こんにちは!眼科医ぐちょぽいです!
本日は放射線網膜症についてまとめていきます。
目次
放射線網膜症について
放射線治療では細胞のDNA障害とフリーラジカルによる殺腫瘍効果を期待して使用されています。
このフリーラジカルが正常網膜にも作用し、血管内皮障害が起こり、血管閉塞による虚血を引き起こすことによって放射線網膜症を引き起こします。
網膜の耐容線量について
網膜の耐容線量は45Gyと言われていますが、糖尿病など血管障害を起こす基礎疾患があればより低い放射線量でも発症します。
基本的に被爆後6か月から3年に多く発症すると言われており、頻度としては45Gy以上浴びた場合には5年以内に5%発症するとの報告もあります。
放射線網膜症の眼底所見
眼底所見的には糖尿病網膜症とほとんど一緒と思っていいと思います。
網膜出血や軟性白斑、造影検査では無灌流域を認めます。
通常放射線を浴びた片眼に発症することが多いですが、蝶形骨洞や鼻腔などに対する放射線治療後では両眼に同程度の網膜症を引き起こすこともあるのでDMとの鑑別が難しい場合があります。
放射線網膜症の治療
治療は無血管野に対する網膜光凝固療法を行います。
放射線による網膜以外の障害
放射線によって網膜だけでなく、ドライアイ、白内障、視神経障害、涙道通過障害なども引き起こすので放射線治療後の症例ではこれらを全て確認するようにすると良いと思います。
特に白内障は早期に見られやすく、放射線を浴びる方の検診項目にもあるので合わせて覚えておくとよいと思います。
それでは本日はこの辺で。