神経眼科

水平眼球運動障害について

こんにちは!眼科医ぐちょぽいです!

本日は水平眼球運動について勉強していこうと思います。

眼球運動障害には大きく分けて
核上性末梢性(核性, 核下性)があります。

核上性は中枢から眼球運動に関与する神経核(Ⅲ, Ⅳ, Ⅵ)に至るまでの障害、末梢性は神経核から筋に至るまでの障害で引き起こされます。 今回はこの核上性のうちの水平眼球運動についてまとめます。

核上性の水平眼球運動の経路

まず右を向くための神経の経路を書きました。

最初は左脳の大脳皮質から、右側のPPRFと呼ばれる水平眼球運動の中枢に信号が送られます。
右PPRFからは、右外転神経核へ信号が送られ、そこから右眼の外直筋へ信号が送られて筋収縮が起きます。
また、右外転神経核から反対側の左動眼神経へ信号が送られ、左眼の内直筋が収縮します。
ここで右外転神経から左動眼神経へいく経路を左MLFと呼びます。

ここまでが基本となりますのでこれをしっかり理解して覚える必要があります。

特にMLFが左右どっちかわからなくなりがちなので、
収縮する内直筋と同じ側のMLF
収縮する外直筋と同じ側のPPRF
が反応すると覚えておくと良いと思います。

ここを理解したら、1箇所ずつどこが障害されたらどのような異常が起こるか解説していきます。

左MLFの障害

右を向く際に左眼の内転障害のみを認めます。左を向く際には異常はありません。

つまり急性発症の複視で片眼の内転障害のみを認める場合にはMLFの障害(橋の脳幹梗塞)を疑う必要があります。

この時の他の鑑別点としては、右方視時の内転は出来ないけれども輻輳は出来るというのが重要です。
この場合内転のための内直筋も動眼神経も異常が無く、輻輳は別の経路から動眼神経へ信号が伝わるのでMLFの単独障害では問題なく輻輳が出来ます。

右PPRFの障害

右を向こうとしても右眼外転、左眼内転ができなくなります。
左は問題なく両眼向くことができます。
この場合でもMLF障害と同様に輻輳は可能です。

one and a half症候群

次に広範な脳梗塞で右PPRFと右MLFまで巻き込んで障害された場合です。
右を向く際に右外直筋も左内直筋も動きません。
左を向く際に左外直筋は収縮しますが、右内直筋は収縮しません。

つまり二つの眼の水平眼球運動のうち、一つと半分が障害されているためone and a half症候群と呼ばれます。
この場合も輻輳は基本的にできます。

左大脳皮質の障害

あとは番外編です
左の中大脳動脈梗塞のように左大脳皮質の広範な障害が起こった場合には右PPRF障害と同様に右方視が出来なくなります。

これまで説明した疾患でも同様なのですが、右方視をする経路の麻痺が起こると正面視力でも両眼球は左方視に寄ります。

広範な脳梗塞や脳出血では病側を睨む共同偏視と国試の時に覚えたと思いますが、このような理屈ではないかと言われています。

ちなみに左大脳のてんかんでは逆に眼球は両眼とも右方視となります。
てんかんというのは脳の異常発火ですので左大脳のてんかんでは右PPRFが異常に刺激されるのでこのような現象が起こります。

この辺は神経眼科の先生は好きなので狙われる可能性があるのと、水平眼球運動障害の患者が外来へ来た際には必ず輻輳のチェックもするクセをつけると良いかと思います。

それでは本日はこの辺で。

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