網膜疾患

未熟児網膜症(ROP)について

未熟児網膜症について

網膜血管は胎生14週頃より視神経乳頭部から発生を始め、最周辺部に達して成長が完了するのは出生前(浅層血管:第30週、深層血管:第38〜40週)です。
血管がまだ伸びていない無灌流領域からVEGFが放出され、その刺激で血管が成長していきます。

未熟児網膜症では過剰なVEGFにより病的血管新生や増殖が起こり、増殖膜の形成や網膜剥離を引き起こします。

未熟児網膜症スクリーニングは34週未満、1800g以下が対象となっています。
眼底検査は出生時在胎26週未満なら修正29週から、26週以上なら生後3週から行います。

未熟児網膜症(ROP)の分類

未熟児網膜症には厚生省分類国際分類があります。
疾患の活動期を見るのは国際分類が適しており、瘢痕期をみるには厚生省分類の瘢痕期分類が使用されています。
なのでまず覚えるのは国際分類だと思います。

国際分類では以下の3つが重要です

  1. Zone(どこまで病変が及んでいるか)
  2. Stage(新生血管や増殖性変化がどの程度か)
  3. plus disease

Zoneについて

視神経乳頭を中心として3つに分けられます。
乳頭から黄斑の距離の2倍を半径とした円内をZoneⅠ
乳頭から鼻側鋸状縁までを半径とした円内がZoneⅡ
それよりも外側がZoneⅢです。

Stage分類について

Stage1

細く白い線がみられます

Retinopathy of premature” by Kusamura N can be reused under the CC 0 license

stage2

白い線が幅と高さを増して網膜から盛り上がってきます。
ポップコーンと呼ばれる孤立性の新生血管がみられることもあります。

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stage3

stage2で見られはじめた新生血管が癒合して硝子体中へ立ち上がってくる段階です。
新生血管の周囲に線維性結合組織も作られはじめます。

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stage4

増殖組織による牽引で網膜剥離が起こった状態です。
黄斑部を含まない場合はstage4A
黄斑部を含むとstage4Bとなります。

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stage5

網膜全剥離です。

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plus disease

上記のステージ分類に加えてplus diseaseの存在も重要です。

未熟児網膜症の重症度が増してくると後極部の静脈拡張や動脈蛇行が起こってきます。これらのことを悪化徴候としてplus diseaseと呼びます。

定義は網膜の2象限以上に血管の拡張と蛇行を認めることです。

  1. Zone
  2. Stage
  3. plus disease

以上の3つの評価をすることでROPの活動期と治療適応を考慮します。特に専門医試験で狙われやすい所は光凝固の適応だと思います。

治療基準

現在使われている治療基準は下記の3つで、これらを満たすとPC適応です。

  1. zoneⅠ, any stage ROP with plus disease
  2. zoneⅠ, stage3 ROP without plus disease
  3. zoneⅡ, stage2 or 3 ROP with plus disease

aggressive posterior ROP(APROP)

これままとめてきたROPの特殊型としてaggressive posterior ROP(APROP)と呼ばれるものもあります。
厚生省分類ではⅡ型ROPと呼ばれます。

通常の未熟児網膜症では周辺部の病変がstage1から2, 3と徐々に悪くなりますが、APROPは後極部に発症して多くはzoneⅠにみられ、平坦な新生血管を認める場合があります。
また、plus diseaseが著明で血管蛇行は全周に見られ、網膜内で血管同士のシャントが作られます。
そして、stage1から順に悪くなるのではなく、治療をしなければ急速にstage5へと進行します。

治療は診断した時点で光凝固が望ましいですが、早期手術の有用性や抗VEGF薬などが検討されています。

典型例では血管蛇行が全ての象限で著明で、シャント血管を認めます。
このAPROPの概念は海外に先駆けて日本でⅡ型ROPとして提唱されていた疾患概念です。

厚生省の瘢痕期分類

  • 1度:周辺性変化
    眼底後極部には著変がなく、周辺部に軽度の瘢痕性変化(色素沈着、網脈絡膜萎縮、境界線瘢痕など)のみられるもので大部分は視力正常。
  • 2度:牽引乳頭
    弱度:黄斑部に変化のないもの
    中等度:黄斑偏位を伴うもの
    強度:黄斑部に器質的変化を伴うもの
  • 3度:束状網膜剥離
    網膜襞形成
  • 4度:部分的後部水晶体線維増殖
  • 5度:完全後部水晶体線維増殖

参考書籍

未熟児網膜症については2018年10月に発売されたこちらの書籍が最もわかりやすいと思います。
画像が豊富で最新の治療についてもよくまとまっています。

どのような分野の勉強でも言えることなのですが、広く浅く載っているような薄い本のほうがとっつきやすいと思いますが、一つの疾患について深く掘り下げているこのような本を読むほうが知識の定着は良いように感じます。

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