眼科専門医試験解説

第35回 眼科専門医認定試験 臨床問題 過去問解説

第35回 眼科専門医認定試験 臨床問題の解説を行います。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。

問題については以下↓の眼科学会ホームページよりダウンロード出来ます。

専門医試験過去問(日本眼科学会HP)はこちらから

第35回一般問題の解説はこちらから

1問:毛様体の病理

答えはb, e

a. 房水を産生します。

b. その通りです。血管内皮細胞と毛様体無色素上皮の間に血液房水関門を形成します。

c. 毛様体ひだ部です。

d. 無色素上皮は最も表層にあり、その実質側に色素上皮があります。

e. その通りです。発生学的に同じになります。

2問:片頭痛

答えはb

これは閃輝暗点です。
偏頭痛の前駆症状としてみられるのが有名ですが、閃輝暗点単独で起こることもあります。
原因や機序は明確には解明されておりませんが、後頭葉の一過性血流低下によって大脳皮質の活動性異常が起こると考えられています。

眼による問題ではなく、視覚中枢の異常発火によるものですので、眼を瞑っても認めますし、硝子体牽引は関係ありません。

3問:漿液性網膜剥離

答えはa

漿液性網膜剥離があり、FAでは漏出点もありますので一見するとCSCと思ってしまうかもしれません。

しかしOCTで脈絡膜を見ると、明らかに黒く抜けているところがありますので母斑を疑います。

この症例のようにCSCだと思ったら実は母斑だったという症例は実臨床でも意外と隠れていますのでSRFだけでなくきちんと脈絡膜までOCTを観察するクセをつけるべきだと思います。

4問:眼窩底骨折

答えはe

下直筋が骨折部に挟まれており、絞扼型となっていますので早期手術が必要です。
このまま放置してしまうと筋が虚血により壊死を起こしてしまいます。

小児では骨に弾力性があるので、折れたあとに筋が挟み込まれやすいです。

5問:ROC曲線

答えはb

a. 多変量解析とは名前の通り複数の変数を扱いますので違います。

b. その通りです。検査のカットオフを決めるのに有用です。

c. 45度の線に近づくほど精度が悪くなります。

d. そのような必要はありません。同じ検査について曲線を得ることができます。

e. 感度の高い検査は上に凸になり、偽陽性率の高い検査は下に凸になります。

6問:身体障害者の視覚障害認定

答えはe

なんとなく高齢者では緑内障と黄斑変性が上位にくるのはイメージできたかと思います。
また、円グラフの緑が緑内障で黄色が黄斑変性になっているのは出題者からのメッセージなのかもしれません。

7問:リスク比の算出

答えはd

図を見ての通り、毎年受診を基準に考えられています。

1年以上中断は基準線にかかっているので優位差なしで、2年以上中断は基準線にかかっていないので優位差ありと考えられます。

そして2年以上中断は基準より4.59倍悪くなることが示されています。

8問:涙道造影

答えはc

涙道造影では、涙点から造影剤を入れて、どこまで流れてるかを撮影する検査です。

この症例では鼻涙管で閉塞して造影剤が溜まってしまっているのが観察できます。

涙小管閉塞や、総涙小管閉塞ではもっと涙点に近いところで造影剤が止まります。
涙嚢腫瘍でも涙嚢部よりも手前に造影剤がたまります。

9問:睫毛内反

答えはe

画像は眼瞼の位置は正常なようですが、余剰皮膚によって睫毛が押されて角膜に接触しており、これを睫毛内反症と呼びます。

アジア人の小児に頻発しますが、自然寛解することが多いです。

小児の睫毛は成人と比べて柔らかいので、接触していても自覚症状に乏しい場合もありますが、乱視の原因となり視機能に影響を与える場合もあるので注意が必要です。

この症例は9歳で、自然寛解は期待しづらい年齢になってきており、流涙などの症状も出ているので睫毛内反手術を行います。

a. 睫毛抜去は根本的な解決ではありません。

b. 電気分解は数本だけの睫毛乱生の治療適応です。

c. 挙筋短縮は眼瞼下垂の手術です。

d. ボツリヌス毒素は眼瞼けいれんや斜視に対して行われます。

10問:眼瞼腫瘤

答えはa

肉眼では中央が窪んだようなドーナツ型の腫瘍で、一部に色素を伴っています。

病理画像では腫瘍細胞が胞巣状に配列しており、辺縁には典型的な柵状配列(pallisading)を認めることから基底細胞癌です。

11問:甲状腺眼症

答えはa, e

これは左眼瞼下垂があるわけではなく、右上眼瞼が過剰に上がってしまっている状態で、甲状腺眼症を疑います。

このような正面視で角膜上方の強膜が見える状態をダルリンプル徴候、下方視で上眼瞼が下がり切らず角膜上方の強膜が見える状態をグレーフェ徴候と呼びます。

外眼筋肥厚を伴う場合があるので眼窩内MRIで精査するのと、甲状腺関連自己抗体を調べます。

12問:淋菌性結膜炎

答えはe

前眼部ではものすごい量の眼脂が出ていて、グラム染色では好中球に貪食されたグラム陰性球菌が観察できることより淋菌結膜炎を考えます。

淋菌に対してはクラビットは耐性なので、セフトリアキソン点滴とベストロン点眼を行います。

ちなみに淋菌は死滅しやすい菌であり、培養する場合は事前に検査室へ連絡した上で急いで検体を持っていく必要があります。
培養検査では死滅した菌は増やせませんが、グラム染色では死滅した菌も観察することができるので有用です。

ちなみに淋菌を見た場合はクラミジアの混合感染を起こしていることが多いので、アジスロマイシンも併用することがあります。

13問:結膜乳頭腫

答えはb

肉眼的にカリフラワー状の赤色腫瘍で、病理組織も乳頭状増殖しており、異形もないので典型的な乳頭腫です。

14問:角膜知覚計

答えはe

画像はコシェボネ角膜知覚計です。
先端から出ている糸の長さを変えることで、角膜知覚を定量することができます。

角膜知覚の低下が起こる角膜ヘルペスで有用です。

15問:スティーブンス・ジョンソン症候群

答えはd

感冒薬内服後の全身の薬疹と結膜充血からStevens-Johnson症候群を疑います。
皮膚科専門医による診断および治療が必要ですのでdが答えです。

原因薬剤としては抗てんかん薬であるカルバマゼピンやバルプロ酸、高尿酸血症治療薬のアロプリノールなどが有名ですが、感冒薬や解熱鎮痛薬も原因となります。

とくに感冒薬によるStevens Johnson症候群では眼症状を起こしやすいとも言われているので我々としても注意が必要です。

診断には特に結膜嚢の短縮所見や偽膜形成が重要です。定期的に偽膜をしっかり剥がさなければ癒着していってしまいます。

16問:角膜内皮移植後

答えはd

ホストとグラフトの接着不良によってグラフトが浮いてきてしまい、graft detachmentが起こっています。

治療は空気を入れて仰臥位です。

17問:類天疱瘡

答えはd

白内障術後から進行しているという病歴と、角膜への結膜侵入や結膜嚢短縮所見から眼類天疱瘡を疑います。

このような左眼の結膜侵入所見や右眼の結膜嚢短縮所見をみた場合の鑑別疾患としては、Stevens-Johnson症候群、GVHDなどが挙げられます。

他には緑内障点眼長期使用に伴う偽眼類天疱瘡もありますので臨床でも意識しておくと良いと思います。眼が開きづらいという訴えの際に下瞼を引き下げてみると、意外と結膜嚢短縮所見を認める場合があるので注意です。

18問:アカントアメーバ角膜炎

答えはa, e

SCL使用患者の感染性角膜炎です。
塗沫検査ではファンギフローラY染色でアメーバシストが光って見えています。ファンギフローラY染色は真菌やアメーバシストが光って見えるため、これらの観察に関してはグラム染色よりも見やすく有用です。

病歴からもアカントアメーバ角膜炎が疑わしく、ステロイド点眼を使用していたため角膜炎がマスクされてしまい、病気が進行しているのでこのように多くのアメーバシストが観察される状況になっています。

特にアメーバはステロイドが入っているとアメーバは脱シスト化し、トロホゾイドの割合が多くなり予後が悪くなります。
そうなると適切な治療を行っても治療が難しくなってしまうことがしばしばあるので、安易なフルメトロン処方にはご注意いただきたいというメッセージが込められた問題だと思います。
悩ましい時はその場で判断せずに抗菌薬点眼のみ、もしくはそのまま少し経過をみてみるのもアリだと思います。

治療は物理的にドレナージする角膜掻爬が最もエビデンスがあり、クロルヘキシジンやPHMB等の消毒薬の局所投与などを行います。抗真菌薬も使用されますが、局所投与については有用性が報告されています。一方で従来行われていた全身投与はエビデンス不明瞭なので感染性角膜炎外ドライン第3版でも推奨されていません。

ですので病巣擦過と、消毒薬であるクロルヘキシジンの点眼が答えです。

19問:モルガーニ白内障

答えはa, e

過熟白内障で一部皮質が溶けているように見えます。
このような状態をモルガーニ白内障と呼び、過熟白内障の状態で時間が経つことで生じます。

a. その通りです。

b. 白内障手術で視力は改善します。

c. 過熟白内障の状態がさらに進行したものなので時間をかけて進行します。

d. 皮質が溶けて核が中で動きますが、脱臼はみられません。

e. その通りです。混濁が強く徹照が返ってこないので染色が有用です。

20問:後部ぶどう腫

答えはd

垂直LINEのOCT(図20B)がわかりやすいですが、黄斑下方が後方に突出するような形になっています。これは下方後部ブドウ腫で、眼杯閉鎖不全によって起こる傾斜乳頭症候群に合併することが多いです。

この症例のようにぶどう腫上縁が黄斑近くを横断するような症例では黄斑萎縮や漿液性剥離を伴い視力障害をきたします。

21問:pit-macular症候群

答えはb, d

黄斑部の漿液性網膜剥離を認めますが、よく見るとdiscと繋がっており、眼底写真ではdiscにpitを認めることからpit macular症候群を疑います。

先天的に視神経乳頭にpitがあることが原因で、治療には硝子体手術が有効です。

22問:黄斑円孔

答えはb

視力がよく円孔がかなり狭いので自然閉鎖も期待できる可能性はあるかもしれませんが、3週間前からの視力低下でおそらくPVDも起こっていていそうなので手術でよいのかなと思いましたが自信ありません。

23問:中心性漿液性網脈絡膜症

答えはc?

脈絡膜肥厚とSRFがあり、漏出点を認めますのでCSCを疑います。

PDTをしたいように思いますが、保険収載されているのは光凝固だけなのでこちらを答えにしました。黄斑部から離れているのでPCという意図だと思いますが、CNVリスクも考えると悩ましいです。PDT保険収載して欲しいです…

24問:黄斑円孔

答えはc

黄斑円孔では中央の視細胞が周りに移動しているため、見ようとしたものが中心に集まったような特徴的な見え方をします。
これを見ているのがwatzke allenテストです。

黄斑円孔を示すOCTはcになります。

25問:裂孔原生網膜剥離

答えはc

LINEグループにFukushima先生が載せてくれていたPneumatic RetinopexyのPIVOT criteriaを参考にすると、網膜が剥がれていない箇所でラティスやホールがあっても、PnR可能なようです。

ただ、cに関しては仰臥位ではなく右側臥位という意見もありますが、「気体網膜復位術の適応ではない」というのは言い切りすぎなのでやはりこれが誤りと思います。

最近の学会を見ていても網膜硝子体学会としては気体網膜復位術に関して推奨する印象もありますし、こういった症例の治療選択肢に入れても良いというメッセージではと思います。

特に手術可能施設へのアクセスが難しい地域では治療選択肢としてアリではないかと個人的にも思います。

26問:サイトメガロウイルス網膜炎

答えはb

眼底所見的にCMV疑いますが、易感染性のエピソードが書かれていないのでそこは難しいですね。若年男性ですしAIDSなど調べる必要があるかもしれません。

27問:サルコイドーシス

答えはd?

前房内cellがあり、画像では見辛いですが硝子体混濁があり、下耳側には血管周囲に結節を伴った静脈周囲炎のような所見を認めます。

以上よりサルコイドーシスを考えました。おそらくレントゲンでの異常所見はBHLのことを指しているのだと思いますので治療はプレドニゾロンです。

1stではないもののヒュミラもぶどう膜炎に対しては使えるので、もしかしたら別の疾患を意識した問題なのかも?とも考えましたがわかりませんでした。ご意見あれば是非お願い致します。

真菌や悪性リンパ腫にしてはそれを示唆する病歴に乏しいように思いますし、これだけで判断はできないように思います。

28問:脈絡膜血管腫

答えはc

眼底所見とIA所見からおそらく黄斑部に限局した脈絡膜血管腫だと思います。
視力低下については血管腫に伴う漿液性網膜剥離が原因と考えられます。

29問:梅毒

答えはb

近年増加傾向の梅毒はやはり出題されましたね。
全身の皮疹と、視神経網膜炎をきたしていることから梅毒を疑います。

視神経と網膜両方に炎症を起こすのはサルコイドーシスなどの自己免疫性疾患のほかに、猫ひっかき病や梅毒などの感染性ぶどう膜炎が挙げられます。

特に片眼性であれば感染性が多いです。

ちなみに梅毒では全身に皮疹が出ますが、特に手のひらや足の裏にも皮疹がある場合は特に梅毒の可能性が高まりますので意識して診察する癖をつけると良いと思います。

色々な疾患で皮疹が出ますが、四肢体幹に出ても手のひらに出るのは稀です。

30問:黄斑コロボーマ

答えはa

眼底写真はパッと見、網膜芽細胞腫のように見えるかもしれませんがエコーを見ると、白い部分は腫瘍ではなくむしろ陥凹していますし石灰化病変も認めません。
これは黄斑コロボーマです。

この症例は全身に異常がなく片眼性ですので、経過観察します。

ちなみに両眼性のコロボーマと全身の異常がある場合はCHARGE症候群を疑い精査を行います。
忘れていた人は以下を思い出しておいてください。

C : Coloboma(コロボーマ)
H : Heart defects(心奇形)
A : Atresia of choanae(後鼻孔閉鎖)
R : Retarded growth and development(成長発達障害)
G : Genital abnormalities(外陰部低形成)
E : Ear anomalies(耳奇形・難聴)

31問:Fabry病

答えはd

両眼性の渦巻状角膜混濁を認めており、Fabry病を疑います。

Fabry病はグロボトリアオシルセラミド(GL-3)という糖脂質を体の中で分解する酵素であるα-ガラクトシダーゼ活性が低下するため、GL-3が分解できず、体にたまる病気で、全身にさまざまな症状がみられます。

ちなみによく似たものとしてアミオダロン角膜症があります。
こちらは渦巻状の色素沈着が角膜に見られます。ちなみにアミオダロンは視神経に沈着して視神経症も起こすことがあります。

32問:非屈折性調節性内斜視

答えはa

遠見で斜視がなく、近見で内斜視となっているので遠視によるものではなく高AC/A比によるものです。
これを非屈折性調節性内斜視と呼びます。
調節をかけると過剰に輻輳してしまうのが原因なのでピント調節をかけなくていいように二重焦点眼鏡をかけます。

ちなみに非屈折性調節性内斜視に対する二重焦点メガネについては視能訓練士国家試験第50回 午前22問 写真No1で良い写真があったので紹介しておきます。

近見時の写真を見ると、二重焦点眼鏡の上側(遠用部)だと内斜視となっているのに対して下側(近用部)では斜視が改善しているのがわかると思います。
このような写真で出されてもわかるようにしておくと良いです。

33問:交代性上斜位

答えはd

左眼固視では右眼が上転し、右眼固視では左眼が上転していることから交代制上斜位を疑います。

交代性上斜位は乳児内斜視や潜伏眼振を合併しやすいことは試験的にも重要です。

他には下斜筋過動や上転眼の外方回旋を伴うため、しばしば斜頸を認めることもあります。

異常連合運動というのはマーカスガン現象などでみられます。

34問:Hirschberg法

答えはc

Hischberg試験では、瞳孔縁に光の反射があれば15°、瞳孔縁と角膜縁の中間なら30°、角膜縁なら45°になります。

この症例では瞳孔縁に光の反射があるので15°に相当します。
ただ、ここで15に飛びついてしまうと間違いなので要注意です。僕は初見で間違ってしまいました。

問われているのはプリズムジオプトリです。
1°=2Δに相当するので、答えは30Δとなります。

35問:複視

答えはb

左方視で複視が出ているのでまずは『左眼の外転障害』か『右眼の内転障害』を疑います。

しかし選択肢にないので、他にも考えられるのは右上斜筋麻痺に伴う下斜筋過動です。
右上斜筋麻痺があると左を見た時に右眼は内上方にずれるのめ複視を自覚します。似たような問題は過去問でも問われたことがあるので左右を見た際の複視では上斜筋麻痺についても意識するようにしておくと良いと思います。

36問:NAION

答えはc

起床時から片眼の見えづらさ、下方視野欠損、乳頭腫脹を認めており、炎症反応が出ていないことからNAIONを考えます。
NAIONの症状は起床時からというエピソードが多く、これは就寝時が最も血圧が低くなる影響が考えられています。

a. 虚血は基本的に男性に多いです。

b. 視神経を栄養する血管の分布から、下半斜視欠損が多いと言われています。

c. その通りです。視神経が小さく、血管が混み合ったようなcrowded discがリスクです。NAION症例では健眼のdiscを見ると小乳頭なことが多く、disc at riskと呼ばれます。

d. 抗血小板薬の有効性は不明です。

e. 抗AQP4抗体陽性視神経炎でも虚血が関与しているという説もあり、NAIONのような水平半盲となることがしばしばあります。しかし、水平半盲に抗AQP4抗体陽性が多いというのは言い過ぎだと思います。

37問:レーベル遺伝性視神経症

答えはc

男児の両眼性の視力低下です。
眼底は右眼の視神経乳頭は発赤と軽度腫脹があり、左眼の視神経乳頭は蒼白気味です。
また、FAでは蛍光漏出はないもののdisc周囲の毛細血管蛇行所見を認めます。

これはレーベル遺伝性視神経症で、左眼はもう少しまえから発症しており既に蒼白化してきており、右眼にも発症してきたことにより視力低下を自覚しているのだと思います。

この症例のようにレーベルではがっつり乳頭腫脹というわけではないですが、赤く熟したようなdisc所見となるのが特徴的で、OCTでdiscを取るとやはり軽く腫脹しているのがわかります。

診断はミトコンドリア遺伝子変異の確認が必要で『11778』,『3460』,『14484』番変異が多いです。

38問:PAP

答えはc

画像はPAP(プロスタグランジン関連眼科周囲炎)によるものです。

a. ベータブロッカーのことです。

b. EP2受容体作動薬(エイベリス)のことです。

c. その通りです。副経路促進では昼夜問わず眼圧下降が期待できます。

d. 副経路促進です。下降機序は必ず出るので画像を貼っておきます。覚えていない先生は必ず試験までに頭に入れておいてください!

e. 点眼を増やしても効果は増えません。

39問:水晶体脱臼

答えはb, d

水晶体が前房側に脱臼しています。選択肢的には外傷が疑われますので水晶体摘出を行います。

40問:濾過法感染

答えはe

スリットでは、濾過胞周囲が軽度充血しており、染色画像では濾過胞から房水漏出を認めます。

現状感染があるかははっきりしませんが、晩期の房水漏出は感染リスクが高いので速やかに対応が必要です。またstage1濾過胞感染がではじめている可能性もあるので抗菌薬点眼を併用します。

ピロカルピンは特に関係ありませんのでこれが答えです。

41問:shaken baby syndrome

答えはe

両眼性の広範な眼底出血を認めており、乳幼児にこのような眼底が見られた際は必ず虐待によるshaken baby syndromeを疑って全身精査を行う必要があります。
2ヶ月前にも硬膜下血腫の既往もありますので虐待の可能性を強く疑います。

ちなみに新生児網膜出血というのは聞きなれない先生もいらっしゃるかもしれませんが、これは正常分娩後の新生児に見られる網膜出血で、特に吸引分娩でリスクが高いと言われています。通常の経膣分娩後でも1/3ほどの新生児で見られるとの報告もありますが、1ヶ月ほどで消退するので問題となることはあまりありません。

42問:外傷性黄斑円孔

答えはd

外傷性黄斑円孔は自然治癒が期待できるので一旦経過観察をしますが、この症例は3ヶ月たって治っていないので手術を考えます。

43問:涙小管炎

答えはd, e

難治性の結膜炎ということと、画像Aで涙点の発赤腫脹を認めることから涙小管炎を疑います。

メス(e)で涙点に切れ目をいれて拡張して、匙(d)でかきだします。
涙石は多数あることが多いので、涙道内視鏡が必要になることもあります。

44問:急性原発閉塞隅角症

答えはa, b

過去に左眼にLIが行われており、それが詰まってしまい緑内障発作、水疱性角膜症になってしまったと推測されます。

45問:Irvine gass症候群

答えはd

白内障術後に嚢胞様黄斑浮腫をきたしており、Irvine gass症候群を疑います。

治療はSTTAですのでdが答えです。

46問:進行性虹彩萎縮

答えはe

46Aでは左眼の虹彩萎縮、下方への瞳孔偏位、ぶどう膜炎外反を認めます。
46Bでは左眼でSchwalbe線を越える丈の高いPASが形成されているのが観察されます。
46Cでは左眼の角膜内皮細胞が減少しています。

以上のことから、虹彩角膜内皮(ICE)症候群の中の原発性虹彩萎縮(essential iris atrophy)を疑います。

a. その通りです。ICE症候群は基本的に片眼性です。

b. その通りです。虹彩萎縮が進行していき、しばしば虹彩に孔形成を伴います。

c. 角膜内皮細胞が減っているので水泡性角膜症による角膜混濁が起こる可能性が高いです。

d. PASにより眼圧上昇のリスクがあります。

e. 白内障手術を行なってもPASがあるので眼圧低下は期待しづらいです。

47問:緑内障

答えはd

61歳女性で軽度遠視で、隅角所見ではdouble hump signを認めていることからプラトー虹彩を疑います。治療は水晶体再建術を行います。

48問:開放隅角緑内障疑い

答えはc?

これは何を示唆しているのか不明なのですが、シンプルにレクトミー術前だと考えると隅角やOCT、スペキュラーは基本的に行います。

また、10-2の中心視野視認点数は右13点、左2点なのでエスターマン視野で障害者認定できるか調べてあげると良いと思います。手術をするのであれば術後に測定すべきですが、すぐに必要な検査ではなく、有用な検査を問われているのでエスターマンを誤りにはし辛いです。

消去法で残るのは多局所ERGなので暫定的に答えにしましたが、視野をよく見ると視野障害パターンが緑内障にしては非典型で、両眼とも10-2範囲の耳側視野障害がきついのがおかしいです。

緑内障以外の中心視野異常が起こる疾患が隠れている可能性があるので多局所ERGをやっても良いように思います。

49問:鉄片異物

答えはb

異物が飛入したあとから左光覚弁となっていることから異物が眼内まで入り込んでいる可能性があります。
金属の可能性がある場合はMRI禁忌ですのでbが答えです。

50問:トラベクロトミー後

答えはb, e

隅角写真と前眼部OCTでNasalの隅角切開痕が観察されますので、切開位置からはトラベクロトミーの特に眼内法が行われたと考えられます。

ロトミーの合併症としては前房出血と一過性眼圧上昇が有名です。

a, c, dはレクトミーの合併症です。

こちらの記事もおすすめ!