡Worth4灯試験残像試験残像転送試験
両眼分離度
日常視との差
眼位との関係

13問:VDT作業者の配置前健康診断

答えはe

VDT作業者の配置前健康診断実施項目は以下の通りです。

  • 視力検査(遠見, 近見)
  • 屈折検査
  • 眼位検査
  • 調節機能検査

14問:医薬品副作用被害救済制度

答えはb

医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにも関わらず発生した副作用のせいで、入院が必要になったり日常生活が著しく制限されたり、死亡した場合に適応されます。

医薬品には通常処方される薬品だけでなく、薬局やドラッグストアで購入した医薬品も含まれます。
しかし抗がん剤は対象除外医薬品となっています。

※給付の例外

  • 法定予防接種によるもの。(別の救済制度の対象となるため)
    ちなみに任意予防接種は医薬品副作用被害救済制度の適応となりますので、子宮頸がんワクチンによる被害は対象となります。
  • 医薬品の製造業者の過失によって、損害賠償責任が明らかな場合。
  • 救命のためにやむを得ず使用料を超えて薬剤を使用したことによる健康被害。
  • 副作用による健康被害が軽症の場合(入院を要するほどでない、日常生活が著しく制限されるほどでない)。
  • 医薬品の適応外使用によるもの。

15問:コンタクトレンズ

答えはb

おしゃれ用でも規制対象となります。なんとなくで正解はできると思いますが、他の正しい選択肢についても読んでおいてください。

16問:ウイルス性結膜炎

答えはc, e

a. 陰圧室に収容するのは空気感染する疾患です。アデノウイルスは接触感染ですので必要ありません。

b. ウイルス性結膜炎は定点把握といって指定された医療機関だけが届出するものになっています。

c. その通りです。

d. 眼圧測定を中止する必要はありません。感染しないようにゴールドマン眼圧計の接触部分をディスポのものにするなど使いまわさないようにします。

e. アデノウイルスにアルコールは有効です。しかしアデノウイルスにはエンベロープが無くアルコールが効きにくいので手洗いや清拭による物理的除去も必要です。

17問

答えはe

a. 現在は連結匿名化と言わずに、患者情報を特定できる対応表のある匿名化と言うように表現します。これは適切に管理すれば問題ありません。

b. そのようなことはありません。

c. インフォームドアセントは、インフォームドコンセントが難しいと考えられる小児などにわかりやすい言葉で説明し、理解いただき納得を得ることを指します。

d. その場合でも倫理審査が必要となります。

e. その通りです。

18問:視覚障害の等級

答えはd

視力と視野障害の表を貼っておきます。
特に視力障害の6級、視野障害の5級など一番低い等級は狙われやすいのできちんと覚えておいてください。

19問:視覚特別支援学校

答えはe

こちらの資料によると最も多いのは未熟児網膜症のようです。
参考資料:http://www.human.tsukuba.ac.jp/~kakizawa/images/pdf/report.pdf

20問:指定難病

答えはc

眼科に関連しそうな指定難病を書き出しておきます。
なんとなくどんな疾患があるのかな、と眺めておけば試験で問われた際にも選べると思います。

  • 重症筋無力症
  • 多発性硬化症/視神経脊髄炎
  • 天疱瘡
  • 表皮水疱症
  • スィーブンスジョンソン
  • 高安動脈炎
  • 巨細胞性動脈炎
  • 悪性関節リウマチ
  • 全身性エリテマトーデス
  • シェーグレン症候群
  • ベーチェット病
  • サルコイドーシス
  • 網膜色素変性症
  • スタージウェーバー症候群
  • 結節性硬化症
  • 先天性魚鱗癬
  • 類天疱瘡
  • 眼皮膚白皮症
  • 弾性線維性仮性黄色腫
  • マルファン症候群
  • エーラスダンロース症候群
  • ウィルソン病
  • ウェルナー症候群
  • コケイン(コカイン)症候群
  • 強直性脊椎炎
  • IgG4関連疾患
  • 黄斑ジストロフィー
  • レーベル遺伝性視神経症
  • アッシャー症候群
  • 前眼部形成異常
  • 無虹彩症
  • 膠様滴状角膜ジストロフィー
  • CHARGE症候群
  • LCAT欠損症
  • タンジール病

21問:角膜移植ドナー

答えはe

eの選択肢の通り、親族への優先提供は可能です。

ドナーとなることが出来るのは次の疾患または状態を伴わないことが要件です。

  • 原因不明の死
  • 全身性の活動性感染症
  • HIV抗体, HTLV-1抗体, HBs抗体, HCV抗体などが陽性
  • クロイツフェルト・ヤコブ病およびその疑い、亜急性硬化性全脳炎、進行性多巣性白質脳症の遅発性ウイルス感染症、活動性ウイルス脳炎、原因不明の脳炎、進行性脳症、ライ(Reye)症候群、原因不明の中枢神経系疾患、眼内悪性腫瘍、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫などの悪性リンパ腫

次の疾患または状態を伴うドナーの場合は移植を行う医師に当該情報を提供する必要があります。

  • アルツハイマー病(クロイツフェルトヤコブ病との鑑別が必要なため)
  • 屈折矯正手術既往眼
  • 内眼手術既往眼
  • 虹彩炎などの内因性眼疾患
  • 梅毒反応陽性(陽性でも3日以上4℃で保存されたものならOK)

22問:HIV感染対策

答えはe

HIVは消毒薬や熱に対する抵抗性が弱く、70%エタノールや2%次亜塩素酸による消毒は有効です。

接触感染ではないので過度に手袋などを使用する必要はありません。

HIVは5類感染症の中でも全数把握になるので診断した場合には7日以内に届け出が必要です。

23問:頸動脈海綿静脈洞瘻

答えはb, d, e

頸動脈海綿静脈洞瘻では頸動脈から海綿静脈洞へ血液が流入することで、海綿静脈洞内の圧があがりⅢ, Ⅳ, Ⅴ, Ⅵ麻痺や上眼静脈の拡張、それに伴う眼圧上昇や結膜の血管拡張などをきたします。

頸動脈から直接海綿静脈洞へ流れるものを直接型といって圧も高くなりやすいので症状が強く、拍動性の眼球突出をみとめることもあります。

頸動脈から出た硬膜穿通枝から海綿静脈洞へと流れるものを間接型と呼びます。
直接型と比べて圧が低く、症状が軽度であったり慢性の経過を辿る場合があります。

間接型の場合は流入場所によっては上眼静脈の拡張や結膜血管拡張を伴わない場合もあります。

24問:小児の眼窩腫瘍

答えはb, c

小児に多い眼窩腫瘍としては以下のものが挙げられます

  • 皮様嚢腫
  • 表皮嚢腫
  • 毛細血管腫
  • リンパ管腫
  • 神経線維腫
  • 神経膠腫
  • 横紋筋肉腫
  • 緑色腫

25問:涙液の排出経路

答えはb

涙道の解剖についてはこちらの記事を参照ください。

26問:乳幼児の涙道疾患

答えはe

a. 1歳までに9割以上が自然軽快するので涙囊炎に注意しながらマッサージなどを併用しつつ経過観察します。

b. それだけでは診断できません。流涙があるときは先天緑内障を見逃さないように角膜系も見ておくべきだと思っています。

c. 9割以上が自然軽快です。

d. 鼻涙管開口部に多いと言われます。

e. その通りです。肺炎球菌やインフルエンザ桿菌は上気道や鼻粘膜に感染しやすく、涙囊炎だけでなく中耳炎や髄膜炎の起因菌としても多いです。

27問:偽眼瞼下垂

答えはb, d

動眼神経麻痺や重症筋無力症では上眼瞼挙筋の障害による眼瞼下垂がみられます。
また、コンタクト長期装用も眼瞼下垂の原因となります。

滑車神経麻痺では、軽度の上斜視となります。
患眼が上転することで相対的に瞼が下がっているように見えるので偽眼瞼下垂の原因となります。

眼瞼皮膚弛緩症では瞼の皮膚がたるむことで眼瞼下垂に見えますが、皮膚を持ち上げると上眼瞼縁は下垂していないので偽眼瞼下垂と呼ばれます。

28問:結膜常在菌

答えはa, d, e

バチルス以外は全て、正常の結膜嚢から検出される菌です。

黄色ぶどう球菌もよく検出されますが常在菌ではなく、通過菌といって常に住んでいるわけではなく、手指などを介してたまたまついているだけですので誤りです。

29問:アレルギー性結膜疾患

答えはa, b

春季カタルの巨大乳頭には好酸球の浸潤がみられます。
またタクロリムスやシクロスポリンなどの免疫抑制剤が有効です。

30問:ケラトメータ

答えはc

正常の角膜屈折力は約43Dなので低下していることから、LASIK術後が考えられます。

31問:角膜移植

答えはd, e

Meesmann角膜ジストロフィは上皮系の角膜ジストロフィで、治療はSPKに対する対症療法です。

PCVは内皮の異常ですが、基本的には非進行性で治療を要しません。

後部多形性角膜ジストロフィについてはこちらの記事を参照ください。

32問:コンタクトレンズ関連角膜感染症

答えはa, d

a. その通りです。緑膿菌は塩素消毒も効きにくく水道水中にも検出されるので、コンタクト関連感染症の主要な原因となります。

b. 2週間交換SCL装用者に多いです。

c. フサリアムは外傷に伴う感染症に多いです。

d. その通りです。アカントアメーバには抗真菌薬や消毒薬点眼、抗真菌薬の全身投与、角膜掻破の3者併用療法を行います。

e. グラム陰性桿菌が多いです。

33問:水痘帯状ヘルペス角膜炎

答えはe

a. 片眼性が多いです。
b. しばしば再燃します。
c. 内皮炎も起こします。
d. 表層に限局しません。
e. その通りです。ハッチンソン徴候といって、三叉神経第1枝の鼻毛要神経のVZV感染があるとみられます。

34問:角膜ジストロフィ

答えはa, e

小児期に異物感や羞明を伴う角膜ジストロフィーは再発性上皮びらんを起こす角膜ジストロフィーを考えるとよいと思います。

角膜ジストロフィについてはこちらのまとめを参照ください。

35問:Fuchs角膜内皮ジストロフィ

答えはa

欧米の白人に多く、日本では稀な疾患のです。
スペギュラで観察できるdark areaは内皮が脱落していると勘違いしがちですが、デスメ膜にコラーゲンが沈着することで盛り上がって、内皮が撮影できていないだけです。

Fuchs角膜内皮ジストロフィについての記事も参考にして頂ければと思います。

36問:無虹彩症

答えはb

無虹彩症については頻出ですので、こちらの診断基準は目を通しておくべきだと思います。ページ数も多くないので是非。
無虹彩症の診断基準:https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/aniridia.pdf

無虹彩症についてはガイドラインも出ているのですが、こちらは分量が多いので余力がある人だけで良いと思います。
無虹彩症のガイドライン:https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/aniridia_guideline.pdf

37問:膠様滴状角膜ジストロフィ

答えはe

膠様滴状角膜ジストロフィは上皮バリア機能の障害によって角膜にアミロイドが沈着してしまう疾患です。画像問題で血管侵入を伴う角膜ジストロフィをみたらこの疾患と考えてよいです。
アミロイド沈着抑制のためコンタクトレンズで治療します。

詳細は角膜ジストロフィについてのまとめ記事を参照ください。

38問:核白内障の危険因子

答えはc

糖尿病は後嚢下や皮質白内障の危険因子です。

その他については以下の通りです。

  • 核白内障
    強度近視
    硝子体術後
    喫煙
  • 皮質白内障
    紫外線
  • 前嚢下白内障
    アミオダロン
  • 後嚢下白内障
    糖尿病(後嚢下もしくは皮質)
    放射線
    筋緊張性ジストロフィ
    ステロイド
    ガス白内障
  • 前嚢後嚢白内障
    アトピー性皮膚炎

39問:眼内レンズ亜脱臼

答えはa, c, d

落屑症候群やアトピーはイメージしやすいと思います。

網膜色素変性症はチン氏帯脆弱や黄斑浮腫を合併することは専門医試験的にも覚えておくべきです。

40問:アトピー性白内障

答えはa, d, e

a. データを見つけられなかったのですが消去法的に答えにしました。
2021年アトピー性皮膚炎ガイドラインによると成人のアトピー有病率は男性5.4%、女性8.4%と女性が多いようです。
有病率は少ないものの目を擦る人は男性に多いので白内障は多いんですかね?文献等ご存知の方は共有いただけると助かります。

b. 両眼性です。

c. 前嚢後嚢型です。

d, e. その通りです。

41問:Lacquer crack

答えはc, d

a. 約5%です。
b. ブルッフ膜の断裂です。
c, d. その通りです。
e. FAGでは背景蛍光が裂け目から見えますので。window defectによる過蛍光です。

よく似た病態である網膜色素線条の記事も参考にしていただければと思います。

42問:ポリープ状脈絡膜血管症

答えはc

黄斑下出血を見たときにはPCVや網膜細動脈瘤破裂を考える必要があります。

PCVについてはこちらの記事を参照ください。

43問:多発性後極部網膜色素上皮症(MPPE)

答えはa, b

MPPEはCSCがたくさん出来るような疾患というイメージで、ステロイドで増悪します。

FAGでの逆転現象はMPPEではなくAPMPPEで特徴的な所見です。

MPPEAPMPPEは名前が似ていてややこしいですが、全然違う疾患ですのでまとめ記事も参考にしてこの機会に覚えていただければと思います。

44問:嚢胞状黄斑浮腫(CME)

答えはc

嚢胞様黄斑浮腫は、網膜外層と内層の間に水が溜まることで起こります。
ここは網膜血管と脈絡膜血管の栄養のちょうど境目にあたり、網膜血管の炎症や虚血で末梢から水が漏れるような時にみられます。

a. 白内障術後は炎症でCMEが起こるのでジクロードなどのNSAIDs点眼を使います。

b. サルコイドーシスでは静脈炎が起こるのでCMEも起こります。

c. CRAOでは動脈が詰まるので血流が届かなくなるので、水が溜まりませんのでこれが答えです。

d. mactelでもCMEを認めます。

e. エイベリス点眼はCMEを起こすのでIOL眼や無水晶体眼に禁忌なのは有名ですが、PG点眼もリスクがあるので慎重投与になっています。

45問:網膜色素上皮層の波打ち

答えはa, c

低眼圧黄斑症では脈絡膜が波打っているのが特徴的な所見です。

原田病でも脈絡膜の波打ち所見が出ることがあります。
典型的な漿液性剥離が出ていない症例で視神経乳頭腫脹だけだと、視神経炎?うっ血乳頭?などと誤診されることがあります。
その際に脈絡膜の波打った所見があれば一気に視神経疾患ではなく原田病の可能性が高まりますので覚えておくと良いと思います。

46問:網膜血管腫状増殖

答えはc, e

他のAMDでは脈絡膜からの新生血管によって水が溜まるのでSRFやPEDが主なのに対して、RAPでは新生血管と網膜血管の吻合が起こりますのでCMEを呈します。

RAPについてはこちらの記事も参照していただければと思います。

47問:網膜色素上皮裂孔

答えはb, d

網膜色素上皮裂孔は滲出性網膜剥離において、PEDの急激な増大や光凝固後の収縮性瘢痕化が原因と言われています。

色素上皮に穴が空いた状態なので、FAG.ではwindow defectによる過蛍光となります。
また、自発蛍光では網膜色素上皮に溜まったリポフスチンが光って見えるので、色素上皮に穴が空いているとそこは低蛍光となります。

裂孔部の網膜色素上皮の増殖については、こちらの文献で記載がありました。
参考文献:https://www.scielo.br/j/abo/a/cDCnXVpN96LHCmHnpQg4nCK/?lang=en

48問:軟性白斑

答えはa

軟性白斑というのは虚血が起こることで、神経線維の浮腫が起こったものです。
ですので軟性白斑は神経線維層に存在します。

特に視神経に近いところでは神経線維層が厚いので軟性白斑がよく見られます。

49問:糖尿病黄斑浮腫

答えはa

a. 注射後割とすぐに浮腫は引いてくれるので正しいように思います。

b. 硝子体手術は黄斑部の牽引の強い症例などでよい適応です。

c. 硝子体手術無効例であったとしても抗VEGF薬が効く可能性はあります。

d. 光凝固は輪状硬性白斑の中央のMAなどに対して有効ですが、抗VEGF薬抵抗例に著効するとは言えません。

e. トリアムシノロンアセトニド硝子体内注射は有効です。
DMEではVEGF以外のサイトカインの関与の可能性もあり、抗VEGF薬無効例でもトリアムシノロンアセトニドが有効なこともあります。

50問:未熟児網膜症

答えはe

レーザー適応については頻出ですので覚えておいてください。

  • zoneⅠ, any stage ROP with plus disease
  • zoneⅠ, stage3 ROP without plus disease
  • zoneⅡ, stage2 or 3 ROP with plus disease

未熟児網膜症についてはこちらの記事も参照ください。

51問:急性網膜壊死(ARN)

答えはc, e

ARNは典型例では、免疫正常患者の片眼性ぶどう膜炎です。

良く似た疾患で免疫不全患者の両眼にみられるのはPORN(進行性網膜外層壊死)と呼ばれます。

原因はVZVが最も多く、次がHSVです。

ARNについてのまとめ記事も参照ください。

52問:眼筋型重症筋無力症

答えはd

プリズム順応試験は斜視角の定量に有用ですが、MGの診断には関係ありません。

他の選択肢は重要な所見で、特にアイステストは感度が良いので眼瞼下垂のある症例にはやっておくと良いです。

ちなみに、アイステストでは保冷材などで眼瞼を冷やしますが、痛みが出るのでタオルでくるむ場合があると思いますが感度が下がってしまいます。

疑わしい場合には日を変えて、保冷剤を直接眼瞼にあててしっかり冷やすことで診断につながることがあります。

53問:透析患者にみられる眼合併症

答えはb, c, e

長期透析の眼合併症としては、静脈閉塞や角膜へのカルシウム沈着、脈絡膜循環障害などが報告されています。

また網膜動静脈の狭小化に伴う網膜萎縮が広汎に起こると視神経萎縮もみられるようになります。

ちなみに腎性網膜症や高血圧網膜症などがみられることが多く、非裂孔原性網膜剥離は合併します。

透析医会雑誌のpdfを共有しておきます(サイズが大きいので開く際は注意してください)。
303ページ〜の長期透析患者の視覚障害という項目がよくまとまっていましたので参考にしていただければと思います。
参考pdf:http://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/18-3.pdf

54問:細胞と組織像

答えはd, e

サルコイドーシスや原田病は肉芽種性ぶどう膜炎の代表的疾患で、霰粒腫は脂腺に肉芽腫を形成する疾患です。

ぶどう膜炎総論記事を参照いただきたいのですが、肉芽腫性ぶどう膜炎ではマクロファージとリンパ球による炎症が主体で、これらは塊をつくる傾向にあります。

霰粒腫の肉芽腫でも同様にマクロファージやリンパ球が原因となります。

ちなみに類上皮細胞や多核巨細胞はマクロファージ由来です。

55問:Behcet病

答えはb

ベーチェット病の主症状は以下の4つです。

  • ぶどう膜炎
  • 皮膚症状
  • 口内炎
  • 外陰部潰瘍

関節炎がみられることもありますが主症状ではありません。

ベーチェット病についてはこちらのまとめも参照ください。

56問:赤緑検査

答えはa

可色光では赤が最も波長が長く、紫が最も短いです。波長が長ければ長いほど後方に焦点を結びます。ですので赤が奥、緑が手前になります。

近視の人について考えてみると

赤がよく見える場合は網膜より手前に像が結んでいる状態なので、低矯正です。
網膜より奥に像が結んでいる場合は緑がくっきり見え、過矯正となります。

57問:水晶体の加齢性変化

答えはc, e

a. 厚さは分厚くなっていきます。ですので狭隅角患者の白内障が進行すると緑内障発作リスクが上がります。

b. 濁りがきつくなるのでその分散乱も増えます

c. 硬くなるので弾性は減ります。

d. 高次収差は増えます。

e. 水晶体は厚くなるに伴い凸のカーブも急になります。
カーブが急になると曲率半径は小さくなります。

58問:屈折

答えはb

この問題は初見では無理だと思います笑。
答えは以下の計算式で求めることができます。

屈折度=円柱度数 × (sinα)^2
αは円柱レンズ度数

上記をもとに計算すると以下のようになります。
屈折度=-3.0 × (1/2)^2=-0.75

参考文献:https://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/article-abstract/614478

59問:屈折

答えはa

まず知っておくべきこととして
点光源を見たときに、直乱視の場合は後焦線では縦方向、倒乱視の場合は後焦線では横方向の光が見えます。

視力検査の際は後焦線が網膜上にくるようにレンズを合わせますので、直乱視では縦にブレてみえて、倒乱視では横にブレてみえます。

この症例は直乱視で縦にブレているので、Landolt環が12時か6時のとき、つまり切れ目が縦になっている場合に判別しやすいです。

60問:乳児内斜視

答えはa, d

乳児内斜視の特徴を貼っておきます。このあたりは専門医試験必須知識ですので知らなかった項目は覚えておいてください。

  • 生後6ヶ月未満の発症
  • 30⊿以上の大きな斜視角
  • 中枢神経系に異常なし(乳児の斜視の原因は中枢神経系の異常が多いので除外必要)
  • 交代固視が可能
  • 外転制限を伴うこともある
  • 過剰な内転運動を認めることがある
  • 斜筋異常や交代制上斜位(DVD)、潜伏眼振を合併しやすい

61問:弱視

答えはb

a. 太田母斑と弱視は関係ありません。

b. その通りです。

c. 普通の眼鏡で良いです。二重焦点眼鏡を使用するのは非屈折性調節性内斜視です。

d. 健眼にアトロピンを使って調節力を麻痺させることで、近くは弱視眼のほうがみやすい状況をつくる方法です。

e. 小児の場合は度数の差が大きくても眼鏡で矯正を可能なことが多いです。

62問:斜視と術式

答えはc, d

a. A型斜視に対しては内直筋上方移動、外直筋下方移動が正しいです。

b. 輻輳痙攣には手術をせず、調節麻痺薬で改善します。

c. 右滑車神経麻痺では右眼の上斜視と外方回旋が起こります。
左眼の下直筋を後転することで左眼も上斜視となり、第一眼位での複視を改善することができます。

d. 右眼が内斜視となりますので、左眼の内直筋を後転することで左眼を外斜視にして、第一眼位での複視をなくします。

e. Faden術は眼振の手術です。

63問:斜視と所見の組み合わせ

答えはb

a. 間欠性外斜視でも複視を自覚することはあります。

b. その通りです。

c. 内眼角贅皮は偽斜視の原因となります。

d. 調節性内斜視の中でも、屈折矯正でも内斜視が残ってしまうものを部分調節性内斜視と呼びます。

e. 眼球後退はDuane症候群のことです。

64問:色覚

答えはb

先天色覚異常で見えにくい色の組み合わせを以下に貼ります。
赤と黒、赤と緑、桃色と青はいずれも判別しにくい組み合わせになります。

  • 赤と緑(黒板に赤のチョークで書いた字が読みにくい)
  • 赤と黒(黒と赤のボールペンの違いがわかりにくい)
  • 青と紫(ぷよぷよの青と紫がわかりにくい)
  • ピンクとグレー
  • 水色とピンク

65問:先天色覚異常の程度判定

答えはa, c, e

石原式や標準色覚検査は異常があるか無いかのスクリーニングはできますが、程度判定はできません。

アノマロスコープは色覚異常のタイプや、異常3色覚なのか2色覚なのかの確定診断に用います。これを程度判定と言っていいのか微妙ですが消去法で正解にしました。

色相配列検査はパネルD-15のことで、これが最も用いられる程度判定の検査です。
passできれば正常色覚の1/10以上の分別能があるという判断となります。

ランタンテストは負荷をかけた状態で信号の色を間違えないかを調べるための検査で職業適正などに用いられます。

66問:脳梗塞後の眼球運動障害

答えはa

これは典型的なMLF症候群です。
水平眼球運動障害を見た時には輻輳の確認が重要です。
MLFやPPRFは橋にあるので、そこの障害で引き起こされます。

ちなみに脳梗塞によるMLF症候群は非常に小さい梗塞像ですのでMRIでわからないこともあり、自然軽快もあるので原因不明の内転障害で片付けられてしまうことが多いように思います。

内転障害がある場合、内直筋や動眼神経の障害があれば輻輳も出来ませんが、より上位の水平眼球運動の中枢であるMLFやPPRFの障害では輻輳可能です。
これは輻輳の中枢は別のところにあるからです。

水平眼球運動の中枢についてこちらの記事も参照ください。

67問:抗AQP4抗体陽性視神経炎

答えはb, e

a. 高齢女性に多いです。

b. 非常に再発しやすいことが問題となります。ステロイドを慎重に漸減しますが、再発時には免疫抑制剤などを検討します。
海外のデータではアザチオプリンが有効そうですが、日本では適応がありません。
近年IL-6阻害薬であるサトラリズマブが適応となったのでそろそろ試験でも狙われるかもしれません。

c. 眼球運動時痛も伴います。

d. ステロイドに抵抗性なことが多いので、血漿交換やIVIgを行います。

e. その通りです。特に甲状腺関連の自己抗体の陽性率が高いです。

68問:回旋斜視の診断

答えはa, d

大型弱視鏡では鏡筒を回旋させることで回旋角度を定量することができます。

無散瞳眼底カメラでは視神経と黄斑の位置関係を見る事で回旋を判定します。

その他の試験としてはマドックス杆も回旋の診断には有用です。

Hess赤緑試験でもなんとなく回旋の有無を疑うことはできるものの、診断に有用と言われると違うと思います。

69問:眼窩底骨折

答えはc

上顎骨にある眼窩下溝という隙間を眼窩下神経が通りますので、眼窩底骨折ではこれが障害されます。

下眼瞼や鼻翼、上唇を支配しますのでそれらにシビレがでます。

70問:緑内障の視野進行評価

答えはe

イベント解析は経時的変化をみるのではなく、最初に測定したベースラインデータと比較することで進行評価を行います。

71問:開放隅角緑内障の危険因子

答えはd

過去問で出された緑内障リスクは以下の通りです。

  • 高眼圧
  • 大きなC/D比(リムが薄い)
  • 薄い中心角膜厚
  • 近視
  • 高齢
  • 乳頭出血(NTGに多い)
  • 低血圧
  • 低い眼灌流圧(平均血圧-眼圧)
  • 心疾患
  • 低い角膜ヒステレシス

72問:線維柱体切開術

答えはb, d

a. 過剰濾過に注意するのは線維柱帯切除術です。

b. その通りです。

c. 前房出血は自然消退しますので経過観察します。

d. 小児緑内障ではこちらの術式が第一選択となることが多いです。

e. 角膜混濁があっても実施できます。

73問:緑内障を疑う視神経乳頭所見

答えはe

緑内障を疑う乳頭所見は以下の通りです。

  • 垂直C/D比>0.7
  • 水平C/D比>0.2
  • R/D比<0.1

74問:発達緑内障の原因

答えはa, b, d, e

これはc以外全て正解だと思います。
緑内障ガイドラインでも先天眼形成異常に関連した緑内障、先天全身疾患に関連した緑内障にこれらの疾患も挙げられています。

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf

75問:眼圧下降効果のある交感神経受容体

答えはb

アイファガンはα2刺激薬です。

76問:隅角の解剖

答えはc

隅角所見は角膜側から
デスメ膜の終点部分がSchwalbe線
そのすぐ下に線維柱帯
その下に強膜岬と呼ばれる白いライン
一番下が毛様体帯

となります。
隅角鏡では強膜岬の白いラインを目印にするとどこまで見えているか判断しやすいです。

77問:Purtscher網膜症

答えはd

Purtscher網膜症は交通事故のハンドル外傷が典型的で、肋骨の骨折などによる脂肪塞栓が原因で起こると言われています。
眼底に綿花状白斑や斑状出血が観察されます。

a. 眼球外傷ではなく骨折で起こります。

b. まれではありません。

c. チアノーゼは特に関係ないかと思います。

d. その通りです。

e. もう少し長いと思います。数ヶ月以内に改善するようです。

78問:虹彩ルベオーシスの原因

答えはa, c

糖尿病や網膜静脈閉塞症がルベオーシスの原因として頻度が高いことはご存知かと思います。

放射線照射では、糖尿病網膜症と同様に血管内皮障害が起こるので、糖尿病網膜症と同じような所見となります。

79問:鈍的眼外傷にみられる網膜裂孔

答えはb, c

過去問で出されていた網膜剥離のタイプとリスク因子のまとめを載せておきます。

  • 強度近視:黄斑円孔網膜剥離
  • 若年発症:萎縮性円孔による網膜剥離
  • 鈍的外傷:鋸状縁断裂による網膜剥離
  • 脈絡膜欠損:脈絡膜欠損内や辺縁に沿った網膜剥離
  • アトピー性皮膚炎:毛様体上皮裂孔による網膜剥離

80問:鈍的眼外傷で眼球破裂を疑わせる所見

答えはa

他の選択肢も全て起こり得ますが、この中では低眼圧が眼球破裂を最も疑わせる所見になります。

他にはエコーやCTで眼球の形状が歪になっていないかなどを観察します。

特に外眼筋付着部の強膜は薄いので裂けやすく、一見外から見ても裂けているのがわかりにくいことがあるので注意が必要です。

疑わしい時には手術時に、斜視手術の要領で外眼筋を一度切って、付着部の裂け目を確認することもあります。

81問:加齢黄斑変性に対する抗VEGF薬の硝子体内注射

答えはc

a. 抗菌薬の内服に関するエビデンスはありません。なんなら抗菌薬の点眼に関するエビデンスも無いようですが、日本の添付文書には注射前後3日間の抗菌薬点眼をするように書かれていますので基本的にはそれに従います。

b. 禁忌ではありませんが、リスクがありますので説明する必要があります。

c. その通りです。飛沫による菌の侵入リスクがあります。

d. 輪部から3.5〜4mmが推奨されています。

e. 特にそのようなわけではありません。

82問:薬物と副作用の組み合わせ

答えは?

これは全て正しい気がするのですが、もしご意見あれば問い合わせ欄からご教示いただけますと幸いです。

a. インフリキシマブでは5〜10%で投与時に発熱や発疹などが、0.5%にアナフィラキシー様反応を起こすことがあるので要注意です。

b. コルヒチンには催奇形性がありますので妊婦や子作り中には使用しません。また、男性でも子作り中は控えたほうが良いです。

c. シクロスポリンは中毒域と有効血中濃度が近いので、濃度をモニタリングしながら調整する必要があります。
濃度が上がってしまうと腎毒性があります。

d. タクロリムスの添付文書に、眼圧上昇が起こることがあるので緑内障患者では定期的な眼圧測定が推奨されています。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054599

e. MTXによる間質性肺炎は起こります。関節リウマチによって間質性肺炎が起こることもありますが、MTX使用中の場合はMTX肺炎の可能性も考える必要があります。

83問:薬物副作用

答えは?

これも解無しな気がします。
パクリタキセル、インターフェロン、タモキシフェン、ヒドロキシクロロキンはいずれも網膜異常をきたす薬剤として非常に有名です。

シスプラチンはどちらかというと眼副作用としては視神経症が有名ですが網膜障害もあるようです。
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18888/ga.0000001391

84問:角膜内皮移植の合併症

答えはe

内皮移植では移植片をくっつけるために前房内に空気を入れます。
その空気によって瞳孔ブロックが起こることがあります。

85問:眼内灌流液高と眼圧

答えはc

眼圧の計算は以下の計算式で求められます。

灌流液高700mm ÷ 水銀の比重13.55 = 51.47

簡易的にはボトル高(cm)に0.7をかけると眼圧(mmHg)になりますのでこちらを覚えて置くほうがよいかもしれません。

86問:ヨウ素系消毒薬

答えはa, c

ヨウ素とポリビニルピロリドンを水に溶かしたものがポピドンヨードです。

0.001%以上で殺菌効果を示し、濃度が高いほど角膜障害が強いです。

濃度が低いほど安定性が悪く、ヨウ素が解離しやすいので強い殺菌効果があります。

濃度が高いほど安定性が高くなりますが、殺菌効果は弱くなります。
安定性が高いとゆっくりヨウ素が解離するので持続時間は長くなります。

そして真菌やウイルスにも効果があります。

87問:術前のワルファリンカリウム中止期間

答えはc

ワルファリンは抗凝固薬なので凝固因子の合成を阻害します。
血中からなくなれば効果も無くなり、なくなるのに3〜5日かかります。

一方で抗血小板薬のアスピリンは血小板中のCOXを不可逆的にアセチル化することでトロンボキサンA2の合成を阻害します。
つまり、アスピリンを飲んだ時に身体にある血小板は全て凝集能が低下します。
ですので飲んだ時の血小板が全て入れ替わるまで待つ必要があるので血小板の寿命である7〜10日前に中止する必要があります。

88問:術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)

答えはe

フェニレフリンはネオシネジンのことです。

89問:IOL度数計算

答えはc

眼内レンズの度数決定の基本的なSRK式では以下の式で計算します。これは基本ですのでなんとなくでも知っておくべきです。
式を見るとわかりますが、IOLパワーを本来よりも大きく計算してしまうと近視化します。

IOLパワー=A定数-(2.5×眼軸)-(0.9×平均角膜屈折力)

a. 嚢外固定する時はレンズ度数を少し弱めると思います。つまり弱めなければ近視化してしまうということです。

b. 眼軸を短く測定するとIOLパワーが大きくなるので近視化します。

c. 角膜屈折力を大きく測定するとIOLパワーは小さくなるので遠視化します。

d. 水晶体は手術でとってしまうので屈折力は関係ありません。

e. A定数を大きくするとIOLパワーも大きくなるので近視化します。

90問:点眼麻酔

答えはb

a. 角膜の知覚は三叉神経がつかさどっていますので、それを麻痺させる効果があります。

b. 虹彩には効きません。

c. その通りです。

d. その通りです。

e. 最もよく使われるベノキシールはエステル型の麻酔薬で、エステル型はアナフィラキシー症状を起こしやすいです。キシロカインはエステル型ではなくアミド型です。

91問:眼瞼痙攣の治療

答えは全て?

これはいずれも正解だと思います。
抗不安薬や睡眠導入剤の長期内服が眼瞼けいれんの原因となりますが、治療にも使われることがあります。

ガイドラインに記載されている治療法としては以下のものがあります。

  • 遮光メガネ
    クラッチメガネ
  • 抗けいれん薬
    抗コリン薬
    抗不安薬
    抗痙縮薬
    SSRI
  • ボツリヌス毒素
  • 眼瞼皮膚切除
    眼輪筋切除術(広範囲切除術および部 分切除術)
    Müller 筋縫縮術
    前頭筋吊上げ術(frontal sling/suspension)
    皺眉筋切除術
    顔面神経切断術

ガイドラインはこちら
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/keiren.pdf

92問:緑内障手術

答えはa, c

a. ステロイド緑内障では線維柱帯の抵抗が増えているので、そこを切開する線維柱帯切開術は良い適応です。

b. 濾過胞感染は線維柱帯切除術に起こります。

c. その通りです。様々な術式が緑内障にはありますが、最も低い期待眼圧になるのは線維柱帯切除術です。

d. 線維柱帯切開術で眼圧下降が不十分なら切除術を行います。

e. 濾過胞が閉じてしまった症例ではニードリングが有効です。

93問:眼内空気注入

答えはe

a. 空気は非膨張性です。

b. SF6は20%です。

c. C3F8は12%です。

d. 眼内に気体が入る手術での笑気麻酔は眼圧上昇リスクがありますので推奨されません。

e. 有水晶体のほうが半減期は長いとの報告がありますので正しいです。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2719578/

94問:縫合糸

答えはb

角膜裂傷や移植では10-0ナイロンを使用していると思います。

ちなみにポリエステルはマーシリンのことでバックル縫着などに使用します。

ポリプロピレンはIOL縫着で使用します。

95問:周辺虹彩切除

答えはd

a. 虹彩の操作をする時は点眼ではなくテノン嚢下や球後麻酔が望ましいです。

b. 虹彩をわざと脱出させるため、教科書的には自己閉鎖創は望ましくありません。

c. 縮瞳薬の使用は行いません。

d. その通りです。

e. 1mm後方である必要はありません。強角膜部から切開します。

96問:眼部放射線治療

答えはa

放射線による障害は基本的に分化の速いところがダメージを受けやすいです。
ですので上皮を供給する輪部や涙液を作る涙腺などはやられやすいです。

表皮もターンオーバーが早く、体表ということもあり、早期から皮膚炎が起こります。

網膜症の本態は血管内皮細胞の障害で、糖尿病網膜症と同じような病態です。

視神経症は網膜症よりも発症しにくいです。

97問:眼窩内容除去術

答えはa

a. 眼窩内容除去術の適応です。他には脈絡膜悪性黒色腫の眼球外進展や、涙腺腺様嚢胞癌などが適応になります。

b. 化学療法や放射線治療が適応ですかね?

c. 眼球摘出と、術後化学療法が適応となります。

d. 膿瘍のドレナージを行うと思いますが、眼窩内容除去はやりすぎだと思います。

e. 強膜にとどまっているのであれば眼球摘出が適応でよいかと思います。眼球外へ進展した場合は眼窩内容除去術の適応となります。

98問:裂孔原性網膜剥離の手術

答えはc, d

a. 瘢痕化した網膜は萎縮して薄くなります。

b. オイルはほぼ表面張力がありません。

c. その通りです。渦静脈の位置などに注意してバックルを巻く必要があります。

d. その通りです。

e. fish mouthはバックルで原因裂孔の周辺側は乗っているのに、後極側が乗っていない状態です。円周バックルで生じやすいです。

99問:増殖糖尿病網膜症の硝子体手術

答えはe

前部硝子体線維血管増殖による出血は数週間以降から見られますので誤りです。
他の選択肢は全て正しいので、併せて押さえておくと良いと思います。

100問:網膜剥離の手術

答えはd, e

バックルでは眼内を触りませんので、眼内炎や白内障、新裂孔などのリスクは低いです。

逆に外側からスポンジを巻きつけるので脈絡膜循環不全による脈絡膜剥離や、眼球運動障害などが起こるリスクがあります。

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