第33回 眼科専門医認定試験 臨床問題の解説をはじめていきます。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。
問題については以下↓の眼科学会ホームページよりダウンロード出来ます。
目次
1問:網膜の病理
答えはe
神経線維層が厚いので視神経の近くの網膜だと思います。
正常のOCT画像を見ていただいてもわかるように、黄斑の鼻側にいくにつれて神経線維層は厚くなります。
2問:脂漏性角化症
答えはe
病理組織では角化嚢胞を認めますので、脂漏性角化症です。
脂漏性角化症は良性腫瘍で、表皮の肥厚を認め、基本的に上方(表面側)へ向かって発育していきます。
角化があるので表面はざらざらとしており、色素を伴うことも多いです。
3問:結膜悪性黒色腫
答えはb
メラニン色素を伴う腫瘍で、病理では異型細胞を認めます。極性の乱れもありそうなので悪性黒色腫を疑います。
メラノサイトーシスなら結膜上皮や基底層に異型メラノサイトが存在するような病理出してくれるのではないかと思いました。
4問:研究
答えはb, e
a. カルテを調べるので介入はありません。後ろ向き観察研究です。
b. その通りです。
c. グラフでは下にいくほど再閉鎖率が高いので、鼻涙管が閉塞している方が再閉鎖率が高いです。
d. 違います。
e. その通りで、このようなグラフをカプランマイヤー曲線と呼びます。
5問:網膜芽細胞腫
答えはa, b
第一子はエコーで石灰化を伴う腫瘍を認めており、網膜芽細胞腫を疑います。
網膜芽細胞腫にはRB遺伝子という癌抑制遺伝子偏位をともなう常染色体優性遺伝のものと、孤発性のものがあります。
少なくてもRB遺伝子変異の有無がわかるまでは、第2子に対しても定期的な眼底診察や、他の癌を合併していないかの精査のために小児科受診が望ましいです。
第2子については生まれたばかりとのことなので、全身麻酔はかけずとも眼底検査は可能なのかなと思い、cは答えにしませんでした。
もっと成長して、眼底精査が難しくなってきた場合には全身麻酔での検査が望ましいです。
網膜芽細胞腫の発症は特に0〜4歳頃までに多いと言われますので学童では遅いですし、遺伝については検査結果について記載がありませんので遺伝しないとは言えないはずです。
6問:アミロイドーシス
答えはe
ダイレクトファーストスカーレット染色はアミロイドを染色するものなのでこれを知っていれば解けた問題ですが、僕は初めて聞きました笑。
この問題のような発赤や痛みを伴わない眼瞼腫脹を見た時には、眼瞼や眼窩内腫瘍だけでなく、アミロイドーシスやサルコイドーシスを想定する必要があります。
特に眼瞼腫瘍があって触ってみて硬結を触れるような場合には、サルコイドーシスやアミロイドーシスの場合があります。
血中IgG4は正常高値程度の数値となっていますが、IgG4関連疾患ならもっと高いことが多いですし、ステロイド治療にも反応します。
なかなか眼科診療で出会う機会はありませんが、診断がよくわからない時には生検が大切というメッセージもあるのかな?と感じました。
この症例もはじめはステロイド治療をトライされていますし、原因が全然わからず、生検してようやくアミロイドーシスにたどり着いたように思います。
7問:霰粒腫
答えはa
これは霰粒腫かなと思います。
単純切除により綺麗に治っています。
ちなみに霰粒腫の切開は、このように眼瞼の裏側に出ているものに対してはマイボーム腺の走行と同じく縦に切り、皮膚側からアプローチする際はふたえの線と同じように水平に切ります
8問:アルカリ外傷
答えはb
セメントが眼に入った場合にはアルカリ外傷ですので要注意です。
角膜上皮の一部障害のみですので、重症度分類としては2となります。
重症度については上皮欠損のみでは2、上皮の全欠損+輪部障害があれば3となります。
初期の消炎治療が重要で、ステロイド治療が重要で、重症度2であれば局所の点眼治療を行います。
この程度であれば適切な初期治療を行えばほとんど後遺症なく治癒しますのでbを正解にしました。
9問:ヘルペス
答えはd
長期免疫抑制点眼に伴い上皮型角膜ヘルペスを発症した症例だと思います。
フルオレセイン染色像では辺縁にターミナルバルブを認めます。
10問:濾過胞感染
答えはb
強い充血がありますが、11時結膜だけは白いままです。
これはトラベクレクトミー後の濾過胞感染に典型的な所見と言われます。
11問:Terrien角膜変性
答えはd
両眼性に角膜周辺部の菲薄化をきたしています。
充血や痛みなどの所見が出ていないので炎症性疾患であるモーレン潰瘍などでなく、Terrien辺縁角膜変性を疑います。
12問:アカントアメーバ
答えはd
放射状角膜神経炎を認めますので、アカントアメーバによる角膜炎を疑います。
アカントアメーバは有効な薬が無いため、抗真菌や消毒液の点眼、抗真菌薬の全身投与、角膜掻爬を組み合わせた三者併用両方を行います。
特にアメーバは薬剤による治療で死んだとしてもマクロファージに完全には貪食されずに角膜に残ってしまう場合があり、その死骸に対するアレルギー反応でまた炎症が出る場合があるので、物理的に削り取る必要があります。
コンタクトレンズに関連するのは皆さんご存知かと思います。
この症例のようにステロイドが入ってしまうとより難治となるので要注意です。
特にこのような典型的な放射状角膜神経炎があれば診断は容易ですが、偽樹枝状潰瘍を形成してヘルペスと間違えられることが多いです。それでゾビラックスで治らず混濁も出てきたのでステロイド併用で、という風になります。
また、初期には角膜中央部に白いつぶつぶのような混濁があるだけのこともあります。
この段階ではなかなかアカントアメーバを想起するのは難しく、なんとなくクラビットフルメトロンなどで治療すると悪化します。
個人的にオススメしたいのが、なんとなくよくわからない時は安易なステロイド使用は避けて、プロナックなどのNSAIDs点眼だけで経過をみるという方法です。
こまめなフォローが必要にはなりますが、下手にステロイドを入れてよくわからない状態にはせずに、時間とともに所見が出てくるのを待って治療をはじめるという戦略を僕はとっています。
初診時に診断をつけなければ!一刻も早く治療をせねば!という気持ちになりがちですが、冷静になって所見がでるまで待つという選択肢も持てると治療失敗が減るのではと思います。
13問:顆粒状角膜ジストロフィ
答えはa, e
顆粒状角膜ジストロフィーだと思います。
常染色体優性遺伝で、原因遺伝子はTGFBIです。常優なので両親のいずれかは同じ疾患となります。
混濁はBowman層が主体で、比較的浅層ですのでPTKの適応となります。
僕にはこの写真だけでは顆粒状角膜ジストロフィーのⅠ型かⅡ型(アベリノ)かについては見分けられなかったのですが、棍棒状の混濁はありませんし、アベリノだとするとコンゴレッド染色でも染まりますので、Ⅰ型で良いかなと思いますが間違っていたら教えていただけると幸いです。
14問:虹彩嚢腫
答えはc
虹彩に腫瘤を形成しており、前眼部OCTでは内部が空洞となっていますので虹彩嚢腫です。
虹彩嚢腫は先天性と後天性があり、後天性のものは特発性と外傷性に分けられます。
特に外傷後に生じるものが多くあり、白内障手術などの内眼手術が誘引となることもあります。
基本的には無害なので経過観察ですが、視軸にかかって視力低下の原因となったり、この症例のように角膜内皮にあたって内皮減少を引き起こすような場合単純切除を行います。
15問:液状白内障
答えはb
これは液状白内障といって、後発白内障の一種です。
糖尿病症例や、CCCがコンプリートカバーの症例に発症しやすいといわれています。
眼内レンズを摘出しなくても、後嚢をYAGで切開すれば乳白色の混濁が硝子体中に拡散されて視力が改善します。
ちなみに、同じ画像が以下の文献の症例3に掲載されているのを偶然見つけました。
参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/cataract/26/1/26_52/_pdf/-char/ja
16問:スタルガルト病
答えはd, e
選択肢的にBest病とスタルガルト病のどちらかを迷わせたい問題かなと思います。
眼底カラーでは黄斑部の萎縮を認めており、FAGでは黄斑部のwindow defectと脈絡膜のダークコロイドを認めますのでスタルガルト病だと思います。
スタルガルト病ではfleckと呼ばれる黄色斑も特徴ですが、若年者ではあまり目立たないこともあります。
17問:オカルト黄斑ジストロフィ
答えはc
両眼性の視力低下があり、眼底写真では明らかな異常所見が無いように見えますが、視野検査は中心に暗点があります。
OCTでは一見正常ですが、特に左眼の黄斑部のEZがやや不鮮明なように思います。
以上よりオカルト黄斑ジストロフィを疑いますので、多局所ERGが診断に有用です。
オカルト黄斑ジストロフィでは黄斑部のみ振幅低下を認めます。
18問:網膜細動脈瘤破裂
答えはb
選択肢の全ての画像が、中心窩・乳頭を通る横のラインだと思います。
眼底写真からは網膜細動脈瘤破裂を疑い、出血所見はFluffy signのように見えますので、選択肢のbを最も疑います。
Fluffy signについては以下の文献を参照下さい(全文にしか画像ないのでRETINA契約していないと見れません)。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30649079/
19問:近視性脈絡膜新生血管
答えはa
眼底カラーでは黄斑部に出血を認めますが、FAGやIAでは新生血管を認めないので単純出血ですので経過観察で問題ないかと思いました。
20問:MEWDS
答えはb
これはMEWDSの症例だと思います。
近視の若年女性で、片眼性の急激な視力低下と光視症を認めています。
眼底に白斑を認めており、自発蛍光では白斑に一致して過蛍光を認め、OCTでは外層障害を認めます。
以上の所見からMEWDSに矛盾しません。
この症例では出ていませんがFAGでも白斑部分は過蛍光になります。MEWDSでは早期も後期も過蛍光となりますが、APMPPEの白斑では早期低蛍光で後期過蛍光となるのが対照的ですので合わせて覚えておくと良いと思います。
21問:type2 CNV
答えはc
これは特発性脈絡膜新生血管とpachychoroid neovasculopathyで迷いました。
OCTではtype2CNVがあり、FAGではclassic CNV様です。
脈絡膜の血管拡張があり、IAで拡張した脈絡膜血管を認めるような気もしましたが、PNVは基本的にtype1CNVですので、年齢からも特発性脈絡膜新生血管かと思います。
もしPNVを示唆する問題であれば、IA後期蔵での脈絡膜血管透過性亢進(CVH)所見を載せるのではと思います。
22問:急性網膜壊死
答えはe
片眼性の虹彩炎、および高眼圧を認めており、眼底には周辺部に黄白色の病変が散在しています。
所見から急性網膜壊死を疑いますので答えはバラシクロビルです。
23問:糖尿病虹彩炎
答えはa
前眼部ではフィブリン析出と、前房蓄膿を伴う前房内炎症を認めます。
眼底検査では、出血斑や毛細血管瘤をみとめますので糖尿病性虹彩炎を疑います。
健康診断を受けていないことや無職のエピソードからもDMコントロールが悪いことを示唆しているようです。
糖尿病虹彩炎が起こるのはDMコントロールが非常に悪い症例で、HbA1cが10を超えるような症例が多いです。
フィブリン析出を伴う虹彩炎の主な鑑別としては、糖尿病性虹彩炎、急性前部ぶどう膜炎、細菌性眼内炎などが挙げられます。
ベーチェット病に伴う前房蓄膿ではサラサラとしているのでニボーを形成するのに対して、フィブリンを伴う前房蓄膿ではこの症例のように中央が盛り上がったような形になり、体位での移動があまりありません。
24問:先天無虹彩
答えはa, b, d
先天無虹彩です。
専門医試験では角膜輪部疲弊を合併することや、PAX6遺伝子異常については頻出ですので覚えておく必要があります。
チン氏帯脆弱も20〜50%程度に合併するといわれますので、この問題は答えが3つあるように思います。
無虹彩は試験でも良く出題されますし、無虹彩の診療ガイドラインが出されていますので余裕のある先生は一読しておくと良いと思います。
25問:陽性γ角
答えはe
眼底写真では未熟児網膜症により黄斑部が耳側に牽引されているのがわかります。
FEVRや未熟児網膜症などで黄斑が耳側に引っ張られると、黄斑部がずれるので、見かけ上は外斜視となります。
見た目は外斜視でも、両眼とも中心窩でものを見ている状態ですのでカバーアンカバーをしても眼位は変動しません。このような状態を偽斜視と呼びます。偽内斜視ではなく偽外斜視なら正解です。
見かけ上の眼位がずれているのに、中心窩できちんと物を見ている状態のことをγ角異常と呼びます。
γ角は大型弱視鏡で測ることができ、外斜視では陽性γ角となります。
26問:スタージウェーバー症候群
答えはa
スタージウェーバー症候群は脳内の軟膜血管腫と、顔面のポートワイン斑、緑内障が主要な所見であり、症状としては難治性てんかん、精神発達遅滞、運動麻痺などがあります。
この症例でも右のポートワイン斑、緑内障を認めており、てんかんもありますので上記診断と矛盾しません。精神発達遅滞や運動麻痺などはありませんが、すべての症状が揃わないこともあります。
スタージウェーバー症候群は脈絡膜血管腫を形成する疾患としても重要なので合わせて覚えておいてください。
27問:大型弱視鏡
答えはb
a, d, eは同時視のスライド
cは立体視のスライドです。
28問:検影法
答えはe
右の不同視弱視の症例です。
眼位異常も無いのでサイプレジンでの完全矯正眼鏡処方を行います。
ちなみに内斜視もある場合にはアトロピン処方下の眼鏡処方が望ましいです。
アトロピンを使うか、サイプレだけで眼鏡処方をするかの基準は医師によって多少違いますが…
検影法の結果の見方がわからなかったとしてもサイプレジン点眼後のレフ値に近い眼鏡を選べば正解できます。
29問:外転神経麻痺
答えはe
交通事故による外転神経麻痺です。
外傷性の外転神経麻痺では受傷から6ヶ月程度は自然回復の可能性があり、まだ1ヶ月しか経過していない本症例ではいきなり斜視手術はやりすぎに思います。
症状が固定するまではボツリヌス注射等の治療で複視を改善させつつ、症状改善してから斜視手術やプリズム眼鏡を使用するのがよいと思います。
30問:急性内斜視
答えはa
スマホによる急性内斜視の症例です。近年増えてきているのでトピックですね。
スマホの普及に伴い近見での作業が増えて、輻輳が過多になることで内斜視となってしまいます。
まずは長時間のスマホをやめてもらいますが、実際やめれないことも多く、やめたとしても改善しない症例もあります。
その場合にはまずは手術よりもプリズム眼鏡やボツリヌス毒素などによる治療を行います。
ボツリヌス毒素治療は日本では12歳以上にしか適応が通っていないので年齢注意です。
外転神経麻痺ではないのでJensen法はやりすぎだと思います。
31問:アノマロスコープ
答えはd, e
アノマロスコープの結果の見方の図を載せておきます。
問題は桿体一色覚の検査結果となっています。
また、青錐体1色覚では全錐体細胞の大多数を占める赤と緑錐体が欠損している状態で、桿体一色覚と似た結果となります。また、錐体がほとんどないので視力不良も伴います。
32問:Leber遺伝性視神経症
答えはb
若年男性が短期間に両眼に中心暗点が出てきており、レーベル遺伝性視神経症を疑います。
眼底写真での乳頭は右眼は急性期を過ぎてやや蒼白になりはじめており、左眼は発赤と軽度腫脹、乳頭周囲の血管蛇行を認めており、レーベル遺伝性視神経症の典型的な乳頭所見です。
レーベルでは急性期に、このような赤くて熟しているような赤い乳頭所見となるのが特徴で、disc辺縁不明瞭化はなくてもOCTで乳頭を撮影すると腫脹しているのが確認できます。
今回は記載されていませんが、対光反射は保たれることが多いので、視神経炎っぽいけどRAPDははっきりしないような症例ではレーベル遺伝性視神経症や常染色体優性視神経萎縮などの遺伝性疾患を疑います。他にはAZOORも鑑別となるので頭の片隅に覚えておくといつか役立つと思います。AZOORを疑った場合には自発蛍光が簡便で有用です。
ステロイドパルスに反応しないというのもレーベルとして矛盾しません。
33問:視神経鞘髄膜腫
答えはc
この問題はMRIが脂肪抑制の画像じゃなかったとかで削除になったみたいです。
明らかな視野障害や視力障害を認めないものの、片眼性の乳頭腫脹をきたしており、MRIでは視神経の周りに腫瘍性病変を認めますので視神経鞘髄膜腫を疑います。
視力に異常がなくても、見え方がぼやけるといった症状で眼科を受診することがあり、この症例のように乳頭腫脹が明らかで無い場合は診断にいたらないことがあります。
初期の圧迫では検眼鏡的に乳頭腫脹がわからなかったとしてもOCTを撮るとcpRNFLの腫脹があった場合には積極的に頭蓋内精査を行う必要があります。
34問:海綿静脈洞症候群
答えはc
症例では右眼の眼瞼下垂、瞳孔不同、全方向性の眼球運動障害を認めます。また、下方視時の眼球内方回旋が無いように見えます(写真からははっきりわかりませんが)。
以上のことから障害部位としては右動眼神経、右滑車神経、右外転神経です。
これらが両方とも障害される場所としては海綿静脈洞、上眼窩裂、眼窩先端部が考えられます。
眼窩先端部の場合は視神経障害も出ますが、この症例では出ていません。
以上より右海綿静脈洞か上眼窩裂の異常所見を呈している画像を選べばよくて、cが正解となります。
海綿静脈洞がどのスライスで見えるかというのは必ず理解しておく必要がありますが、異常の有無を見分けるのは難しいですし、僕もこの画像に関して詳しい解説をすることは出来ませんが、見方のコツとしては左右差を見ることが重要です。
35問:Horner症候群
答えはc
低濃度フェニレフリンで散瞳しているので右眼のHorner症候群を認めます。交感神経の節前もしくは節後線維の異常を疑います。
選択肢のうちで上記原因となるのは内頸動脈解離とTolosa-Hunt症候群ですが、Tolosa-Hunt症候群はどちらかというと眼球運動障害がメインで、Horner単独は非常に稀ですし、突然の激痛というのは少し違うように思います。
基本的に突然発症の疾患は「破れる、ねじれる、詰まる」ものを考える必要があり、頸動脈解離でも裂けた瞬間に突然発症の痛みを生じます。
頸動脈系の疾患ではHorner症候眼を合併することがあり、頸動脈解離ではこの症例のように単独でHornerだけが出ることもあります。
Horner+眼球運動障害があった場合にはまず、海綿静脈洞の内頸動脈瘤などを考えます。
36問:落屑緑内障
答えはe
Aの画像ではPEを認めているので、sampaolesi線のある隅角を選べば良い問題です。
この問題は自信がなくて、dとeで迷いました。
dは正常隅角で、eが落屑緑内障かなと思います。
dにもsampaolesi線があるように見えますがPEにしては隅角の色素が薄すぎるようにも思います。
37問:新生血管緑内障
答えはd, e
隅角写真では、隅角の新生血管を認めます。
DMの基礎疾患もあることから、血管新生緑内障の症例です。
治療は抗VEGF薬(2021年現在はアイリーアのみが適応)および汎網膜光凝固が必要です。
38問:チン氏帯脆弱
答えはa, d
前眼部OCTでは前房深度に左右差を認めています。
内眼手術の既往無しとのことなので、チン氏帯脆弱により水晶体が前方へ偏位したことによって左眼の閉塞隅角緑内障を引き起こしていることが予想されます。
選択肢の中でこのような片眼のチン氏帯脆弱を引き起こすのはPEや外傷ですのでこれらが答えになります。
39問:緑内障性乳頭変化
答えはd
NFLDのエッジに乳頭出血を認めた場合は乳頭出血の側にNFLDが進行していくようです。
40問:眼球打撲
答えはc
隅角鏡では上方隅角では毛様体帯より後方のグレーの部分が見えており隅角後退を認めます。
41問:角膜穿孔
答えはc
これはどうなっているのかわかりませんが、とりあえず角膜が穿孔して眼球の中身が出てきています。
元々末期緑内障で、現在光覚無しとなっていますし、交感性眼炎のリスクもありますので選択肢の中では眼球内容除去が答えかと思います。
42問:空気瞳孔ブロック
答えはa
DSAEK術後の経過から、空気瞳孔ブロックが起こっていると思われます。
高眼圧による嘔気が出ていますので、瞳孔ブロックを解除するためにサイドポートから空気を除去します。
また、当たり前ですが前房内に空気があるうちは飛行機などは避ける必要があります。
43問:角膜移植
答えはc, d
基本的に角膜は縫合するとその方向の乱視は強くなり、曲率半径は小さくなります。
逆に切開を入れると乱視は弱くなり、曲率半径は大きくなります。
トポグラフィでは暖色系に近づくほど曲率半径が小さく、乱視が強いです。
以上のことから強主経線である1, 7時に切開をいれるのと、弱主経線である4, 10時を縫合するが正解になります。
44問:水晶体脱臼
答えはa
両眼の水晶体脱臼を認めており、視力の発達が不良です。
レフ値が記載されていないのでわかりませんが、ここまでズレていると手術が望ましいように思います。
特に右眼は水晶体の縁が瞳孔領にかかっているように見えます。
45問:レーシック後
答えはa
スリット写真ではわかりにくいですが、角膜形状解析画像で角膜の屈折力が全体的に低下しており、レーシック眼であると考えられます。
レーシック眼の眼内レンズ計算にはHaigis-LやBarret TrueK式などが使用されます。
Haigis、Barrett UniversalⅡ、SRK/Tなどが通常の白内障眼のレンズ計算に使用されます。
46問:IOL混濁
答えはc
IOLの混濁が起こっており、それより後方が透見できなくなっています。
ですのでIOLのの交換が必要です。
ボシュロムのハイドロヴューというIOLでカルシウム沈着が問題となったことがあるそうです。
そのIOLも問題画像と同じ青色の足の3ピースレンズなのでこれのことを示しているのかと思います。
厚生省の報告へのリンクはこちら
47問:白内障術後眼圧上昇
答えはb
白内障術後に前房が浅くなり眼圧上昇を認めていますので、術後発症の悪性緑内障を疑います。
悪性緑内障に対しては前部硝子体切除もしくはYAGレーザー治療を行います。
48問:線維柱帯切除術
答えはa
術後の眼圧が記載されていませんが、術後に限局性の脈絡膜剥離が出現しています。
前房形成できておりリークなども無ければ経過観察です。
49問:隅角閉塞
答えはd, e
虹彩前癒着による閉塞隅角となっていることが、画像所見より疑われます。
緑内障ガイドラインでは慢性閉塞隅角緑内障では、隅角癒着の解除と水晶体再建術の併用の有効性が記載されています。
50問:バックル
答えはc
最後の問題ということもあり頭がこんがらがって間違えました(笑)
レンズで見る限りマーキング部位よりも周辺部に円孔があるので、答えはcかdに絞られます。
マーキングの高さも向きもずれているので、まず円孔と同じ高さにするにはcとdの間にマーキングをずらします。
そして円孔はレンズで見たままでは左下にあるので、反対の右上にマーキングを動かせばよいのでcが答えだと思います。