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錐体ジストロフィについて
錐体ジストロフィは網膜の視細胞のうち錐体細胞の障害が徐々に進行する遺伝性の網膜ジストロフィの一つです。
網膜色素変性症では桿体からやられて、後に錐体がやられるのに対して錐体ジストロフィはまず錐体がやられます。
中には錐体桿体ジストロフィと呼ばれて錐体に引き続き桿体がやられるタイプもありますが両者はほぼ同じ疾患と考えられています。
錐体ジストロフィの症状
20歳までに視力低下、羞明、色覚異常、中心暗転などを発症します。
徐々に両眼性に進行しますが、成人期以降に初めて自覚症状がでてくる例も多数あります。
錐体ジストロフィの遺伝形式
常優や常劣、X-linkなど色々な遺伝形式で原因遺伝子も30種程度同定されています。
錐体ジストロフィの眼底所見
所見としては眼底カラーで標的黄斑やbull’s eyeと呼ばれる萎所見を認めることがあります。
bull’s eyeは眼底カラー写真で見にくい場合は自発蛍光が有効です。
また、黄斑だけに異常を認める症例以外に、後極全体に変性を認めることもあります。
錐体ジストロフィのOCT所見
黄斑萎縮に伴いOCTでEllipsoid zoneの欠損及び網膜の菲薄化も認めます。
錐体ジストロフィのERG所見
ERGでは錐体障害のみの時点では桿体応答は正常ですが、フラッシュでのa波b波両方の減弱と錐体応答とフリッカ応答が消失します。
桿体にまで障害が及ぶとflat波形になります。
ちなみにERGでのフリッカー応答は30Hzの速さの点滅刺激を与えるのですが桿体細胞ではこの速さを知覚することができず、錐体細胞しか反応できないので、錐体障害が起きるこの疾患では反応異常を認めます。
錐体ジストロフィの治療
治療法は特にありませんので、ロービジョンケアが大切になります。