先天性疾患

無虹彩症(aniridia)について

無虹彩症(aniridia)について

名前の通り先天的に虹彩が欠損している病気です。

無虹彩症(aniridia)の原因

原因としては11p13にあるPAX6遺伝子の異常が報告されています。
また、同部位の異常では腎臓のwilms腫瘍の原因となることもわかっており、無虹彩、泌尿生殖器異常、精神発達遅滞の3症状が揃った際にはaniridia Wilms tumor syndromeと呼ばれます。

無虹彩症(aniridia)の症状と合併症

無虹彩といっても虹彩根部は瘢痕的に残っています。そして50〜70%の症例では残った虹彩組織が隅角と癒着することで緑内障を引き起こします。

また、黄斑や視神経の低形成を伴うことがありその場合には視力予後不良で眼振や斜視などを伴うこともあります。

白内障も合併し、早期から進行性です。チン氏帯脆弱も20〜50%程度に合併します。

後述の通りPOVの消失を認めますので、輪部機能不全も起こります。

無虹彩症(aniridia)の検査所見

検査所見としては以下の3つが特徴的です。

  1. 角膜周辺部の上皮、上皮下の混濁
  2. 表層性角膜内血管侵入
  3. Palisades of Vogtの消失

出生直後は角膜混濁は認めませんが2歳頃から全周性の血管侵入を伴う混濁が生じてきます。
そして徐々に角膜中央部へと進行していきます。

眼科的には特徴的な無虹彩やPOVの消失所見から診断は容易ですが、wilms腫瘍の合併などがあるので全身精査を忘れずに行うことが重要です。

参考文献

日本眼科学会:無虹彩症の診療ガイドライン

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