視能訓練士国家試験解説

視能訓練士国家試験 第50回 午後 過去問解説

こんにちは!ぐちょぽいです!

午前に引き続き、午後の部の2020年の視能訓練士国家試験の過去問の解説をしていこうと思います。

国家試験過去問と解答はこちらから御覧ください。

第50回午前の解説はこちら。

単純な暗記系の問題は解説記載しておりません。
間違い箇所やもう少し詳しく解説して欲しい箇所などありましたら、問い合わせ欄もしくは私のTwitterへリプライもしくはDMで気軽に相談ください!

眼球運動の診かた、考えかた
間違えてしまった方はこちらの記事をお読みください。
丸暗記でなく、眼球運動を一度理解出来れば一生忘れません。

房水の産生は交感神経や副交感神経の作用、体位などによって大きく変動します。夜は身体を休めるために血圧なども低くなり、房水の産生も減少します。
房水を産生するのは毛様体。
流出路障害により眼圧上昇による緑内障を発症します。
主に経線維柱帯流出路から流出します。
眼圧の正常値は10〜21mmHgです。

男性に多いと言われたらX染色体劣性遺伝形式を考えます。
ざっくりですが、遺伝性の網膜疾患は常染色体劣性が多く、遺伝性黄斑疾患は常染色体優性遺伝が多い印象です。
X染色体劣性遺伝の疾患は少ないので覚えておくようにしましょう。
先天網膜分離症もX染色体劣性遺伝です。

12脳神経のうち3〜12番の神経核は下記のような分布になっています。
私は脳幹の上から2個、4個、4個と覚えています。
中脳:Ⅲ、Ⅳ(動眼、滑車)
橋:Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ、Ⅷ(三叉、外転、顔面、聴)
延髄:Ⅸ、Ⅹ、Ⅺ、Ⅻ(舌咽、迷走、副、舌下)

頭蓋内圧亢進に伴い頭痛やうっ血乳頭が起こることは有名です。
うっ血乳頭が長期になると視神経萎縮と視力障害が出てくることがあります。
また、外転神経は脳神経の中でも最も長く頭蓋内圧亢進により圧迫を受けやすいので脳腫瘍などでしばしば見られます。

角膜は表面から
上皮
Bowman膜
実質
Descemet膜
内皮
の順です。

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選択肢の1, 2は不正乱視について。
最小錯乱円は2つの焦線の中央に出来る、縦横のぶれが同じところを言います。ですので焦線の間隔のことをそう呼ぶわけではありません。

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C面の度数がマイナスで記載されている時はS面の度数が後焦線、後焦線の位置からC面の度数分近視よりにずらしたところが前焦線の位置になります(プラスの場合は逆)。
この問題では後焦線の位置が網膜より+1.25Dですので網膜より後方です。
前焦線の位置は+1.25-2.50=-1.25Dですので、網膜より1.25D前方です。
スタームの間隔は前焦線と後焦線の間隔なので2.50Dです。
等価球面度数はC面の度数を2で割ってS面に足して求めます。
-2.50/2+1.25=0 なので0Dとなります。
+1.25Dの矯正を行うと前焦線と後焦線がどちらも網膜より前方側にずれるので、前焦線は-2.5D, 後前線は0Dで網膜上にきます。

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基本的に屈折力が強くなったり眼軸が長くなると近視化します。

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この問題を解くためには2つのことを知っておく必要があります。

①ランドルト環のサイズ
視力1.0の指標の大きさは切れ目の幅は1.5mm、直径は7.5mm, 指標自体の幅も1.5mm
視力0.5の指標は1.0の指標の2倍
視力0.2の指標は5倍
視力0.1の指標は10倍です

②網膜像の大きさを求める公式(公式の意味を知りたい方はこちら)
網膜像の大きさ=指標の大きさ(mm)/指標までの距離(mm)×17

以上のことから視力0.5指標の切れ目の幅は1.5mm×2なので3mmとなり、5m先の距離での網膜像での大きさは以下の通りとなります。

網膜像の大きさ=1.5×2/5000×17=0.0102(mm)
ですので答えは10μmです。

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甲状腺眼症では下直筋が最も障害を受けやすいです。
神経障害と違って筋肉の伸展障害が起こるので上転障害となります。

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周辺視野で増大するのは桿体細胞の機能です。

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可視光の波長が400〜800nmというのを覚えておきましょう。
それよりも波長が長いものが赤外線、短いものが紫外線です。

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外転神経麻痺では内斜視になり、同側性複視を自覚します。
Parksの3step法を用いるのは上斜筋麻痺。
麻痺眼で固視させると内斜視が増大します。

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同年午前の部でもうっ血乳頭の問題が出ていて、解説で書きましたがMariotte盲点の拡大を認めます。

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正常の視神経では40Hz程度の速さの点滅を自覚することができます。
点滅ということはそれだけ連続する光刺激に反応出来ているということで、視神経が脱髄などにより障害を受けると神経伝達のスピードも落ちるので速い点滅を知覚することが出来なくなります。
神経の評価ですので白内障などは関係ありません。

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網膜対応の検査の中で両眼分離効果が高い検査は残像検査と大型弱視鏡です。その他の検査は斜視の影響を受けます。
網膜対応検査の中でもBagolini線条検査は最も日常の見え方に近い状態で検査をすることが出来るのが利点です。
調節指標などは用いず、立体視の評価もしません。

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眼球回旋も観察難しそうですが、細隙灯顕微鏡とレンズを使えば眼底の観察も出来るので回旋を把握することが出来ます。

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角膜知覚は三叉神経です。ヘルペスウイルスは三叉神経に潜んでいるので角膜炎では知覚が低下します。
角膜上皮は1週間で入れ替わります。
角膜実質は約90%です。
角膜には血管が無いので栄養は涙や房水から栄養されます。

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Adie症候群は緊張性に片眼が散瞳(アジの開きと覚える)
有機リン中毒はpin point pupilといって著名な縮瞳が特徴です。他にも橋出血でも同様の縮瞳を認めます。
Fisher症候群では動眼神経麻痺により散瞳を来します。
Horner症候群は交感神経がやられるため散瞳します。

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倒像鏡検査では上下左右が反転します。
頭で考えるのは難しいので、まずは普通の眼底を自分で問題用紙に書いて見て180度回転させたものが答えです。

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指標提示時間は3秒。
視力0.01未満は指数弁、手動弁、光覚弁。
未就学児では字ひとつ視力を用います。
指標輝度は500±125 rlx。ちなみに室内の明るさは50 rlx。

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検影法は50cmの距離でやることが多いです。
50cmで検査した場合には正視の場合+2Dレンズで中和します。
検査距離によってこの度数は変わります。
ちなみに眼鏡の上から検影法をするのはオーバースキアといってメガネが過矯正になっていないかを調べるのに有用です。

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仮性同色表はスクリーニング。
パネルD-15は重症度判定。
アノマロスコープが確定診断です。

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EMGは筋電図といって、筋肉が収縮する信号を拾う検査です。

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選択肢の疾患では全て眼球突出を認めます。
拍動性眼球突出と言われれば内頚動脈海綿静脈洞瘻とイコールで覚えておいてOKです。

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Adie症候群について
Argyll Robertson 瞳孔について
Horner症候群について
上記まとめ記事をお読みください。

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日本人の中途失明は
1位:緑内障
2位:糖尿病網膜症
3位:網膜色素変性症
4位:加齢黄斑変性症
ちなみに世界では
1位:白内障
2位:緑内障
3位:加齢黄斑変性症

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交代性上斜位は、両眼を交互に遮閉すると、遮閉された眼が上転するという斜位です。
原因は不明で、乳児内斜視など様々な斜視に合併します。
遮蔽眼は上転だけでなく外方回旋も伴います。
しばしば遮蔽眼に潜伏眼振も伴います。

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飛沫感染というのはツバとともに飛んでいくので肺や喉(咽頭)に感染するものですので咽頭結膜熱です。
巨大乳頭結膜炎はコンタクトユーザーに起こるアレルギー。
他は接触感染です。

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角膜実質や内皮に障害が及んだ場合に実質混濁や内皮障害を残す可能性があります。
表層角膜炎は上皮の障害なので障害は残しません。
上皮は1週間で入れ替わるくらいターンオーバーが激しいので多少障害を受けても新しい細胞が入れ替わります。

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先天白内障の原因としては風疹があります。
片眼性の場合には白内障が無い方の眼ばかりを使うことで、脳が白内障のある方の眼は必要ないと判断してしまうことが原因で視力予後が悪くなります。
両眼性の場合はそういった抑制はありませんので片眼性よりも視力予後は良好です。
手術はできるだけ早いほうがいいですし、屈折矯正もすぐに開始します。

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原田病ではメラノサイトという色素細胞に対する免疫応答が起こります。メラノサイトが皮膚や髪の毛の色素にも関連するので白髪や白斑を認めます。
実は浦島太郎は原田病だったという説があります。
「助けた亀に連れられて(視力障害), 龍宮城で宴に興じ(髄膜炎による意識障害), 地上に帰ってくると(視力の回復), 玉手箱を開けておじいさんになる(皮膚の白斑、脱毛、白髪)」
実際の臨床でも白斑などが出てくるのは急性期ではなく、治療後の慢性期ですので浦島太郎の物語をイメージすると時間経過も覚えられます。

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ERGの読み方
ERGについてはこちらをお読みください。
疾患ごとに丸暗記するのではなく、原理を理解することで一生忘れない知識が身につきます。

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飛蚊症は眼の中に何かが舞った時に起こります。
生理的飛蚊症の原因は後部硝子体剥離です。
その他の原因としては網膜裂孔や硝子体出血なども挙げられます。

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先天性鼻涙管閉塞では流涙や眼脂が主な症状です。
涙が停滞することで細菌がたまり、白血球が攻撃するので膿となります。白血球でも細菌を殺しきれなくなると涙嚢炎や蜂窩織炎へと波及していきます。

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眼瞼下垂の原因は上眼瞼挙筋という瞼を上げる筋肉がゆるんでしまうことにあります。
筋肉がゆるむ原因としては、神経の障害、神経と筋肉を繋ぐ所の障害、筋肉自体の障害の3つに分けられる。
神経の障害:動眼神経麻痺やHorner症候群
神経と筋肉の間の障害:重症筋無力症
筋肉の障害:甲状腺眼症や加齢、Kerns-Sayreなどのミトコンドリア異常。

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滑車神経麻痺では患眼が外方回旋し、上転します。
それにより仮像は下方に出現し、内回しずれを自覚します。
眼が外方に回るということは、像は内側に回ります。
垂直偏位が増加するのはBielshowsky検査のように患眼を内方回旋させようとしたときです。

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回旋偏位の定量には回旋図形を用います。
固視眼に緑の円指標、他眼に赤の十字指標を見せます。

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交差性複視となるのは基本的に外斜視となる時です。
輻輳臨界点よりも指標が近い時も、輻輳が足りないことで交差性複視となります。
反対に注視点より遠方だと開散が足りないので同側性複視となります。

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偏心固視とは中心窩で固視していない状況全てを指します。
偏心固視の中でも、特に中心窩以外の場所で固視が安定しているような状況を特に偏心視と呼び、黄斑疾患などで認めます。

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実際にミスが起こった場合にはインシデントではなくアクシデントです。

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心因性視能障害では自覚的な検査で様々な異常所見を認めますが、特に視力障害の訴えが多いです。
逆に他覚的検査(ERGやOCTなど)では基本的に正常です。

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融像感覚圏内のAやBの位置では立体視があり、複視は生じません。
融像感覚圏より近方では輻輳が足りないため交差性複視、遠方では開散が足りないため同側性複視を自覚します。

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cover testだけでは正位か斜視かどうかしかわかりません。
斜位はuncoverも行うことで調べることができます。
Bielschowskyで頭部傾斜で上下筋の麻痺を調べる。という書き方はやや不親切な印象で、正確には上下斜筋の麻痺を調べるですが、coverテストが明らかに間違いなので答えは3番です。

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内方回旋偏位を改善するには外方回旋を強化する必要があります。
具体的には上斜筋を弱めるか下斜筋を強める、もしくは下直筋耳側移動などを行います。
Faden法は内直筋後方逢着です。

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異常3色覚や間欠性外斜視では基本的に弱視になりません。
遠視性不同視では遠視のきつい方の眼が弱視となります。

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眼科の検査結果を見る時はまずどちらが左右の眼の検査かを把握する必要があります。
患者の自覚的所見を見る検査(視野検査やHESS赤緑試験など)では患者から見たまま右に右眼の所見、左に左眼の所見となります。
逆に検査者から見た検査(この検影法やOCTなど)は検査者から見たまま左に右眼の所見、右に左眼の所見となります。

C面は基本的にマイナスで記載するので、プラス寄りの方をS面に記載します。そしてもう一方の数値からS面の値を引いたものがC面の値になります。また乱視の軸は弱主経線を記載するのでS面に記載した方を軸に記載します。
この問題では右眼はS面に+4.00D, C面は-2.00-4.00=-6.00D, 軸はS面に記載した+4.00Dの方ですので30°となります。
同様に左眼はS面は+3.25D, C面は-1.50D-3.25D=-4.75D, 軸は160°です。

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内眼角贅皮はダウン症などによく見られ、パッと見内斜視に見えるのですがHirschbergを行うと正位ということが確認出来ます。
斜視のように見えるので偽斜視ともいいます。

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先天眼振は先天黄斑低形成や先天白内障、先天網膜色素変性症などの疾患で認めます。
前提眼振の中には外耳道に冷水や温水を入れることで起きる温度眼振だけでなく、メニエール病や前提神経炎などでみられる病的眼振が含まれます。
解離性眼振は両眼の運動の方向や振幅、周期性などが異なる眼振のことで、MLF症候群で健眼の外転時にみられます。MLF症候群の原因には脳梗塞や多発性硬化症などがあります。
黒内障性眼振は視力不良性眼振とも呼ばれ、先天白内障や1色覚、眼白子症などで見られます。
輻輳後退眼振は上を見た際に4直筋が同時に収縮するので眼が後退しつつも内転するので輻輳しながら眼が凹むように見える眼振で、中脳背側症候群(Parinaud症候群)で見られます。原因としては松果体腫瘍があります。
選択肢の輻輳交代眼振が漢字が間違っており、他の選択肢は合っているのでこれが答えだと思いますが、公式でも答えは空白になっていました。

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Millard-Gubler症候群は別名橋下部腹側症候群と呼ばれ、病側の外転神経麻痺と顔面神経麻痺、反対側の片麻痺を来す疾患です。
Horner症候群では斜視にはなりません。

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筋電図が出ている時点でDuane症候群の可能性が高いです。
この症例は左眼のDuane症候群Ⅰ型です。
Duane症候群では神経の異常支配が起こります。
外直筋には本来外転神経が伸びていますが、Ⅰ型では動眼神経が外直筋を異常支配しています。
ですので外転をすることが出来ず、内転は出来るのですが、内転時に外直筋も収縮することで眼が後退します。
筋電図では右眼は正常ですが、左眼の内転時に内直筋だけでなく外直筋も反応していることがわかります。

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眼底写真と視野は上下左右が逆になります。
視神経乳頭は中央よりも鼻側にあるのでマリオット盲点の位置は耳側になります。
このOCT写真は左眼の写真で、下方にNFLDを伴う緑内障眼です。
ハンフリー結果からはマリオット盲点が左側にあり、かつ上方の視野欠損を認めるものが答えですのでそれらを満たすのは1番となります。
2番は左右が反転していれば正解、3番は上下左右が反転していれば正解、5番は上下反転していれば正解です。

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症例は錐体ジストロフィです。
典型的には20歳までに視力低下や中心暗点、色覚異常、羞明などを発症します。
徐々に両眼性に症状が進行します。
眼底写真では典型的にはBull’s eyeを認めています。眼底自発蛍光を撮るとさらにわかりやすいです。
OCT所見ではエリプソイドゾーンの欠損及び網膜の菲薄化を認めています。
ERGの錐体応答はflatになっています。
ちなみに桿体応答は正常で、フラッシュ応答ではa波、b波両方の減弱を認めます。

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外斜視があり、片眼遮蔽と比べて両眼開放の場合に遠方視にも関わらず調節がかかっていますので、輻輳による調節が起こっていると考えられます。
脳幹部の虚血は関係ありません。
近見時に輻輳が足りないので交差性複視を自覚します。
両眼で見ようとすると輻輳により調節がかかり、縮瞳します。

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典型的なcherry-red-spotの写真です。
網膜中心動脈閉塞により網膜全体が虚血により白くなっていますが、黄斑部だけは脈絡膜からの栄養で保たれることでこのように中心窩だけが赤く見えます。

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急性緑内障発作の写真です。
浅前房と著名な角膜浮腫を認めます。
写真からはわかりにくいですが緑内障発作の際には中等度散瞳が起こった状態で瞳孔は固定し、対光反射も消失します。
また毛様充血及び結膜充血を認めます。
前房出血を認めるのは外傷など、角膜後面沈着物はぶどう膜炎などで認めます。

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外傷後の複視や眼球運動時痛を見たときにはまず、眼窩底骨折を疑います。眼窩の中では底が最も折れやすく、骨折したあとに下直筋がひっかかることにより上転障害を認めます。
眼窩部CT検査で診断します。

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外傷後の左滑車神経麻痺です。
滑車神経は脳幹の真後ろで左右交差して前方へのびているので外傷による頭部打撲が起こると脳幹により交差部が圧迫されて滑車神経麻痺が起こります。この症例では左のみですが、交通外傷などの高エネルギーの外傷では両眼性の滑車神経麻痺を起こすこともあります。
この症例では左上斜視になっていること、眼底写真で左眼が外方回旋していることから左のみの滑車神経麻痺を認めます。
左眼が外方回旋することにより、指標は内方回旋して見えるので3番が答えです。

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左Duane症候群Ⅰ型です。
66番の解説をお読みください。

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