網膜疾患

先天性停止性夜盲について

先天性停止性夜盲とは

先天性停止性夜盲は広い意味では夜盲の進行が無い白点状眼底や小口病を含むのですが、狭義での先天性停在性夜盲は進行しない夜盲のうち眼底に異常をきたさないものを指すことが多いです。

狭義の先天性停止性夜盲(CSNB)は完全型不全型の2つに分けられます。

原因は双極細胞の異常にあります。

双極細胞にはon型off型があり、on型は桿体細胞・錐体細胞と、off型は錐体細胞と連絡しています。

完全型先天性停止性夜盲(CSNB)

on型双極細胞の異常があり、桿体細胞は完全に障害されています。
off型双極細胞が保たれているので錐体機能は維持されています。

杆体障害のため主訴として強い夜盲を認めます。
強度近視を伴うことが多いですが、錐体は保たれているので視力障害などは認めません。
眼底は近視様眼底を認める以外は正常で、FAGやOCT検査でも以上は認めません。

治療法は特にありませんので、屈折矯正を行います。

不全型先天性停止性夜盲(CSNB)

視細胞と双極細胞(on型, off型両方)のシナプス機能不全が起こっていると考えられています。

不完全にon型, off型共に信号が減弱するため、完全型と違って夜盲の訴えはあまり強くなく、低視力(0.2〜0.8程度)を主訴に眼科を受診します。
弱視や視神経疾患などと鑑別が必要で診断が難しいです。

眼底所見は強度近視も基本的には伴わず正常なことが多いです。

完全型と同様に治療法は特にありませんが、視力は成長とともに0.7程度まではよくなることが多いと言われています。

先天性停止性夜盲(CSNB)のERG所見

先天性停止性夜盲はERG検査が診断のために最も重要です。

特に小児の原因不明の視力低下や、両眼性の弱視で改善が乏しい症例では、不全型CSNBを鑑別に入れてERG検査を施行することが診断の助けとなります。

完全型CSNB

ERGで桿体機能が完全に消失しているのが特徴的です。
ちなみにERGでは桿体がflatでフラッシュは陰性型、錐体反応ではa波の底が水平に長くなるsquare a-waveという特殊な所見を認めます。

不全型CSNB

ERGで完全型と比べると桿体機能がわずかに残存しており、錐体応答が減弱しているのが特徴です。
不全型は強度近視も伴わず、眼底は正常です。

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