
第37回 眼科専門医認定試験 臨床問題の解説を行います。
公式解答は発表されておりませんので間違い箇所がございましたらお問い合わせ欄もしくはTwitterのDMより指摘いただければ助かります。
問題については以下↓の眼科学会ホームページよりダウンロード出来ます。
目次
1問:眼トキソプラズマ
答えはa
ぶどう膜炎の問題は画像一発問題の典型例が出題されることが多いです。
これはFAで中心部が低蛍光となるblack centerを認めることからトキソプラズマを疑います。
トキソプラズマIgG, IgMも診断の役には立ちますがPCRのほうが診断に有用ですのでこちらが答えです。
ちなみに
前房水 IL-10/IL-6比は悪性リンパ腫
インターフェロンγ遊離試験は結核
抗原血症検査(HRP-C7法,C10/C11法)はサイトメガロウイルスです。
2問:視野の問題
答えはb, e
a. 接合部暗点で右眼の視交差に近い視神経障害を示唆します。
b. 左上の同名半盲であり右視放線障害を疑います。
c, d. いずれも両耳側半盲ですので視交差部障害を示唆します。
e. 左右に差がある同名半盲であり視索障害を考えます。
視交叉以降では、後頭葉に近づくにつれて左右の視野障害は同じ形になるので左右差がある場合は視索障害を疑います。
3問:箱ヒゲ図
答えはa, b

箱ヒゲ図の見方を張っておきます。
特に介入していないので、観察研究です。
箱の中に引いた線が中央値を示しますが、この問題では平均値は示されていません。
データから推測するしかありませんが、網膜色素変性症を見ると中央値よりも大幅に低いデータが多そうなので平均値は中央値よりも低いことが予想されます。
4問:カプランマイヤー曲線
答えはb
Kaplan–Meier法は
ある集団を追跡してイベントが起こるまでの時間を解析する方法です。
横断研究や症例対照研究は当てはまりません。
コホートかRCTが当てはまりますが、このグラフを見ても1つしかデータが無いのでRCTではなくコホート研究で良いと思います。
5問:特異度
答えはd

感度特異度の計算についてはこちらの画像をご参照ください。
6問:眼窩底骨折
答えはa, c
CTで左眼窩内に下直筋が確認できず、眼窩底のところに挟まれているような所見を認めます。
HESSでは左眼の上下転制限を認めます。
筋肉が骨折部に嵌頓したままだと虚血による壊死を引き起こすため緊急手術が必要です。
このように眼窩内に下直筋が確認できない所見はmissing rectusと呼ばれます。
若年者の骨には弾性があり、骨が折れてもおれきれず、しなって戻ってくる際に筋肉を挟みこむことがあります。
そうなるとこの画像所見のように一見すると骨折線がわかりづらく、見逃しがちなので骨だけでなく外直筋についても必ず見る習慣をつけてください。
ちなみにCT撮ったままの条件では筋肉や脂肪組織が見づらいので、腹部条件に変更して観察することをオススメします。
参考に救急で撮られたCTをそのまま見た画像と、腹部条件に変更後の同じ画像を共有します。


元画像だと眼窩内がぼんやりしか見えておらず見落としてしまいがちです。
腹部条件にすると下直筋が無いことがわかりやすいです。
この症例のように骨折線が明らかでなく、脂肪組織も副鼻腔に落ち込んでいないような場合は外直筋を確認する習慣がないと見落としてしまいますのでお気をつけください。
7問:バックル
答えはd
過去の網膜剥離手術で、マイラゲルを用いてバックリングが行われたと考えられます。
現在はシリコンスポンジが主流ですが、昔はマイラゲルが用いられていました。
マイラゲルは術後長期経過すると、膨張し眼球運動障害を引き起こすことから現在は用いられていませんが、過去に使用された患者を診察することはあり、稀に眼窩内腫瘍と誤診されることがあるので現代でも知っておく必要があります。
8問:涙嚢腫瘍
答えはb
こちらは病理セミナーで涙嚢の扁平上皮癌だと教えていただきました。
9問:涙小管炎
答えはb, d
難治性結膜炎を見たら涙小管炎を必ず考える必要があります。
画像では涙点の発赤腫脹があり眼脂も出てきています。
涙石が原因ですので硬結として触れます。
抗菌薬治療では反応せず、外科的に涙石をとり出します。
ちなみに近年、慢性涙囊炎や涙小管炎などに伴う角膜周辺部潰瘍が報告されておりLDAK(lacrimal drainage pathway disease-associated keratopathy)と呼ばれます。
トピックとして押さえておいてください。
10問:春季カタル
答えはa
上眼瞼に石垣状乳頭増殖を認め、角膜にシールド潰瘍を認めます。
ステロイドや抗アレルギー薬だけでの治療ではコントロールが難しいことが多く、積極的な免疫抑制薬の局所使用が求められます。
このような出題のされ方であれば判断は容易ですが、臨床において小児の角膜混濁を認めると感染性と勘違いしてしまう例がしばしばありますので、角膜潰瘍を見た際はかならず上眼瞼を翻転する習慣をつけておくことをオススメ致します。
シールド潰瘍以外にも、眼瞼裏に異物や埋没糸などが隠れていることもあります。
11問:角膜障害
答えはc
このような縦の線状の引っかき傷のようなものを見つけた時には、上眼瞼裏に原因となる異物がある可能性が高いです。
本条例では過去に眼瞼手術の既往があり、時間と共に糸が露出してきている可能性があります。
近年二重瞼手術が増えており、意識して聞かないと既往を答えてくれない場合もしばしばあるので、このような傷を見た際は瞼手術歴も聞くようにしておきましょう。
12問:動脈瘤破裂?
答えはb
ILM下出血や網膜下出血など複数の層に出血を認めることから動脈瘤破裂の可能性を考えました。
ILM下出血除去のため硝子体手術を行い、網膜下出血が黄斑下にある場合はガス移動術を併用するかと思います。
13問:クリスタリン網膜症
答えはb, e
眼底後極には閃輝性黄白色小斑があり、近赤外線光を用いるとこの沈着した結晶が光って観察されます。
上記よりクリスタリン網膜症を考えます。
この疾患についてはこちらの記事もご参照ください。
14問:type3 MNV
答えはa
OCTで典型的なbump signを認めており、網膜血管腫状増殖(RAP)またはType3 MMVを疑います。
高齢女性の両眼性に発症するのが特徴で、しばしばreticular pseudodrusenを伴います。
ちなみにこのreticular pseudodrusenは最近は、subretinal drusenoid deposits(SDD)という呼び名に変わってきているのでこちらも合わせて覚えておいてください。
こちらの記事もご参照ください。
15問:未熟児網膜症連問
答えはc, d
前眼部写真では、散瞳不良と水晶体血管膜の拡張所見を認めます。これらは未熟児網膜症の重症化を示唆する所見として過去問にも出題されています。
水晶体血管膜というのは胎生期に水晶体前面に存在する血管で水晶体を栄養しています。
出生前後で退縮するのが普通ですが、未熟児で生まれてくると観察される場合があったり、退縮が遅延したりすることがあります。
眼底写真では血管蛇行がありそうですが硝子体出血でぼんやりしか見えません。前眼部所見でも徹照が赤っぽいのも出血の影響だと思います。
16問:未熟児網膜症連問
答えはd
網膜光凝固や抗VEGF薬の適応かと思います。
硝子体出血のせいで視認性が悪いことから抗VEGF薬のほうが優先されると考えました。
17問:網膜分離
答えはa?
SRFは術後増えてそうですが、分離自体はましになっているので下液が引くのをまつしかないかと思いましたが自信ありません。
18問:Best病
答えはa
父と姉が発症していることから常染色体顕性遺伝を疑います。
OCTでは中心窩網膜外層の萎縮があり、自発蛍光では萎縮病巣の辺縁部が過蛍光となっています。
全視野ERGは正常ですが、EOGでArden比の低下を認めます。
ちなみに中心性輪紋状脈絡膜ジストロフィーもよく似た疾患ですがこの疾患では多くの場合EOGは正常です。
以上のことからBest病が最も疑われます。
19問:大視症
答えはd


大視症や小視症は黄斑部の視細胞の密度が変化することで生じます。参考画像を上に示します。
黄斑前膜では、膜の収縮により網膜の視細胞密度が上昇することで、実際よりも大きく見える大視症を生じます。
一方で中心性漿液性網脈絡膜症では漿液性網膜剥離によって網膜が伸展して視細胞密度が減少するため、実際よりも小さく見える小視症を生じます。
また、黄斑円孔では中心部の視細胞が円孔辺縁部に移動するため、中心部に集まったような特殊な見え方となる。
イメージしづらければ視細胞が移動すると、見え方はその逆になると覚えておけば良いと思います。
例:視細胞が真ん中に集まる→見え方は全体に広がってみえるので大視症。
20問:脈絡膜血管腫
答えはb
眼底写真で黄斑〜耳側にかけて色が変わっているところがあり、OCTで脈絡膜に隆起性病変を認めます。
IAでは55秒の早期から過蛍光になっていることから脈絡膜血管腫を疑います。
後期になるとこれがwash outされて低蛍光となります。
血管腫は基本的に転移しませんのでこちらが答えです。
21問:悪性リンパ腫
答えはc, e
Aのスリットでは前部硝子体に浮遊する細胞を認めます。
Bでは眼底鼻側と耳側に黄白色病変を認めます。
Cでは鼻側網膜の黄白色病変がOCTできられており、RPE下に隆起性病変を認めます。
これらの特徴から悪性リンパ腫を考えます。
このように眼底に黄白色の病変を認めた場合には、とりあえずOCTで切ってみるというクセをつけるのをオススメします。
ちなみに細胞診で悪性細胞を見るのですが、偽陰性もしばしばあるのでIL-10/6比のほうが感度が高いです。
IL-6はご存知の通り炎症性サイトカインです。一方でIL-10は炎症を抑制するサイトカインです。
つまりぶどう膜炎などactiveな炎症があればIL-6が増えるのが普通ですが、ぶどう膜炎のように見えるのにこの比率が逆転しているとおかしいと判断することができます。
22問:不同視
答えはc
サイプレジン点眼下で左眼の遠視性不同視を認めます。
小児の不同視は基本的に眼軸の左右差による軸性不同視です。軸性不同視では基本的に眼鏡矯正でも不等像視が起こりにくいので眼鏡での完全矯正を行います。
アトロピンが選択肢にあるので追記しておくと、基本的には内斜視がある場合にアトロピンでの調節麻痺を行います。試験的にもそれで出される可能性が高いと思います。
また、一般的なアトロピン点眼は1%が用いられますが1〜2歳など小さいうちは0.5%などに薄めて使用される先生もいらっしゃいます。
この選択肢で挙げられている低濃度アトロピンは0.01%や0025%のことを指して近視抑制治療に用いられます。近年日本でも0.025%アトロピン製剤のリジュセアが発売されましたしトピックとしても抑えておく必要があります。
23問:輪部デルモイド
答えはb
画像所見から輪部デルモイドです。
輪部デルモイドは角膜輪部にできる先天性の良性腫瘍で、皮膚組織が迷入してできる分離腫の一種で、脂肪や毛嚢や皮脂腺などを含みます。
出生時から角膜輪部に写真のような腫瘍を認めます。
輪部デルモイド、副耳、耳瘻孔の3つを合併するものはGoldenhar症候群と呼ばれますので合わせて覚えておきましょう。
臨床的には角膜乱視による弱視と整容面が問題になります。
角膜乱視による弱視を認めた場合には眼鏡装用やアイパッチによる治療を開始します。
手術の場合は表層角膜移植をすることが一般的です。
24問:複視治療
答えはb
治療直後には複視が改善せず3〜5日後から改善しはじめています。
また、眼瞼下垂も翌日にはなかったものが10日で出てきています。
このように1週間ほどして効いてきていることからボツリヌス毒素治療の可能性を最も考えます。
上眼瞼挙筋にも作用してしまうとこのように眼瞼下垂が起こります。
25問:上斜筋麻痺
答えはc
自然頭位で右へhead tiltしており、頭位をまっすぐにすると左上斜視となっています。
これらから先天性左上斜筋麻痺の可能性を疑います。
a, b 右へtiltすることで代償して正位を維持しているので両眼視できており、弱視になりづらく立体視も維持できている可能性が高いです。
c 左上斜筋麻痺なので左眼の外方回旋偏位があるのでcは正しいです。
d 下斜筋後転は右眼ではなく患眼の左眼に行います。
e 上斜筋は眼球が内転している時に下転作用が最大となります。そのため上斜筋麻痺では内転時に上下偏位が最大となります。左眼の内転時、つまり右方視時に上下偏位が大きくなります。
26問:色覚異常
答えはa
今回の問題では、パネルD-15を並べた順番が提示されているだけで結果が記載されていないので自分で結果を記載する必要があります。
結果の記載は、並べた結果の数字を左から順番に結んでいくだけでOKです。
結果を見ると、まず中心を横切る線が複数本あるのでfailといえます。パネルD-15がfailすると重度、passの場合は正常もしくは軽度〜中等度色覚異常です。
そしてPROTANと並行の線が多数あるのでこれは1型色覚異常といえます。
failなら2色覚、passなら異常3色覚の傾向にはあるものの一概にはいえません。
男性の5%に1, 2型色覚異常を認めますが、日本人全体でないのと、色覚異常者全員がパネルD-15をfailするわけではないので違います。
27問:視神経炎
答えはc?
両眼性の視神経乳頭腫脹とMRIでの視神経高信号、対光反射減弱を認めることから両眼性の視神経炎を考えます。
小児視神経炎は基本的に両眼性で乳頭炎型のことが多く、ウイルス感染やワクチン接種後にADEMや髄膜炎に伴う視神経炎となることもあります。
視力が0.01など高度の低下を伴っても予後良好なのですが、この症例は両眼が光覚無しというのが重症すぎます。ここまでの障害の場合は抗AQP4抗体陽性などを考えますがすでに陰性です。しかし抗AQP4抗体は通常のELISA法では偽陰性があるので、私であればCBA法で再測定すると思います。
とはいえ専門医試験的には抗陰性なので視神経炎として予後良好というのが答えでよいのかもしれません。
28問:虚血性視神経症
答えはa
右視神経の上方優位の浮腫があり、それに対応した下方の水平半盲を認めます。
MRIで視神経高信号なく、虚血性視神経症を考えます。
虚血性視神経症には動脈炎性と非動脈炎性がありますがこの症例では炎症反応が上がっていないこと、糖尿病があり血管リスクが高いことなどから非動脈炎性のNAIONを考えます。
治療はありませんので経過観察となります。
ちなみにこの症例でもそうですが就寝時が一番血圧が下がるので虚血も起こりやすく、起床時に見えないというのが典型的な症状です。
29問:甲状腺眼症
答えはa, e
両眼とも様々な方向に対して眼球運動障害を認めており、MRIでは4直筋がしっかりと腫脹しています。
両眼視力低下と中心暗点も認めていることから、甲状腺眼症による外眼筋肥厚により、圧迫性視神経症を両眼に起こしている状態です。
急ぎ圧迫を解除するために、ステロイドパルスや眼窩減圧術などを考慮します。
30問:ねこひっかき病
答えはa
眼底写真では左眼の視神経乳頭腫脹と、黄斑部周囲の滲出性変化のようなものが観察されます。
このように網膜と視神経の両方に炎症性変化を認めるものを特に視神経網膜炎といいます。
視神経網膜炎を見た時は、両眼性であればサルコイドーシスや原田病、ベーチェット病などの自己免疫性疾患のことが多いです。
一方で、片眼性であれば猫ひっかき病、梅毒、トキソプラズマなどの感染性疾患をまず考えます。
この症例では猫の飼育歴や発熱の先行などもあることから猫ひっかき病を考えます。
起因菌はバルトネラです。
31問:陳旧性瞳孔緊張症
答えはe
明所で瞳孔不同が明らかなことから、散瞳している右眼が患眼と考えられます。
そして、0.1%ピロカルピンというのは通常よりも濃度が薄く、本来は縮瞳するような濃度ではありません。
そんな薄い濃度でも反応してしまう現象を脱神経過敏と呼びます。
これは支配している神経に障害があると神経伝達物質に対して過剰に反応してしまう現象です。
この瞳孔緊張症では毛様体神経節の異常により、脱神経過敏を呈します。末梢性のホルネル症候群でも同様の現象がみられ、薄い濃度のアドレナリンでも散瞳します。
32問:両耳側半盲
答えはc
2年前の視野は確かに緑内障と考えても良さそうです。
ただ、この半年で視力が急激に悪くなり過ぎていますし、緑内障で視野が飛びかけていたようにも見えません。
この症例のように急激な悪化を見た時は別の原因についても考える必要があります。
現在視野を見ると両耳側半盲様になってきているので視交叉周囲の下垂体などを調べておきたいです。
33問:隅角鏡
答えはb
これは2ミラーの隅角鏡です。
隅角鏡は1ミラーの場合は360度回転させてみる必要がありますが、2ミラーであれば180度、4ミラーであれば90度回転させるだけで全体を観察可能です。
a. 隅角鏡や3面鏡の中心部は基本的に60Dのレンズとなっており正立で観察できます。
b. その通りです。鏡で跳ね返った像を見るので、例えば上方のミラーを見ている時には下方隅角がうつっています。
c. 不要です。
d. このレンズは鏡に映った像をみるので間接型です。手術の際は鏡を通さず、眼球を傾けて直接隅角を観察する直接型が主に使われます。
e. 隅角観察は主に60度前後のミラー傾斜となっており73度では網膜の赤道部あたりの観察となってしまいます。3面鏡では網膜赤道部、鋸状縁部、隅角をみるために違う角度のミラーがついているのでこれらの角度を大体把握しておけば良いと思います。
一例を写真載せておきます。
34問:緑内障
答えはa
視野検査では下方視野障害を認めます。視神経から鼻側まで繋がるような形になっております。
一方で上方視野障害は認めておりません。
これらのことから視神経乳頭は上方のRim菲薄化やNFLDがあり、下方は比較的Rimが保てているものを選べば良いと予想できます。
これらの条件を満たすのはaになります。
35問:眼虚血症候群
答えはb, e
糖尿病既往のある方ですが、内科通院継続されており内服薬も不要なくらいです。
にも関わらず、右眼虹彩に新生血管があり血管新生緑内障になっております。
眼底も軟性白斑はあるもののPDRにしては点状出血や硬性白斑もなく非典型です。
FAでは造影の遅延を認めます。
このような場合は眼虚血症候群を疑い頸動脈などの精査が望ましいです。
また、精査依頼しつつこの眼圧を放置できないので点眼加療も開始します。
ちなみに糖尿病網膜症があった場合でも、明らかに程度の左右差があるような場合も眼虚血合併の精査が必要です。
36問:隅角所見
答えはd
虹彩が後方に湾曲しており隅角が開いているにも関わらず眼圧上昇が見られます。
これは逆瞳孔ブロックといって色素緑内障などで見られる所見です。
過剰に隅角が開いているdが答えです。
37問:異物
答えはa, b, c
問題文からは受傷時の詳しい状況はわかりませんが、前眼部写真では下方角膜でSeidel陽性で角膜穿孔を認めます。
CTでは眼内に高吸収の異物を認めます。角膜が穿孔していることから角膜および水晶体を貫通して異物が眼内に到達したと考えられます。
ちなみにこのように異物を疑った場合で金属がわからない場合はMRI禁忌です。CTで確認してください。
さらに眼底には硝子体出血と網膜剥離を認めます。
以上より
角膜創部は縫合。
水晶体は白内障手術。
硝子体手術および光凝固。
を行う必要があります。
38問:ガス白内障
答えはa
黄斑円孔手術後にスリットで後嚢下白内障を認めています。
これは手術で眼内に入れたであろうガスが水晶体に長期間接触することによるガス白内障です。
ガス白内障は可逆性でありガスが抜けると自然軽快しますので経過観察で問題ありません。
39問:外傷性黄斑円孔
答えはa
外傷性黄斑円孔は自然治癒が期待できるのでひとまずは経過観察します。
明確な基準はありませんが、自然治癒しないようであれば硝子体手術を行います。
40問:キノロン耐性コリネバクテリウム
答えはb
グラム染色ではグラム陽性に染まった桿菌が見えます。
特に「ハ」の字に2対のように見えるこれはコリネバクテリウムです。
キノロン系の濫用によりキノロン耐性コリネバクテリウムによる結膜炎が近年問題になっており、それにはベストロン点眼が有効です。
ちなみに真菌もグラム陽性に染まりますが、真菌はサイズで判断するのがやりやすいと思います。
だいたい最近の3〜5倍の大きさがあります。
41問:涙嚢炎
答えはc, e
涙囊部の腫脹と疼痛を認めており、急性涙囊炎を疑います。
治療は涙囊切開排膿と抗菌薬の全身投与です。
ちなみに急性期には通水検査は基本的にしてはいけません。涙囊壁が破れるなどのリスクがあるので感染が落ち着いてから評価します。
あとは慢性涙囊炎では圧痛を伴わずにこの症例のように涙囊部が腫れることがありますが、内眥靭帯を超えないのが普通です。内眥靭帯を超えて腫れている時は腫瘍を考えます。
42問:先天性涙嚢ヘルニア
答えはc
顔貌の写真では少しわかりづらいですが右眼の内眼角部が腫脹しており、CTで右涙囊部の拡張が観察されます。
以上より先天性涙囊瘤(涙囊ヘルニア)を疑います。
この疾患はほとんどが自然治癒するものの、生後早期に蜂窩織炎や涙囊炎、呼吸困難などを引き起こすことがあるため慎重な経過観察が必要です。選択肢はどれも起こし得るものの、どれが多いかと言われれば自然治癒が最も多いです。
43問:翼状片手術
答えはb
術前は右眼角膜鼻側が扇状に平坦化しております。このような所見は翼状片に典型的で、術後では角膜形状が元に戻っております。
翼状片術後は角膜形状が変化して、この症例のように1〜3ヶ月程度で安定します。
もし白内障手術をする場合は翼状片術後の角膜変化が落ち着いてから行われることが多いです。
44問:LASIK後
答えはc
LASIK術後に視力低下を自覚しており、角膜に混濁を認めます。
前眼部写真より、顆粒状角膜ジストロフィーⅡ型を疑います。
このいわゆるアベリノ角膜ジストロフィーは通常緩徐な経過をたどりますが、LASIKを行うと刺激により急性増悪をきたします。
術前は見逃されるほど軽度であり、LASIK後に写真のような混濁が出てきたようです。
ちょうど同じ画像が以下の論文にありました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34599746
45問:上皮幹細胞疲弊症
答えはa, e
慢性結膜炎があり、前眼部所見では上皮幹細胞疲弊症により角膜への血管および結膜侵入を認めます。原因疾患はわかりませんが両眼性で慢性結膜炎エピソードより類天疱瘡でしょうか?
上皮幹細胞疲弊症に対しては、従来は輪部移植が行われていましたがドナー不足や拒絶反応などの問題がありました。
羊膜移植は角膜上皮再生の足場になったり、炎症抑制効果があるので行われるものの幹細胞を再建するわけではありません。
そこで近年は、自家培養口腔粘膜上皮移植や、自家培養角膜上皮(ネピック®︎)による治療が行われるようになっております。
ネピックは、自己の角膜輪部から採取した正常細胞を培養して移植する方法なので本症例のように両眼性の疾患には適応となりません。
口腔粘膜は角化しないという特徴を持っているため角膜輪部移植にも適しており、本症例でも適応となります。
46問:角膜移植後
答えはb
a. 角膜はclearであり拒絶反応は疑いません。
b. 下方のランニング縫合が緩んでいるように見えます。縫合糸は緩んだ場合異物感や感染の原因となるので基本的に抜去します。
c. 全層移植です。
d. 拒絶反応でないのでステロイドは使いません。
e. 原因となっている縫合糸の抜去を行います。
47問:角膜移植
答えはe
前眼部写真では耳側に縫合糸が3針かかっています。これはa〜cではなくd, eの内皮移植を考えます。
前眼部OCTでは角膜内皮側に移植片が少し盛り上がる形で見えます。
内皮移植ではDMEKでは移植片の段差がほとんどわからないくらいに見えますので、この症例はDSAEKかと思います。
48問:バックル
答えはe
眼底写真で耳側〜上方にかけてバックルフォールドを認めることから、網膜剥離に対して網膜復位術が行われたと考えられます。
最も合併症として考えづらい鋸状縁断裂が答えとなります。
49問:毛様体剥離
答えはc
トラべクロトミー後に毛様体剥離を認めます。
これは主経路ではなく、ぶどう膜強膜流出路の一過性増加によって生じます。
多くは自然消退しますので経過観察しますが、その際に眼圧上昇を起こす場合があるので注意が必要です。
50問:小眼球
答えはd, e
右眼の眼球がほぼ形成されておらず小眼球/無眼球症と考えます。
このような異常を認めた際は片眼性であったとしても全身や精神発達異常を合併することがあるので必ず小児科と連携した対応が必要です。
また、片眼の眼球が形成されていないと、顔面骨の発達においても骨の左右差が出てきてしまいますので、成長に合わせて徐々に大きくした義眼をはめていく必要があります。
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