こんにちは!眼科医ぐちょぽいです!
本日は中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)について勉強していこうと思います。
CSCは脈絡膜血管の透過性の亢進が疾患の根底にあって、RPEの血液網膜関門が二次的に破綻することで網膜下に水が溜まる疾患です。
目次
CSCの疫学と原因
基本的なことを羅列すると
30〜50歳代の男性に多い
症状は変視、中心暗点、小視、色覚障害などがあります。視力低下はあっても軽度なことが多いで
ストレスやA型パーソナリティ(いわゆる神経質な細かい人)がリスク
妊娠やステロイドが原因となることも(脈絡膜血管透過性を引き起こす)
ちなみにステロイドは内服だけでなく塗り薬や吸引でも発生することがある。
CSCの検査所見
FAGでは漏出点を認め、後期相で漏出点の拡大が特徴的です。
黄斑から離れていれば直接PC、黄斑に近ければPDTが適応となりますが保険適応外です。自然軽快もあり。
“Central serous chorioretinopathy with increased choroidal thickness” by Jay Chhablani, Giulio Barteselli can be reused under the CC BY license
CSCの典型OCTも貼っておきます。網膜下液が溜まっていても網膜自体の構造が保たれていることがわかると思います。この構造が保たれていると視力低下は起こらない場合があります。
CSCの自覚症状
変視が起こるのは黄斑の形が変わるので想像しやすいと思います。
そして色覚異常についてです
色覚異常は主に1型(赤の異常)、2型(緑の異常)、3型(青の異常)に分けられて、先天性色覚異常はX劣性遺伝のため男性に多くほとんどが1型と2型の異常を呈します。
これに対してCSCのように後天性の色覚異常を引き起こす疾患では3型の異常を呈することが多いです。
色覚検査のスクリーニングとして有名な仮性同色表ですが、これは1型と2型の異常しか検知できませんので3型のスクリーニングのためには標準色覚検査2型(SPP-2)が必要となります。
あと水晶体と黄斑部が近くなることで遠視化も来します。
また患眼で物が小さく見える小視症も認める。これは黄斑部の視細胞の密度が変化することで生じる。中心性漿液性網脈絡膜症では漿液性網膜剥離によって網膜が伸展して視細胞密度が減少するため、実際よりも小さく見える。一方で黄斑前膜では膜の収縮により網膜の視細胞密度が上昇することで、実際よりも大きく見える大視症を生じる。また、黄斑円孔では中心部の視細胞が円孔辺縁部に移動するため、中心部に集まったような特殊な見え方となる。
CSCが妊婦やステロイドと関連することなど意外と知らない方もいらっしゃったと思いますのでこの機会にしっかり覚えておきましょう。
それでは本日はこの辺で。