抗菌薬について

ベータラクタム系抗菌薬について

こんにちは!眼科医ぐちょぽいです!

本日はベータラクタム系抗菌薬と微生物の考え方について基本的なところから書いていこうと思います。

細菌感染症の主要な原因

まず感染症を考えるにあたって重要な微生物はグラム陽性球菌と、グラム陰性桿菌です。

グラム陽性球菌

  • 黄色ブドウ球菌
  • 溶連菌
  • 肺炎球菌

グラム陰性桿菌

  • 大腸菌
  • クレブシエラ
  • インフルエンザ桿菌
  • 緑膿菌

これらを把握するのがまず大切です。これらとプラスして嫌気性菌と呼ばれる菌をまずは覚えておけばよいと思います。

嫌気性菌

嫌気性菌というのはざっくり言うと空気に触れると死んでしまう菌です。多くは口の中の唾液や粘膜の中に潜んでいたり、腸の中に潜んでいます。クサイ匂いの膿が出る時はだいたいこいつらの仕業です。(眼科では涙囊炎を排膿したときなどに出会います)

抗菌薬を考えるときにはざっくり、このグラム陽性球菌を狙うのか、陰性桿菌を狙うのか、嫌気性菌を狙うのか、それ以外なのかをまず考えると分かりやすいと思います。

かなり強引ですが
グラム陽性球菌は上気道や皮膚などに多く、陰性桿菌は腸の中に多いイメージです。

ベータラクタム系抗菌薬について

ベータラクタム系と呼ばれる薬は細菌の細胞壁を破壊する薬です。
細胞壁を破壊することで菌をすぐに殺すことが出来るので即効性があり、殺菌性の薬と呼ばれます。

ペニシリン

ペニシリンは基本的にグラム陽性球菌に効果があり、陰性桿菌には効果が無いです。
今使用されているサワシリンやビクシリンはちょっとグラム陰性菌にも効くように改良されているので大腸菌などの腸の菌にも効きます。
嫌気性菌には効かない場合がありますが、ベータラクタマーゼ阻害薬を配合したペニシリン系では嫌気性菌にもよく効きます。
ちなみにベータラクタマーゼというのはペニシリンやセフェムなどを破壊する酵素で一部の耐性菌が出しています。これを阻害する薬を混ぜることで耐性菌にも抗菌効果を出すことができます。ユナシンのアンピシリン/スルバクタムのスルバクタムなどがこれです。

セフェム系

セフェムについては第1〜4世代までありますが、すべてにおいて腸球菌に無効なことと嫌気性菌に対しては効きにくいです。
第1世代はサワシリンなどと同じでグラム陽性球菌がメインです。
第2世代は上記に追加して嫌気性菌への効果が強くなっています(セフェムでは嫌気性菌に対してはこれが一番効果あります)
第3世代はグラム陰性菌への効果を広げた結果、グラム陽性菌への効果が弱くなってしまっています。
ちなみにベストロン点眼や、眼内炎で使用するセフタジジムもこの分類です。
第4世代はグラム陽性球菌から陰性桿菌まで広く効くように改良されたものですが、嫌気性菌には効果が弱いです。

カルバペネム

カルバペネム系はグラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、嫌気性菌全てに対して効果のある薬なのでとりあえず広域抗菌薬という感じでよく使われます。
適切に使用されれば非常に良い薬なのですがDI通りでは用量が足りなかったり、けいれんの副作用があるのと、抗けいれん薬の作用を弱めるような効果もあるので全ての患者に安易に使用してよい薬ではありません。
よく言われる耐性菌リスクもありますし、個人的には眼科臨床において使用すべきタイミングはほとんど無いと思います。
(内因性眼内炎で起因菌不明の場合や、眼窩蜂窩織炎で少しでも広がれば髄膜炎への波及が疑われて待てない状況などくらいでしょうか)

内服のカルバペネムについて
内服の場合はバイオアベイラビリティーが低いのと緑膿菌への効果がありませんので点滴とは別の薬だと思った方が良いです。

まとめ

主要なベータラクタム系の抗菌薬については以上になります。
これらの薬剤は特に使用頻度が高く、眼科でも使用されますので適切な薬剤を適切な量で投与出来るようになれば治療が上手くいきやすいです。

腎機能に応じた各種抗菌薬の投与量についてはサンフォードで確認するようにすると良いと思います。

それでは本日はこの辺で。

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