眼科専門医試験解説

第36回 眼科専門医認定試験 一般問題 過去問解説

第36回 眼科専門医認定試験 一般問題の解説を行います。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

問題については以下↓の眼科学会ホームページよりダウンロード出来ます。

専門医試験過去問(日本眼科学会HP)はこちらから

第36回臨床問題の解説はこちらから

目次

1問:核上性眼球運動

答えはc

水平眼球運動の中枢はPPRFで、垂直眼球運動の中枢はriMLFです

そして眼球運動の制御に関与する神経積分器というものが存在して、水平運動は主に舌下神経前位核や前提神経核が、垂直運動は主にカハール神経核と前庭神経核が構成しています。

EW核は対光反射の経路であり、眼球運動とは関係ありません。

2問:硝子体の加齢変化

答えはe

加齢とともに硝子体の液化や後部硝子体剥離が起こり、様々な疾患の原因となります。
後部硝子体剥離が影響する疾患としては、生理的飛蚊症、裂孔原性網膜剥離、黄斑前膜、黄斑円孔、黄斑牽引症候群、近視性網膜分離などが挙げられます。

3問:視神経について

答えはa

視神経の正常解剖について。

a. その通りです。

b, e 強膜の内側1/3が篩状板へと移行し、残りの2/3が硬膜となります

c. 篩状板孔は上下側が大きく、支持構造が弱いために緑内障では上下の視神経がダメージを受けやすいです。

d. 視神経から篩状板までは短後毛様体動脈で栄養されます。

4問:房水について

答えはb, c

a. 房水は毛様体無色素上皮から産生されます。

b. その通りです

c. その通りです。ですのでCCFなどで高眼圧となります。

d. 房水は主に経シュレム管経路から排出されます。

e. 交感神経β遮断で房水産生が抑制されます。刺激が遮断かを間違えた先生が複数いらっしゃったので、本番ではご注意ください。

5問:アトロピンについて

答えはe

基本的に交感神経優位になるイメージで選択肢を考えると解きやすいです。

コリン作動性刺激に対する虹彩括約筋及び毛様体筋の反応を遮断します。

散瞳は点眼後数分から始まり、約40分で最大となります。
作用は7〜10日間持続します。

調節麻痺は散瞳にやや遅れて発現し、作用の持続は3〜5日です。

散瞳作用と調節作用で持続時間が違いますので注意です。

6問:発生

答えはd, e

発生の問題です。覚え方はこちらの記事も参照ください。

7問:網膜色素上皮機能を反映する検査

答えはa

網膜色素上皮の機能を見る検査といえばEOGです。
ベスト病ではRPEの見た目は問題ありませんが、機能異常が起こっているのでEOGでのL/D比(Arden比)が低下するのが診断に有用です。

EOGについてはこちらの記事も参照ください。

8問:脈絡膜の解剖

答えはc

網膜側から
Bruch 膜-脈絡毛細血管板-血管層-上脈絡膜
の順になっています。

この問題では問われていませんが、血管層のSattler層とHaller層の順番も合わせて覚えておいてください。
本番ではどっち上かわからなくなるので、僕はOCTで上にある(Superior)のがSattler層と、Sの頭文字で覚えるようにしています。

9問:眼圧について

答えはa, b

a. その通りです。

b. 座位よりも仰臥位で眼圧は高くなります。

c. 眼圧は日内変動があります。

d. 角膜が薄いと、眼圧測定値は低値となりやすいです。

e. 非接触式眼圧計では一度では正確な値が出ないので3回測定します。

10問:ランドルト環の切れ目

答えはb

視力1.0のランドルト環のサイズは図のとおりです。
ちなみに他の視力の指標サイズは以下の計算式で求めることができます。

「視力1.0のランドルト環サイズ ÷ 少数視力」

例えば視力0.5の指標では
1.5mm ÷ 0.5 = 3.0mm ですので切れ目は3.0mmとなります。

11問:眼底画像検査

答えはb, e

a. OCTの解像度は機種によりますが3μmほどになってきています。100μmは粗すぎます。

b. その通りです。

c. 自発蛍光では網膜色素上皮にあるリポフスチンが光ります。網膜色素上皮細胞が死んだところはリポフスチンもないので低蛍光となります。

d. ICGでは近赤外線光を使います。可視光と比べて赤外線はより深くまで届くので網膜色素上皮より後ろの脈絡膜をみるには近赤外線光が必要です。ちなみに網膜をみるFAGでは可視光を使います。

e. FAGでは血液網膜関門の破綻に伴う蛍光漏出が評価できます。

12問:交差支配を受ける外眼筋

答えはa, e

外眼筋で反体側から交差支配を受けるのは上直筋と上斜筋です。
「上」とつくものは交差してると覚えおきましょう。

13問:倫理審査委員会

答えはc

「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」で求められている倫理審査委員会の構成要件は以下の通りです。

  1. 医学・医療の専門家等、自然科学の有識者が含まれていること。
  2. 倫理学・法律学の専門家等、人文・社会科学の有識者が含まれていること。
  3. 研究対象者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることのできる者が含まれていること。
  4. 倫理審査委員会の設置者の所属機関に所属しない者が複数含まれていること。
  5. 男女両性で構成されていること。
  6. 5名以上であること。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000769923.pdf

14問:入院診療計画書

答えはa, b, d

入院診療計画書は入院日から7日以内に医師が作成し、患者へ説明しなければなりません。

作成に関わるのは医師、看護師だけでなく管理栄養士や薬剤師、理学療法士など患者の入院中に関わる職種が関与する必要があります。

15問:身体障害者診断書・意見書

答えはa

a. 小数第2位は切り捨てですので正しいです。

b. 視野障害は単独では2級が最高です。障害年金では視野異常で単独1級になるので間違わないように注意です。

c. 視力障害は良い方の視力で評価します。

d. 視力と視野障害両方に該当する場合は換算表をもとに等級が決まります。

e. 悪い方の視力が0.02以下のとき、良い方の視力が0.3〜0.6なら6級が取れます。視力障害でとれるもっとも低い等級が6級です。

16問:角膜ドナーの適応

答えはa

角膜移植ドナーの問題。

ドナーとなることが出来るのは次の疾患または状態を伴わないことが要件です。

  1. 原因不明の死
  2. 全身性の活動性感染症
  3. HIV抗体, HTLV-1抗体, HBs抗体, HCV抗体などが陽性
  4. クロイツフェルト・ヤコブ病およびその疑い、亜急性硬化性全脳炎、進行性多巣性白質脳症の遅発性ウイルス感染症、活動性ウイルス脳炎、原因不明の脳炎、進行性脳症、ライ(Reye)症候群、原因不明の中枢神経系疾患
  5. 眼内悪性腫瘍、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫などの悪性リンパ腫

次の疾患または状態を伴うドナーの場合は移植を行う医師に当該情報を提供する必要があります。

  1. アルツハイマー病(クロイツフェルトヤコブ病との鑑別が必要なため)
  2. 屈折矯正手術既往眼
  3. 内眼手術既往眼
  4. 虹彩炎などの内因性眼疾患
  5. 梅毒反応陽性(陽性でも3日以上4℃で保存されたものならOK)
  6. HBc抗体陽性の場合(2023年12月1日より追加)

17問:特定健康診断

答えはa, d, e

特定健康診断というのはメタボリックシンドロームや高血圧、糖尿病などの生活習慣病の早期発見を目的とした検診です。生活習慣病をみるのに必要そうな項目とイメージしておくと覚えやすいです。

・検査必須項目
問診
診察:視診、触診。打診
問診:喫煙や飲酒などを含む
身体計測:身長、体重、腹囲
血圧測定
血中脂質検査
肝機能検査
血糖測定
尿検査

・詳細な検診項目(医師が必要と認めた場合に行うもの)
心電図
眼底検査
貧血検査
クレアチニン検査

18問:電離放射線障害防止規則

答えはb

電離放射線障害防止規則第56条に規定する健康診断についての問題

検査項目としては以下の通りです。

  1. 被ばく歴の有無の調査およびその評価
  2. 白血球数および白血球百分率の検査
  3. 赤血球数、血色素量またはヘマトクリット値の検査
  4. 白内障に関する眼の検査
  5. 皮膚の検査

検診の時期に病院スタッフから白内障を診て欲しいといわれたことのある先生も多いのではないでしょうか。

19問:スクリーニング検査

答えはa, b

スクリーニング検査の有効性評価としてROC曲線を用いるものが有名です。

ROC曲線では、感度と特異度の和が最も大きくなるところをみつけて、そこを検査値のカットオフとします。

スクリーニングにおいては、感度と特異度がともに高いことが求められます。

高い特異度ということはつまり、偽陽性が高いということですので陽性的中率も高くなるんじゃないかという指摘もあるかと思います。
おっしゃる通りなのですがスクリーニング検査の考え方は、ROC曲線を作り感度と特異度が最大となるポイントを使うということなので、これを意図する解答を選ぶべきかと思います。

20問:特定臨床研究

答えはb, c

特定臨床研究法に関する問題。過去問にもありましたね。

特定臨床研究は、臨床研究のなかでも下記のいずれかを満たすものをいいます。

  1. 製薬企業から資金の提供を受けて行われる臨床研究
  2. 国内で“未承認”あるいは“適応外”の、医薬品等を用いて行われる臨床研究

21問:普通自動車第一種運転免許

答えはc

運転免許についての問題です。

免許基準は両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上です。

もし一眼の視力が0.3に満たない場合は、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上が求められます。

22問:涙腺と涙液

答えはe

a. 副涙腺にはKrause腺とWolfring腺があります。

b. 主涙腺は眼窩の上耳側に位置します。

c. 主涙腺は眼瞼葉と眼窩葉に分けられ、眼窩葉の方が大きいです。眼瞼葉は眼窩葉の1/3程度の大きさです。

d. 涙液の最表層は油層でその次が水層です。

e. その通りです。

23問:涙道疾患

答えはd

a. 薬剤性では鼻涙管閉塞よりも涙点や涙小管の障害が多いです。

b. 先天性涙道閉塞は鼻涙管開口部の形成不全が原因です。

c. 涙小管炎では菌石を出すのが重要で、涙道内視鏡検査をやっても良いです。

d. その通りです。

e. 急性涙囊炎ではまず感染コントロールを行います。

24問:新生児の眼脂

答えはa, c

新生児結膜炎では経産道感染が原因となるので淋菌、クラミジア、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、ヘルペスウイルスなどが原因となります。

中でも多量の膿性眼脂を認めるのは淋菌とクラミジアです。

25問:ステロイドによる眼圧上昇

答えはb

いずれの経路でもステロイド投与は眼圧上昇に寄与しますが、選択肢の中では点鼻が最も影響しづらいです。

26問:アトピー性角結膜炎

答えはa?

こちら自信なしです。

a. アトピー性角結膜炎では角膜知覚低下は起こらないかと思います。

b. 角膜新生血管はきたします。

c. 角膜ヘルペス発症リスクが高いです。

d. 巨大乳頭を呈することもあります。

e. 慢性的な刺激により扁平上皮化生や杯細胞低下をきたします。

27問:渦状の角膜混濁

答えはb, c

Fabry病やアミオダロン角膜症が有名ですので家族歴や薬剤歴を確認します。

28問:強膜炎

答えはd

a. 充血部位の圧痛があります。

b. 充血が目立たないタイプもあります。

c. 薬剤性もあります。

d. 感染性もあります。翼状片術後の細菌性が多いです。

e. SLEは強膜炎のリスクです。他には関節リウマチやGPA(ウェゲナー肉芽腫症)などが有名です。

29問:角膜新生血管

答えはc

流行性角結膜炎では、角膜上皮下混濁や偽膜形成を認めることがありますが新生血管はきたしません。

角膜新生血管といえばヘルペス既往眼が有名で、新生血管があるとそこに脂肪沈着を生じる、続発性角膜脂肪変性となることがあるのでこちらも合わせて覚えておくと良いと思います。

30問:角膜神経

答えはc

a. 角膜知覚はAδとC線維から成ります。

b. 三叉神経支配です。

c. その通りです。

d. 角膜の神経は障害されても一部再生します。

e. 神経密度は皮膚よりも高いです。

31問:糖尿病の水晶体変化

答えはb, e

a. ソルビトールは上昇します。

b. 酸化ストレスは上昇します。

c. 水溶性蛋白質は低下します。

d. 後嚢下白内障が特徴的です。

e. 急激な血糖変化では水晶体厚が変化します。特にDM指摘されていない人でも、急激にレフ値変化があった場合は血糖測定も考慮する必要があります。

32問:水晶体偏位を合併する疾患

答えはb, d, e

a. アルポート症候群は白内障や円錐水晶体を合併しますが水晶体偏位はありません。

b. マルファン症候群では特に上方への水晶体偏位をきたしやすいです。

c. Werner症候群は早老症とも呼ばれ、白内障を合併します。

d. ホモシスチン尿症では下方への水晶体偏位をきたしやすいです。

e. Weill-Marchesani症候群は球状水晶体や水晶体偏位を合併します。全身では低身長、短頸、短指趾などの症状がみられます。

33問:網膜血管炎

答えはd

a. ベーチェット病では毛細血管炎によりFAでシダ状蛍光漏出を認めるのが有名です。

b. ARNでは静脈炎も動脈炎も引き起こします。

c. サルコイドーシスでは静脈周囲炎を起こします。

d. 原田病では網膜血管炎は生じにくいです。

e. サイトメガロウイルスでは血管炎を起こします。

34問:網膜色素上皮下の黄白色病変

答えはc, d

a. 軟性白斑は神経節細胞の浮腫ですので神経節細胞層に認めます。一方で硬性白斑は網膜内層と外層の間に沈着します。

b. ARNでは網膜の壊死が起こっていますので病変は網膜色素上皮よりも上です。

c. 軟性ドルーゼンは網膜色素上皮細胞下にみられます。ドルーゼンは基本的にRPE下ですがreticular pseudo drusenはRPE上に認めますので合わせて覚えておきましょう。

d. 眼内悪性リンパ腫は基本的に脈絡膜からくるので網膜色素上皮柴望下です。

e. 卵黄様黄斑ジストロフィーではリポフスチンが黄斑部にたまりますが、眼底写真で黄斑部が見えないことからも網膜色素上皮細胞上に沈着していることがわかります。

35問:網膜ひだ

答えはd

網膜ひだというのは増殖膜の牽引によってできるもので、視神経乳頭と繋がってみられる網膜のひだのことです。

主に未熟児網膜症やFEVRでみられますが、硝子体血管系遺残でもみられます。
レーベル先天盲は網膜色素変性症の類縁疾患であり、若年時より重篤な視機能障害を引き起こしますが、網膜ひだとは関係ありません。

36問:PIC

答えはb

この問題はこちらの記事を参照ください。

37問:血管腫

答えはb, c

過去に議論ありましたがvon Hippel Lindau病において網膜血管芽腫、網膜血管腫と文献によってどちらも記載されていますが基本的には同じと考えてよさそうです。

38問:糖尿病黄斑浮腫

答えはa, d, e

ファリシマブはバビースモ®︎
ラニビズマブはルセンティス®︎
ブロルシズマブはベオビュ®︎です。

いずれもDMEに適応があります。

39問:高安動脈炎

答えはd, e

高安動脈炎を発見されたのは日本人眼科医なので、専門医試験にもしばしば出題される傾向にあります。

以下の記事も参照ください。

40問:未熟児網膜症に対する抗VEGF薬

答えはb

未熟児網膜症に対して抗VEGF薬投与は角膜輪部から1〜1.5mmのところに垂直に穿刺します。

また、投与量に関してはラニビズマブは片眼 1 回につき 0.2 mg(0.02
mL)、アフリベルセプトは片眼 1 回につき 0.4 mg(0.01 mL)投与します。

41問:未熟児網膜症の治療

答えはb

未熟児に対する抗VEGF薬注射後3週間での再燃の問題です。
再投与は添付文書上1ヶ月あける必要がありますので行わず、光凝固が答えになります。

42問:網膜色素変性症に伴う白内障

答えはa, b

網膜色素変性症に伴う白内障では前嚢・後嚢下白内障の頻度が高くチン氏帯脆弱リスクが高いです。
また術後前嚢収縮や、嚢胞様黄斑浮腫を合併しやすいです。

43問:黄斑前膜

答えはa, c

網膜の形が歪になるので、ものが歪んで見えるというのはイメージしやすいと思います。
また、黄斑前膜では膜の収縮によって網膜が中央に凝縮するような形となり、視細胞が密になります。そのため見え方は大きく見えます。

黄斑円孔では黄斑部の視細胞が周辺に寄った形になるので、見え方は中央に凝縮したようになるので対比して理解すると良いと思います。

44問:網膜色素上皮裂孔

答えはc

網膜色素上皮裂孔は、出血性PEDや漿液性PEDの急激な増大やPC瘢痕などが原因となります。
加齢黄斑変性症は主要な原因の一つです。

45問:ステロイド合併症

答えはd

ステロイドの合併症で起こる疾患を答える問題。
MPPEが答えで、それ以外の選択肢は全て白点症候群でした。

特にAPMPPEとMPPEは名前が似ているのでこんがらがりやすいので要注意です!

MPPEはCSCが多発するような疾患。ステロイドが誘因となります。

APMPPEは白点症候群の仲間で、両眼性に白点を認める疾患でFAでの逆転現象が特徴的です。OCTでは白斑は視細胞のある網膜外層の高反射として観察されます。

46問:von Hippel-Lindau病

答えはa, e

von Hippel Lindau病は常染色体優性遺伝の遺伝性の疾患でVHL遺伝子変異が原因です。

全身に血管腫や癌を発症する疾患で、主なものとしては脳脊髄の血管腫、網膜血管芽腫、腎細胞癌、副腎褐色細胞腫、膵臓腫瘍などが挙げられます。

ちなみに以前、網膜血管腫と網膜血管芽腫についても議論がありましたがおそらく同じと考えて良いとの結論でした。
これに関してもし別の見識をお持ちの先生いらっしゃればご教示頂けると助かります。

47問:黄斑部毛細血管拡張症

答えはb

Type1は先天的な毛細血管の異常であるのに対して、Type2は網膜のミュラー細胞が変性を起こす疾患です。

黄斑部の毛細血管が拡張しているのでType1, 2と分けられていますがこれらは全く別の疾患ですので混同しないよう注意が必要です。

48問:病的近視の合併症

答えはe

黄斑部の単純出血や、脈絡膜新生血管が起こります。
また近視性の黄斑分離や黄斑円孔網膜剥離なども起こる場合があります。

網膜色素上皮剥離はAMDでは起こりますが、病的近視では起こりません。

49問:黄斑ジストロフィ

答えはa, e

黄斑ジストロフィーに分類される疾患は以下のとおりです。

  1. ベスト病
  2. スタルガルト病
  3. オカルト黄斑ジストロフィー
  4. 錐体ジストロフィー、錐体杆体ジストロフィー
  5. X連鎖性若年網膜分離症
  6. 中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィー
  7. その他の黄斑ジストロフィー

これらの疾患は全て黄斑ジストロフィーとして難病にも指定されています。

https://www.nanbyou.or.jp/entry/4798

50問:疾患と所見の組み合わせ

答えはb, c, d, e?

これは答えは4つありますかね?

疾患の組み合わせ
これは二つ選ぶ問題ですがa以外全て正解に思えます。ご意見あれば教えて頂けると助かります!

a. blau症候群は小児に発症するサルコイドーシスのような病気というイメージでよいと思います。4歳以下に好発です。眼瞼下垂は関係ありません。

b. Usher症候群は網膜色素変性症に難聴を合併します。

c, d Hurler症候群やScheie症候群はムコ多糖症に分類される類縁疾患で角膜混濁や網膜色素変性症を合併します。Hunter症候群も同様に網膜色素変性症を合併しますが角膜混濁は合併しません。
僕は、Hunterは角膜濁れば狩りができないから濁らない。とこじつけて覚えています。

e. マルファン症候群では円錐角膜を合併します。他に合併しやすい疾患としては、アトピー性皮膚炎、ダウン症候群、エーラス・ダンロス症候群、クルゾン病、ターナー症候群などが挙げられます。

51問:内因性眼内炎

答えはb, c

原因病巣としては肝膿瘍が最多で、他には尿路感染などグラム陰性桿菌によるものが多いです。
特に肝膿瘍を起こすクレブシエラの中には強毒性の侵襲性が高いものが存在しており、それが眼内へ行くことが多いようです。

52問:結核

答えはb

結核性ぶどう膜炎は肉芽腫性ぶどう膜炎を呈し、出血を伴う網膜血管炎を合併するのが特徴的です。
稀に脈絡膜結核腫も合併します。

虹彩萎縮はヘルペス虹彩炎後にみられる所見です。

53問:梅毒性ぶどう膜炎

答えはe

梅毒は近年急激に増加しており、臨床的にも割と見かけるようになっています。
所見は非常に多彩で、網膜血管炎や視神経炎を伴うこともあり、後極部円盤状滲出斑がみられることもあります。
どのようなぶどう膜炎でも常に梅毒の可能性を念頭におく必要があります。

梅毒検査にはRPR法とTP法が存在します。
TP法は一度梅毒感染を起こすと生涯陽性となります。
これに対してRPRは感染がactiveな時に陽性となりますので両者を併用して検査を行います。
RPR法には生物学的偽陽性が存在するので注意が必要です。

54問:Marfan症候群

答えはa, d

マルファン症候群では近視化や、水晶体脱臼による高次収差増加などを認めます。
遺伝は常染色体顕性(優性)です。

55問:ミトコンドリア遺伝子異常

答えはb, c

眼科ではLeber遺伝性視神経症が有名です。
他には慢性進行性外眼筋麻痺もあり、これに網膜色素変性症や難聴を合併するとkearns-sayre 症候群と呼ばれます。

56問:乱視を軽減する方法

答えはe

角膜乱視については強主経線を切る、もしくは弱主経線を縫うことで軽減が可能です。

a, c. 倒乱視なので上方切開での白内障手術では乱視が強まります。

b, d. 直乱視なので弱主経線である3時9時方向を縫うことで乱視が軽減できます。逆に3時9時の抜糸を行えば乱視は強まります。

e. 倒乱視なので強主経線である3時9時の抜糸を行えば乱視は減ります。

57問:調節ラグ

答えはe

調節ラグとは近くを見ようとするほど調節反応が鈍ることにより、焦点が網膜後方へずれてしまうことをいいます。

老視や遠視、近視の過矯正などがあると調節に必要な力が大きくなるので調節ラグは大きくなります。

累進屈折メガネでは調節に必要な力は小さくなるので調節ラグが小さくなります。

58問:残余乱視

答えはd or e?

sin^2αで計算すると0.25なので残余乱視は0.75Dと計算しましたが選択肢にありませんでした。トーリックIOLが30度ずれると矯正効果はほぼ無くなるということを考慮すると1.00を答えと考えた問題なのかもしれません。

59問:検影法

答えはa

検影法の問題。
50cmの距離で+5Dで中和しています。
50cmの距離では+2Dを基準に考えますので、5-2=3Dとなります。

60問:オルソケラトロジー

答えはe

ガイドラインによると禁忌は以下の通りです。

  1. 適応基準に適合しない患者。(レフ値が安定しない、内皮2000以下など)
  2. インフォームド・コンセントが得られない患者。
  3. 定期検診に来院することが困難な患者。
  4. 妊婦、授乳中の女性あるいは妊娠の計画がある女性。
  5. 免疫疾患のある患者〔例えば後天性免疫不全症候群(AIDS),自己免疫疾患〕あるいは糖尿病患者。
  6. コンタクトレンズの装用、またはケア用品の使用によって、眼表面あるいは眼付属器にアレルギー性の反応を起こす、または増悪する可能性のある患者。
  7. 前眼部に急性、亜急性炎症または細菌性、真菌性、ウイルス性などの活動性角膜感染症のある患者。
  8. 角膜,結膜(春季カタルなど)、眼瞼の疾患、およびそれらに影響を及ぼす損傷、奇形などがある患者。
  9. 重症な涙液分泌減少症(ドライアイ)患者。
  10. 角膜知覚の低下している患者。
  11. 治療途中に車あるいはバイクの運転をする患者、または視力変化が心身の危険に結びつくような作業をする患者で他の屈折矯正方法を一時的にでも用いることが困難な場合。
  12. 不安定な角膜屈折力(曲率半径)測定値あるいは強度に不正なマイヤー像を示す(不正乱視を有する)患者。

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/orthokeratology_2edition.pdf

61問:遠点と近点

答えはb

このような計算問題では以下の2点を推奨しています。
①全ての値を屈折度(D)に変換して計算する。
②必ず図を描く。

そしてこの二つの式を覚えてください。ここでの遠点や近点はそれぞれのところの屈折度を意味しています。

遠点-調節力=近点
裸眼遠点-メガネ度数=メガネ遠点

この問題では
裸眼遠点(+3D)、調節力(2D)、メガネ度数(+5D)が与えられています。

裸眼近点=裸眼遠点-調節力=+3-2=+1D

次に
メガネ遠点=裸眼遠点-メガネ度数=+3-5=-2D

メガネ近点=メガネ遠点-調節力=-2-2=-4D
となります。

以上より
メガネ遠点は-2Dなので眼前50cm
メガネ近点は-4Dなので眼前25cmとなります。

62問:自覚的回旋斜視角

答えはb, e

自覚的回旋斜視角の測定法
大型弱視鏡や、マドックス杆が有名です。

ちなみに他覚的には眼底カメラなどが有用です。

63問:日常視に近い網膜対応検査

答えはe

網膜対応の検査において、最も日常視に近いと言われればバゴリーニです。

ちなみに最も両眼分離できるものを聞かれた場合は残像検査になりますのでこちらも合わせて覚えておいてください。

64問:シクロペントラート

答えはb

サイプレジンの頻度の高い副作用としては眠気があり、重篤なものとしては痙攣などが報告されています。
点眼時には注意が必要です。

65問:上斜筋麻痺

答えはe

右眼の上斜筋麻痺で見られる所見は以下の通りです。

  • ・右上斜視
  • ・右外方回旋偏位
  • ・左(健側)へのhead tilt
  • ・右眼内転時のup shoot(下斜筋過動)
  • ・左下方視時の左眼下直筋過動

66問:滑車神経麻痺

答えはe

滑車神経麻痺に視力障害のないRAPD陽性を認めた場合は中脳背側病変を疑います。病変の位置によってはRAPDと同側の滑車神経麻痺が見られる場合も、対側の滑車神経麻痺が見られる場合もあります。

67問:近視性不同視弱視

答えはe

a. 潜伏眼振は両眼の網膜像の左右差が引き金となります。不同視弱視では健眼へ向かう律動性眼振が遮蔽をしなくても見られるので顕性潜伏眼振と呼びます。

b. 眼軸長の左右差を認めます。

c. 治療には完全強制とアイパッチを用います。

d. 遠視性不同視弱視と比べると、近視性不同視弱視の方が予後が悪いです。ここで注意ですが、弱視になりやすいのは遠視性不同視です。遠視性では遠視のきつい方の眼が近くも遠くもピントが合わないのに対して、近視性では近視がきつい眼は手元にはピントが合うからです。にも関わらず近視性不同視で弱視になる場合は近視度数が極めて強いか他の疾患が併存している可能性が高く、予後は悪いです。

e. 軸性不同視では、メガネのマイナス度数が強いほど網膜像は拡大します。一方で屈折性不同視ではメガネのマイナス度数が強いほど網膜像は縮小するので間違えないよう注意が必要です。

68問:小児へのメガネ処方の形状

答えはd, e

鼻の発達が不十分であれば基本的に耳に巻き付くようなテンプルで、耳のみで固定することが求められます。

a. 長手とは耳にひっかける部分が曲がっておらず、まっすぐなメガネです。別名ストレートテンプルとも言います。

b. 半かけは長手よりも少しだけテンプルが耳に沿って曲げられていますが、耳の上に乗っける形なので鼻が未発達だと適しません。

c. ショートはテンプルが短く、やはり耳の上に乗っける形なので不適です。

d, e 2段曲がりやまきつる式だと耳に巻き付く形で答えが可能なので適しています。

69問:感覚性外斜視

答えはe

感覚性外斜視は廃用性外斜視とも呼ばれ、斜視眼に何らかの視力低下の原因があるためうまく固視が出来ないことが多いです。
そのためどちらの目も固視が必要な検査は適しません。

クリムスキーは第一眼位でプリズムを用いてHirschberg法を定量する方法で、角膜の光反射を見るので見た目の眼位を定量可能です。

70問:パネルD-15

答えはd

a. 先天色覚異常の検査に用います。

b. 色覚異常の有無を評価はできず、あくまで程度判定です。passできても正常ではなく正常色覚の10分の1以上の弁別能です。

c. 型判定もある程度可能です。

d pastかfailで判断するので正しいです。

e. 重症とそれ以外に分けます。

71問:常染色体優性視神経萎縮

答えはc

常染色体優性視神経萎縮はOPA1遺伝子異常です。
ちなみにレーベルと同様に視神経障害に左右差があってもRAPDは出にくいです。

72問:抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎

答えはb

この疾患は急性期治療と再発予防の治療に分けて考える必要があります。

急性期治療は以下のとおりです。

  • ・ステロイドパルス
  • ・血漿交換
  • ・ガンマグロブリン大量療法

再発予防にはステロイドの内服が行われていましたが近年いくつかの薬剤が承認されましたので表を載せておきます。

73問:上方注視麻痺

答えはa

上方注視麻痺は上下の眼球運動中枢であるriMLFの障害で引き起こされ、松果体腫瘍などによりパリノー症候群が有名です。

a. 上方注視麻痺は核上性の障害で、ベル現象とは経路が違うのでベル現象は陽性を保てています。核下性や筋性の障害ではベル現象が陰性となるので鑑別点となります。

b. 眼瞼下垂は関係ありません。

c. 人形の目現象もベル現象と同様に経路が違うので陽性を保てています。

d. 片側でもriMLFがやられれば起こります。

e. 複視の幅が上下方視で変わらないのは上下斜視です。

74問:先天眼振

答えはd

アレクサンダーの法則というのは眼振の静止位から離れるほど、眼振の程度や頻度が増えることを言います。

こちらの記事も参照ください。

75問:右眼が揺れる

答えはe

発作的に揺れて見えるという症状をきたすのは選択肢の中では上斜筋ミオキミアだけです。

上斜筋ミオキミアは原因不明の疾患で、発作的に上斜筋が痙攣を起こして内方回旋する疾患です。
発作は数秒〜数時間続くこともあり、特に下方視で悪化します。
患者は動揺視や複視を自覚します。

内方回旋はパッと見では分かりづらいので、参考動画のようにスリットで観察しながら結膜血管の動きをみるとわかりやすいです。

参考動画:https://youtu.be/EXpBXrva77U?si=sinr_YFAV5r8cxju

76問:隅角の解剖

答えはa

隅角は角膜側からデスメ膜の終端がシュワルベ線(白)となります。
そして線維柱帯(茶)、強膜岬(白)、毛様体帯(茶)となります。

この白いラインを目安に見るようにするとわかりやすいと思います。

77問:ハンフリー視野計

答えはd?

a. PSDは視野の局所的な沈下を検出しやすいです。後期緑内障で視野障害が進行するとMD値と同様に低下します。

b. エスターマンでは上方より下方に測定点が多いです。ただ、測定点が多いのは中央なので答えにしてよいか悩みました。dが答えならこちらは誤りだと思います。測定点の図を載せておきます。

c. 10-2は2度間隔です。中央では中心から上下左右5ヶ所ずつ測定点があります。こちらも図を載せておくので確認しておいてください。

d. Full thresholdに対応するSITA standardでは基本的に4dBずつ輝度を下げていって、見えなくなったところから2dBずつ明るくするという手法をとります。これに対してSITA fastでは上下ともに4dBずつ変化させるようなので、これが答えで良い気がします。あまり検査法について理解できていないので間違っているようでしたら教えていただけると助かります。

e. 後期緑内障の進行判定はGPが有用です。あとはハンフリー10-2で中心視野の跳び具合も参考になります。

78問:緑内障進行の危険因子

答えはa, b

開放隅角緑内障の危険因子は以下のとおりです。

  1. 高眼圧
  2. 大きなC/D比
  3. 薄い中心角膜厚
  4. 近視
  5. 高齢
  6. 乳頭出血(NTGに多い)
  7. 低血圧
  8. 低い眼灌流圧(平均血圧-眼圧)
  9. 心疾患
  10. 家族歴
  11. 角膜ヒステレシスが低い
  12. 乳頭周囲脈絡網膜萎縮(PPA)β域が大きい

79問:原発閉塞隅角緑内障と前駆病変

答えはa

原発閉塞隅角緑内障の治療第一選択は薬物療法ではなく手術です。

80問:緑内障の薬物治療

答えはe

この問題は明らかにeが正しく、他が誤りです。

81問:眼圧下降の第一選択

答えはc, e

緑内障ガイドライン第5版によると、第一選択にできるのは以下の3種類です。

  • FP受容体作動薬
  • β受容体遮断薬
  • EP2受容体作動薬

82問:配合点眼薬

答えはe

主な合剤の種類は以下の通りです。
最近は緑内障の合剤系の問題も毎回出てくるので一般名と組み合わせは覚えておく必要がありますね。
eの選択肢ではチモロールとラタノプロストをザラカムに変えられます。

・FP受容体作動薬とベータブロッカー

  • チモロール+ラタノプロスト=ザラカム
  • チモロール+トラボプロスト=デュオトラバ
  • チモロール+タフルブロスト=タプコム
  • カルテオロール+ラタノプロスト=ミケルナ

・ベータブロッカーとCAI

  • チモロール+ドルゾラミド=コソプト
  • チモロール+ブリンゾラミド=アゾルガ

・ベータブロッカーとα2刺激

  • チモロール+ブリモニジン=アイベータ

・CAIとα2刺激

  • ブリンゾラミド+ブリモニジン=アイラミド

・ROCK阻害薬とα2刺激

  • グラナテック+ブリモニジン=グラアルファ

83問:続発緑内障

答えはb, d

上強膜静脈圧の上昇を引き起こす疾患を選べばよく、以下の疾患などが挙げられます。

  • 眼球後方の腫瘍
  • 甲状腺眼症
  • スタージ・ウェーバー症候群
  • 海綿静脈洞の疾患

84問:レーザー線維柱帯形成術の合併症

答えはa, c

SLT直後の合併症としては虹彩炎や、術後一過性の眼圧上昇があります。眼圧には特に注意が必要です。

85問:線維柱帯切除後のレーザー切糸術の合併症

答えはa, d

糸を切る事で結膜穿孔が起きたり、過剰濾過による低眼圧を引き起こします。低眼圧により脈絡膜剥離や低眼圧黄斑症なども引き起こすことがあります。

86問:眼外傷

答えはb, c

a. 外傷性黄斑円孔は自然軽快が期待できるので経過観察します。

b. 虹彩脱出があれば交感性眼炎リスクとなるので早期手術を行います。

c. 鋸状縁断裂では網膜剥離に対する早期手術を行います。

d, e 脈絡膜破裂や毛様体解離は経過観察します。

87問:外傷性散瞳

答えはc

外傷性散瞳では外力により瞳孔括約筋が障害されることで散瞳状態となります。
筋の障害なので対光反射は直接も間接も障害され、ピロカルピンにも反応しません。

88問:治療用コンタクトレンズ

答えはa, c

角膜穿孔ではSCLで蓋をしている間に穿孔部の閉鎖を期待します。
再発性上皮びらんは疼痛対策と機械的刺激の緩和のためにSCLを使う場合があります。
他には膠様滴状角膜ジストロフィーではコンタクトの装用によりアミロイド沈着を抑制できます。

反対に感染性の疾患では基本的にコンタクトは避けます。

89問:コンタクトと眼鏡

答えはd

近視の場合はコンタクトより眼鏡の度数を強くする必要があります。
遠視の場合は眼鏡よりコンタクトの度数を強くする必要があります。

まずこれらを覚えておきましょう。どっちがどっちか混乱してしまわないよう注意です。

計算式は以下の通りです。
コンタクト度数=メガネ度数÷(1-0.012×メガネ度数)

この0.012というのは角膜とレンズの距離である12mmを意味しています。

90問:ぶどう膜炎を引き起こす抗がん剤

答えはb

免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブやイピリムマブでは、原田病類似のぶどう膜炎を引き起こします。

他でしたら非結核性抗酸菌症の治療などで使われるリファブチンによるぶどう膜炎も比較的有名でまだ出題されていないので合わせて覚えておいてください。

91問:結膜嚢常在菌

答えはc, e

表皮ぶどう球菌とコリネバクテリウムが答えです。
過去問にも類題がありました。

92問:遅発性眼内炎の起因菌

答えはb

遅発性眼内炎と言われればアクネ菌です。

Cutibacterium acnesが答えです。
昔はpropionibacterium acnesという名前でp.acnesと呼ばれていましたが名前が変わってcutibacterium acnesになったのでc.acnesとなります。

93問:PAヨード

答えはc

a. 希釈後は冷蔵庫保存です。

b. 眼瞼皮膚の殺菌にも有効です。

c. 殺菌意外にヘルペスにも有効で効能に記載があります。

d. 希釈後は速やかに使用することとなっております。サンヨードでも3日が期限ですので7日以上というのは誤りです。

e. オキシグルタチオン酸は手術の灌流液にいれます。

94問:羊膜移植

答えはe

羊膜移植には以下に示す3種類の方法と目的があります。それぞれの適応疾患も示します。

  1. 羊膜移植術
    羊膜を強膜、あるいは角膜実質上に移植し、新しい基質を供給することで、再生する角結膜上皮の適切な分化・増殖を図る。

    適応疾患:角結膜上皮疾患、再発翼状片、眼表面の腫瘍性疾患、水疱性角膜症 等
  2. 羊膜充填術
    羊膜を代用実質として使用する。術後半年には実質と一体化し、いずれは実質組織と入れ替わる。

    適応疾患:角膜小穿孔、非感染性の角膜潰瘍 等
  3. 羊膜被覆術
    羊膜を一時的なカバーとして用い、上皮化させるとともに、消炎をはかる。患者さんの角結膜上皮は、羊膜下に伸展し、羊膜は通常1~2週間で除去する。

    適応疾患:保存的治療に抵抗する遷延性上皮欠損、栄養障害性潰瘍、角膜化学外傷の急性期 等

95問:疾患と術式の組み合わせ

答えはd

眼輪筋短縮を行うのは眼瞼外反ではなく内反症です。

96問:スペキュラ

答えはb

スペキュラーにおける正常値

  • 細胞密度(cell/mm²):3000程度。少ないと異常。
  • 平均細胞面積(μm²):300程度。大きいと異常。
  • 変動係数(CV値):0.3程度。細胞の大小不同を示す数値で大きいとバラツキが大きく異常。
  • 六角形細胞出現率(%):60%程度。正常細胞の比率で少ないと異常。

3に関する数値だと覚えると良いと思います。あとはそれぞれ何を示していて、正常より大きくなるか小さくなるかどちらが異常かは答えられるようにしておいてください。

97問:緑内障と治療の組み合わせ

答えはa

a. 流出路再建術の適応は以下の通りです。緑内障関連は適応や禁忌が問われやすいので特に確認しておきましょう。

適応基準としては20歳以上の患者で以下の全てを満たすものです。

  • 初期中期の原発開放隅角緑内障(広義)または落屑緑内障で、白内障を合併している.
  • レーザー治療を除く内眼手術の既往歴がない.
  • 隅角鏡で観察し、Shaffer分類Ⅲ度以上の開放隅角で、周辺虹彩眼癒着を認めない.
  • 緑内障点眼薬を1成分以上点眼している.
  • 緑内障点眼薬を併用して眼圧が25mmHg未満.
  • 除外基準としては以下のものが挙げられます。
  • 水晶体振盪またはZinn小帯断裂を合併している.
  • 認知症などにより術後の隅角検査が困難である.
  • 小児
  • 角膜内皮細胞密度が1500個/mm2未満

ちなみに海外基準での禁忌も載せておきます。

  • 閉塞隅角緑内障
  • 血管新生緑内障
  • 眼窩腫瘍
  • 甲状腺異常
  • スタージウェーバー症候群またはそのほか上強膜静脈圧を上昇する疾患に伴う緑内障

b. 毛様体破壊術はほかの治療に反応しない末期に行われます。

c. 隅角結節があるぶどう膜炎にはロトミーできません。

d. プラトー虹彩では周辺虹彩切除ではなく白内障手術を行います。

e. PASを伴うぶどう膜炎続発緑内障には隅角癒着解離術が適応となる場合もありますが、単独では再度の癒着が起こりますしこれだけでの治療というのは難しいと思い答えには選びませんでした。

98問:トラベクロトミーの合併症

答えはb, e

前房出血と一過性眼圧上昇は主要な合併症です。

他の選択肢の浅前房や脈絡膜剥離、角膜内皮障害などは線維柱帯切除術の合併症です。

99問:パーフルオロカーボン

答えはb

パーフルオロンは網膜剥離の際だけでなく、水晶体核落下やIOL落下の際に落ちたものを持ち上げるためにも使用されます。水晶体もIOLも基本的にはどの材質でも持ち上げられますが、ガラスは浮上させられません。

100問:網膜毒性のある薬物

答えはb, e

ICGとtPAが答えです。
トリアムシノロンは無菌性眼内炎が起こることはありますが網膜毒性はありません。

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