眼科オススメ書籍紹介

【初心者向け厳選13冊】眼科研修医にオススメの本【視能訓練士、看護師、薬剤師にも】

眼科に興味を持った、眼科に入局したけれど、これまで国家試験や研修医での経験が眼科では通用せず、初めは勉強するのが非常に難しく感じると思います。

また、視能訓練士や眼科に配属された看護師さんも眼科の病気については初めはとっつきにくいと思います。

こういった方のためにおすすめの本を紹介します。

本記事の内容

・眼科の勉強を始める全ての人にオススメの本【6冊】

・新人眼科医にオススメの本【7冊】

・眼科の勉強について

筆者の情報

・眼科医歴7年ほど

・今の知識で一般眼科外来で困る事はほぼありません

・これまで読んだ眼科の本は100冊以上

上記の通りです。
専門は感染症やぶどう膜炎ですが、一般眼科外来もやっています。

眼科の勉強を始める全ての人にオススメの本【6冊】

初めのうちは研修医でやってきたことと眼科医としての業務の違いに戸惑うことだらけだと思います。
その頃に自分が読んでいて知識の土台をつけるのに良かった本を厳選しました。

まずはここで紹介している初学者向けの本を読んでおいて、あとは実際の臨床現場で出会った疾患についてその都度深堀りしていけば知識が増えていくと思います。

また、視能訓練士や看護師、薬剤師として眼科の業務に関わる場合にも眼科疾患の基礎知識を得るのに役立つと思います。

まず最初に読むべき本

眼科医1年目の教科書 上巻:外眼部・前眼部・緑内障編

いきなり自分の本で恐縮ですが、「自分が眼科医になりたての頃に読みたかった本」をコンセプトに書きあげた電子書籍です。数日で読める分量ですので、はじめの1冊としてお読みいただければ嬉しいです。
現在は上巻だけですが、今後後眼部疾患や神経眼科などについて書かれた書籍を執筆予定です。

眼科医向けですが、視能訓練士や薬剤師、眼科看護師など眼科に関わる全ての職業の方におすすめです!
文字がメインで写真などはありませんので、実際の症例画像などは以下に紹介する本をお読みいただければ幸いです。
kindle unlimitedに登録されている方は無料で読めます。

眼科疾患ビジュアルブック

眼科の各疾患について写真付きでわかりやすく解説された一冊です。
発売が2013年と少し古いですが、文字数もそこまで多くないのですべて通読するのも比較的楽でした。
眼科の知識が全く無くても問題なく読めます。
次に解説する病気がみえるでも良いのですが、そちらは少し分量が多いのでまず1冊通読するとしたらこちらがおすすめです。

病気がみえる 眼科

眼科の勉強を始めるにあたりとりあえず持っておいて間違いないと思います。
2019年発売のため比較的新しい知識も載っていますし、図やイラストが非常に見やすいです。
非常に幅広い知識をカバーしているので、ある程度分量が多く、1冊通読するのはしんどいのが難点です。
個人的にはビジュアルブックとやさしくわかる眼の診かたの2冊を通読して、この本を辞書代わりに使用する使い方がオススメです。
ただ、辞書といっても専門書と比べると浅く広くの知識ですので眼科に慣れてくればレベルアップした本が必要になります。

やさしくわかる眼の診かた

こちらの本は元々内科医をしていて眼科へと転科した先生が書かれたものです。内科から眼科へ転科する際の戸惑いをもとに書かれているので、研修医から眼科へ入局して右も左もわからない時の1冊目として最適です。
内容としては眼科を2〜3年経験してから読み返すと当たり前の知識が多いですが、逆にこの本に書かれている内容は眼科医にとって必須知識ばかりです。
医師向けですが予備知識が無くても読めるので視能訓練士や看護師さんにもオススメです。

ポケットに入れておくべき本

眼科検査Note

眼科は他の科と違って検査が非常に多いのが特徴です。
初めてみる検査に戸惑うことも多いと思いますのでその都度こちらの本で検査について簡単に勉強しながら慣れていくと良いと思います。
ポケットに入るサイズですので僕は初めの1年は常に持ち歩いていました。

眼科点眼薬Note

上記の検査noteの目薬版です。
眼科には点眼薬がたくさんあり、働きはじめはわからない薬だらけだと思います。
こちらも常に持ち歩いて、患者さんが使用している目薬や上級医が処方していた目薬をその都度調べるのに最適です。
点眼薬の写真つきで効果や使用法についてまとまっています。

新人眼科医にオススメの本【7冊】

診察に役立つ教科書

眼科診察クローズアップ

研修医の頃は眼科の診察に慣れることが初めの第一歩です。
眼科における診察方法を学ぶチュートリアルのような1冊です。
なんとなく先輩に教えられるがまま、見様見真似で慣れるのではなく、キチンと系統立てて書かれたこのような本を読んでいるかどうかでその後の成長にも影響するように感じます。

細隙灯顕微鏡スキルアップ

診察の中でも、最初の頃特に僕が戸惑ったのは細隙灯検査でした。
個人的な感想としては眼底検査についてはある程度数をこなしていくしか無いと思いますが、細隙灯検査については数をこなすだけでなくしっかりとした知識をもった上で診察を繰り返していかなければ成長出来ないように感じます。
ある程度診察になれてきた私自身でも、角膜専門家がみた場合と自分がみた場合で細隙灯検査所見で得られる情報量に大きな差があると感じています。
早い段階できちんと細隙灯検査についての土台を身に着けておけば、その後患者さんの診察を重ねた際の成長スピードが変わってきます。

一般眼科外来の入門書

点眼薬の選び方 2版

眼科外来では様々な点眼を使用します。
こちらの本では眼科外来で出会うよくある疾患において、どのように点眼を使うかということが書かれています。
各疾患についても写真つきで解説されており、特にドライアイや薬剤性角膜障害などが非常にわかりやすいです。
割と薄くて値段も安いうえに電子版もついているので外来入門に持っておいて間違いないです。

余力があれば読んでほしい本

視能学

これは視能訓練士さんが国家試験のために使用する教科書です。
眼科専門医でいうところの眼科学のようなものです。
眼科における検査や光学の基礎、眼科医が苦手な斜視や弱視についての勉強の入門としては眼科医が読んでも非常に勉強になる内容ばかりです。
私自身も斜視や弱視は視能訓練士さんに頼りきりでしたが、この本を通読してからは自分で考えることが出来るようになりはじめました。

ちなみに疾患解説のところは眼科医向けの本と比べると詳しくは載っていないので読まなくてもよいと思います。

2022年1月に第3版が出版されたので最新版の購入をおすすめします。

病気がみえる 脳・神経

学生の時にすでに購入している人も多いのではないでしょうか?
眼科の診療では意外と神経内科や脳外科疾患の患者さんを診る機会も多いです。
特に複視の診察は慣れないと難しいので、こちらの本で眼球運動を司る脳神経の走行や神経核の位置、眼球運動の中枢やそれらが障害される疾患について学びなおしておくと神経眼科の本を読むときにも理解が捗るはずです。
ちなみに病気がみえるシリーズの中でも特にこの脳・神経は名作だと個人的に感じています。

アプリで持っておいて欲しい本

こちらで紹介する2冊の本は書籍媒体で購入するよりもM2PLUSのアプリで購入して、スマートフォンに入れておくのをオススメします。

今日の治療薬

初期研修医の頃から使用していた先生も多いと思います。
眼科医として働きだしても入院患者の内服薬を調べる機会などは多々ありますので一冊あれば便利です。
M2PLUSのアプリ版で購入しておけばスマートフォンから薬の検索をすることが出来るので書籍で調べるよりも便利だと思います。

サンフォード感染症治療ガイド

内服や点滴で使用する抗菌薬は薬のDIを読んでも、有効な投与量よりも少ない量で書かれていることが多いです。
適切に抗菌薬を使用するためにはこちらの書籍に書いてある量で適切な効果が得られます。
こちらもアプリ版で持っていれば薬剤名を検索するだけで、腎機能に応じた投与量をすぐに調べられるので便利です。

眼科の勉強方法

1年目の勉強について

研修医から眼科医になる際はこれまで勉強してきた知識が全く通用しなくて戸惑う先生方が多いと思います。実際私自身もそうでした。

眼科の難しいところとして特殊な検査や診察スキルが必要とされるので、いくら本を読んで知識をつけてもある程度の経験値が伴ってこないと実力を出すことが出来ず、勉強していない1年先輩の方がうまく眼科業務を出来ているということが起こり得ます。
(イメージ的には野球の座学をめちゃくちゃやった初心者より、ルールもよく分かっていないけど練習を1年してきた人の方が試合は出来るという感じ)

なのでいくら勉強しても1年目は出来なくて当然です。
しかし、書籍の紹介でも書きましたが勉強した上で日々の業務を行う人と、なんとなく先輩に聞きながら日々の業務をこなすだけの人では同じ患者さんを診察しても、得られる経験値が全く違います。

読書というのは経験値2倍アイテムのようなものですので、早めに使っておいて2〜3年経験を積み重ねられれば周りとは大きな差が出てきているはずです。

2年目以降の勉強について

100冊以上の眼科の本を読んできた私の経験としては、完全の初学者のうちは広く浅く書いてあるような入門用の本がオススメなのですが、その後一歩進む際には一つの分野について深く書いてある本に取り組んで行くほうが良いように思います。

例えば広く浅くの本を3冊読むよりも、緑内障についてだけ書かれた本を1冊読み込んで、次は糖尿病網膜症、次は加齢黄斑変性症といった形で勉強するのが良いと思います。

実際各疾患についてあまりわかってないうちに、眼底アトラスのような本を読んでも結局頭に入っていない気がします。
しかし、様々な疾患についての各論を深く勉強したあとに眼底アトラスのような本を読めば、知識の整理や画像と疾患を結びつけるトレーニングにもなり効果的だと感じます。

ですので本記事で紹介した本を読まれたあととしては以下のような流れを提案致します(あくまで僕がやってきた勉強法ですので、完全にこの通りでなく、興味を持った領域があればその本能のままに勉強したほうが効率的です)。

  1. 各分野について深く書かれた本を読む。また、その間に臨床で出会った症例については適宜調べて勉強。
  2. ある程度各分野について知識を深められたら再度広く書かれた本を読む(アトラスなど)。
  3. 雑誌や論文で最新の情報もアップデート

あとは上記の①〜③のサイクルを回しながら、適宜自分が出会った疾患について調べていけば良いと思います。