視能訓練士国家試験解説

視能訓練士国家試験 第50回 午前 過去問解説

視能訓練士国家試験 第50回の解説について

こんにちは!眼科医ぐちょぽいです!

今回は2020年の視能訓練士国家試験 午前問題の過去問解説をしていこうと思います。

第50回午後の解説はこちら。

単純な暗記系の問題は解説記載しておりません。
間違い箇所やもう少し詳しく解説して欲しい箇所などありましたら、問い合わせ欄もしくは私のTwitterへリプライもしくはDMで気軽に相談ください!

視能訓練士国家試験 第50回問題

国家試験過去問と解答はこちらから御覧ください。

視能訓練士国家試験 第50回 午前 過去問解説

1問

発生の覚え方
発生系の問題の覚え方についてはこちらの記事にまとめています。

2問

X染色体とY染色体は性染色体です。

3問

4問

5問

梅毒、結核、淋病は細菌性。
トキソプラズマは原虫。
帯状疱疹はウイルスです。

ウイルスの中でもヘルペスウイルスは大切なので覚えておきましょう。
ヘルペスウイルスは1〜8まで型があり特に1〜4は様々な眼科疾患の原因となります。

1型、単純ヘルペスウイルス(唇に出来るヘルペスの原因)
2型、単純ヘルペスウイルス(性器ヘルペスの原因)
3型、水痘・帯状疱疹ウイルス
4型、サイトメガロウイルス
5型、EBウイルス(伝染性単核球症の原因)
6型、突発性発疹の原因
7型、突発性発疹の原因
8型、カポジ肉腫の原因

6問

油層:マイボーム腺
水層:涙腺
ムチン:杯細胞

7問

視覚伝導路は視神経から視交叉、視索、外側膝状体、視放線とつながっています。
視索の途中で対光反射に関する経路が枝分かれして、視蓋前域からEW核へと至ります。

8問

自動視野計の10-2は中心視野の測定に使用します。
周辺はエスターマンテストを使用します。

9問

1歳でつかまり立ちが出来て、1語文を話す。
2歳で2語文を話す。
3歳で○を書ける、三輪車に乗れる。
4歳で□を書ける。
5歳で△を書ける。

10問

感染には3種類の感染の仕方があり
1、接触感染(直接触ることにより感染する)
2、飛沫感染(感染者が咳などをすることでツバが飛び、それを吸った人が感染する。インフルエンザなど)
3,空気感染(空気中を漂って飛沫感染よりさらに広範囲に広がる)

流行性角結膜炎の原因のアデノウイルスは接触感染ですので手洗いや手袋が有効です。マスクは飛沫感染予防、空調管理は空気感染予防。
アデノウイルスはアルコールが効かないことも合わせて覚えておきましょう。
ちなみに空気感染は通常のマスクでは予防出来ず、N95という特殊なマスクを使います。
空気感染するのは結核、帯状疱疹、麻疹で「けだま」ふわふわ空気感染と語呂合わせで覚えます。

11問

ハイディンガーのブラシは偏光している可視光を見たときにヒトの視野の中心部にかすかに現れる束状の模様のことです。
偏心固視の矯正訓練にこの現象を利用します。
コージナトールはこの訓練機器の一つです。

12問

応答潜時が長いということは一番最後に起こる現象を答える問題です。
近見反応の順番については「輻輳について」の一番最後にまとめていますのでお読みください。

13問

いずれも斜視や眼球運動障害を起こす疾患が選択肢に並んでいますが、視力が発達して両眼視を獲得以降に眼球運動障害や斜視が出現した場合に複視を自覚します。
乳児内斜視などの生後すぐに発症する疾患では抑制により複視は出ません。

14問

斜筋は常に直筋より下にあると覚えましょう。
上直筋より眼球側に上斜筋があり、下斜筋よりも下直筋が眼球側です。
まつわり距離に関しては下斜筋が最も長く、4直筋の中では外直筋が最も長いです。
4直筋の角膜輪部から付着部までの距離は内、下、外、上の順に5→6→7→8mmとなっています。右眼で考えると内直筋から時計回りと覚えます。

15問

マーカスガン現象は口を開けると瞼も上がってしまうという現象です。
口を開ける神経が一部眼を開ける神経とつながってしまうという神経の異常支配が原因で起こる現象です。
視神経炎でみられるマーカスガン瞳孔と混同しないように気をつけてください。

16問

瞳孔径は明るさだけでなく、年齢や性別、交感神経や副交感神経の影響で変動します。興奮したり痛み刺激があると散瞳しますし、リラックスすると縮瞳します。

17問

18問

19問

調節が起こる時は引っ張られていた水晶体がゆるむことで分厚くなります。
非調節時よりも球に近づくため前面のカーブもきつくなることから、前面角膜曲率半径は小さくなります。
ちなみに水晶体の後方移動は散瞳時に起こる反応です。

20問

21問

30cmの近見時の交差性の生理的複視というのは、輻輳が足りていないことによって起こります。
ですので眼前に近づけば近づくほど必要な輻輳量は大きくなるので最も近い場合に複像間距離は最も大きくなります。

22問

写真のメガネは上が遠用度数、下は近用度数が加入されています。
遠用度数で近くを見ようとすると内斜視となり、近用度数で近くを見ようとしても内斜視となっていません。
つまり調節に伴って内斜視が誘発されていますので高AC/A比による内斜視ですので答えは非屈折性調節性内斜視です。
輻輳過多型なら近用度数で近くを見た場合には内斜視となるはずです。

23問

眼精疲労の原因に輻輳不全が関係することがあります。
間欠性外斜視は遠見時と近見時の眼位の差により、開散過多型、基礎型、輻輳不全型に分けられます。
MLF症候群等の核上性の眼球運動障害では、眼球運動の経路と輻輳の経路が違うため輻輳では内転することが出来ますが、動眼神経麻痺などの核下性では輻輳でも内転することは出来ません。外転神経麻痺は内転には関与しないので輻輳は関係ないのでこれが答えですね。
「水平眼球運動について」の記事でMLFやPPRF等についてさらに詳しい解説を書いています。
眼振阻止症候群は内転位となると眼振が止まります。

24問

網膜色素変性症は平坦型が有名ですが減弱型や陰性型となることもあるので注意です。
もう少し詳しい内容は「ERGの読み方」の記事を参照ください。

25問

26問

27問

非接触式の眼圧計では実際の眼圧ではなく、空気の圧に対して角膜がどれだけ凹むかを見て簡易的に眼圧を測定しています。
角膜が薄いと通常よりも凹みやすいので実際の眼圧よりも低く測定されます。
知覚は関係ありません。

28問

タイポスコープはロービジョングッズの一つです。

29問

この選択肢の中で斜視の状態に関係なく両眼の中心窩へ投影する検査は残像検査になります。

30問

偏心固視では基本的に他覚的斜視角の異常ですので、角膜反射法が正解です。
大型弱視鏡での他覚的斜視角の測定の場合は正解です。

31問

32問

間違いの選択肢は全て超音波眼軸測定についての解説です。
光学式との違いについて対比して覚えておきましょう。

33問

AC/A比は「1D調節するとどれくらい調節性輻輳が起こるか」とざっくり覚えておくと良いと思います。

34問

虚血性視神経症ではこの問題のような水平反盲が特徴的です。

35問

パネルD-15では横断線が2本以上ある場合に、フェイルとし、その横断線がどの角度かにより色覚異常の型を判定します。
1本の横断線のみの場合は基本的に再検査が必要ですが、この問題のように7から15に飛んでそのまま並べるタイプは正常色覚者にも見られるのでパスで構いません。

36問

隅角鏡で観察出来るのは基本的に虹彩よりも前房側だけです。
鋸状縁は虹彩よりも網膜側にあるので見えません。

37問

38問

39問

40問

うっ血乳頭は、脳腫瘍などによって頭蓋内の圧が上がることによって乳頭が腫脹した状態です。ですので基本的に両眼性です。
視野障害はマリオット盲点の拡大程度です。
求心性視野狭窄は緑内障や網膜色素変性症などの進行性疾患で真ん中の視野だけを残す状態。
相対性瞳孔求心路障害(RAPD)は視神経障害を示唆する所見です。

41問

動眼神経麻痺で眼瞼下垂は大切です。
動眼神経には副交感神経と運動神経の2種類の神経があり、運動神経の周りを副交感神経が取り囲んでいるような状態です(おでんのちくわとごぼうみたいな)。
ですので糖尿病による虚血などでは神経の中からやられるので眼球運動障害や眼瞼下垂が先にでてきますが、動脈瘤による圧迫などでは外部からやれるので瞳孔不同などの症状が先に出てきます。

42問

同側性複視なので内斜視になる疾患を選べば良いです。

43問

色覚異常の各型と障害される錐体の色と名前について表にまとめます。
光の波長は可視光では赤が最も波長が長く、青が最も短いです。
そしてその波長の長さに応じてLongやShortの頭文字をとって錐体の名前がついています。

1型色覚異常2型色覚異常3型色覚異常
赤(波長558nm)緑(波長531nm)青(波長419nm)
L錐体(Long)M錐体(Middle)S錐体(Short)

44問

とりあえず薬が眼に入ったら洗いましょう。
特にアルカリ性の物質が入った場合に重症化しやすく、具体的にはキッチンハイターや毛染め液、セメントなどが危険です。

45問

後頭葉の障害では黄斑回避型の同名半盲となります。
視放線の障害では黄斑も含めた同名半盲となりますので対比して覚えておきましょう。

46問

新生児や乳児でも他覚的検査は行うことができます。
通常の視力検査などの自覚的検査が出来るようになるのはだいたい3歳頃です。

47問

屈折性調節性内斜視のAC/A比は低い。
アトロピンによる屈折検査は1週間ほど点眼をしてから行います。

48問

偏頭痛ー閃輝暗点
Marfan症候群ー球状水晶体、水晶体脱臼
Wilson病ーKayser-Fleischer輪
ビタミンA欠乏ー夜盲

49問

Duane症候群では神経の異常支配が起こります。1型では外直筋を動眼神経が異常支配することにより、外転障害が起こるだけでなく、内転時に外直筋も収縮するため眼球が眼の奥に引っ張られて眼球陥凹を来します。
眼窩底骨折では眼窩内の脂肪組織などが骨折部へ落ち込むことで眼球陥凹となります。
選択肢以外ではHorner症候群でも眼球陥凹を認めます。

50問

器質弱視は検眼遮蔽などの治療でも視力の改善の見込みが無い弱視です。
斜視や屈折異常等による弱視は治療で視力が改善する機能弱視です。
弱視を伴う内斜視の手術については日本では基本的に健眼遮蔽により交代固視が出来るようになってから行うことが推奨されています。
(ただ、手術時期の遅れにより立体視の獲得が難しくなるので超早期手術を推奨する人もおり、アメリカではすぐに手術してしまうことのほうが多いようです。)

51問

微小弱視は4△基底外方試験で診断できます。
心因性視力障害は基本的に除外診断なので診断のためには中枢性を含めて全ての疾患を除外する必要があります。

52問

Faden手術は別名内直筋後方逢着と呼ばれます。
斜視の手術を考える時は、「どの筋を」、「強めるのか弱めるのか」ということを頭に置きましょう。そしてある筋肉を強めればそれに拮抗する筋肉が弱まります。
例えば下斜筋を切除する(弱める)と、上斜筋が強まることで内方回旋が起こります。

53問

アッベ数は小さい程色収差が大きくなります。

54問

後藤法:片眼の外直筋短縮と、もう片眼の内直筋短縮
Anderson法:片眼の外直筋後転と、もう片眼の内直筋後転
Kestenbaum法:後藤法+Anderson法の両方を行う
Knapp法:水平筋上方移動
Faden法:内直筋後方逢着
原田-伊藤法:上斜筋前部前転
Hummelsheim法:上直筋と下直筋の耳側半分を外直筋付着部に移動

55問

斜視弱視は予後良好。
屈折異常弱視は両眼性が多い。
遠視性不同視は弱視になりやすい。
微小斜視弱視は不同視に伴う。

56問

斜視があってもひき運動で確認すると眼球運動障害は無いので眼球運動訓練は不要。

57問

58問

先天眼振では片眼を遮蔽すると遮蔽眼と反対の方向に向かう潜伏眼振を伴います。
両眼視では眼振が消失する静止位があるので(左or右15°あたり)、そこを正面に移動するように頭部を傾けます。
また、眼振は輻輳で抑制することも覚えておきましょう。

59問

融像幅の正常値
水平:4〜20°
上下:1〜2°
回旋:6〜10°

60問

強度近視に伴う内斜視は、眼球が大きいことにより耳上側に眼球自体が脱臼してしまうことによって起こります。
眼位は内下方を向き、外上方に運動制限があります。
脱臼して動かなくなっているので、牽引試験は陽性となります。

61問

基底外方なので外斜視と同じような感じだと思って解けばよいと思います。
交差性複視を自覚し、両眼とも軽度内転します。

62問

63問

回旋はプリズムの適応外です

64問

羞明は眼位とは関係なく角膜や前房、硝子体、網膜の異常で自覚します。

65問

VEPでは指標のサイズを変えることである程度の視力を他覚的に評価できます。

66問

レーベル遺伝性視神経症です。
写真は右眼の視神経が急性期所見として、視神経乳頭の発赤や視神経乳頭近傍毛細血管拡張蛇行を認めます。
基本的に両眼性で、視神経障害がある割に対光反射が保たれているのが特徴的です。
遺伝性疾患でミトコンドリア遺伝子変異で、遺伝子検査で診断します。
ミトコンドリアは母親から受け継ぎますので母方の叔父も同様の疾患だったということからも、この疾患を示唆します。
視力障害は進行性で、ステロイド治療などにも反応しません。

67問

logMAR換算視力については覚えやすいところだけでも覚えておけばなんとなく解けると思います。
最低限必要なのを書きますが余力があればこの周辺も覚えておくとさらに確実に解けると思います。
少数視力0.1 → logMAR1.0
少数視力0.4 → logMAR0.4
少数視力1.0 → logMAR0

68問

同名半盲でも左側が見えなくなる場合もありますが、その場合でも頭位を変えれば全てが見えるはずです。
半側空間無視の場合には問題の画像のように絵の半分が存在しないように認識します。
2等分試験が有名で、患者に直線を2等分するように指示すると、4分の1のところに線を引きます。

69問

強主経線の屈折値を考える場合にはベースとなるS面の屈折にC面の屈折を足したものなので、単純に足せばOK。
C面の軸は弱主経線ということも間違えないように注意しましょう。

70問

Bielschowsky頭部傾斜試験についてはこちらの記事をお読みください。
患眼は右で上下偏位が最大となるのは左下方視時です。

71問

両耳側半盲の所見です。
教科書的なきれいな半盲ではありませんが、両側の耳側の上方の視野欠損があり正中を超えていないことから、視交叉の下方からの圧迫によると考えられます。
原因としては下垂体腺腫を疑います。

72問

上方に網膜裂孔を伴う網膜剥離を認めます。
視野障害に先行して飛蚊症があったという病歴からも同疾患を示唆します。

73問

実際の臨床でもロービジョングッズを活用する前にまず、使用メガネのチェックは不可欠です。

74問

動眼神経麻痺です。
上、下、内直筋の麻痺に伴い外斜視となっているだけでなく下斜筋の麻痺もあるので軽度下斜視となります。
動眼神経麻痺に反対側の片麻痺を伴うのはWeber症候群
他に動眼神経麻痺に赤核の障害による反対側の不全麻痺と不随意運動を伴うものがBenedikt症候群
Parinaud症候群は中脳の上丘の障害により垂直方向の眼球運動障害が起こり、skew deviationも起こすこともあります。
Fisher症候群はギラン・バレー症候群と似た疾患で全眼筋麻痺を起こします。
Möbius症候群は先天性の眼球運動障害で水平方向への眼球運動制限と両側顔面神経麻痺を特徴とします。

75問

両眼性の中心暗点を認め、原因としては両視神経障害を疑います。
両眼性の視神経障害としては抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎や、薬剤性や中毒性などを疑います。
呼吸器疾患に対して投薬加療中ということから結核治療薬のエタンブトール視神経症を鑑別に入れるということだと思います。
頭部MRIや眼底造影検査などはもちろん行いますが、「まず行うべきなんどはどれか」と問われた際には一番非侵襲的で簡単に出来る問い合わせを選びます。
基本的に視神経炎などは片眼性が多いですが、エタンブトールなどの薬剤性では薬剤が全身に行き渡るので両眼性となります。

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