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スタルガルト病について
スタルガルト病は最も頻度の高い遺伝性網膜疾患の一つで常染色体劣性遺伝で、ABCA4遺伝子の異常を認める疾患です。
スタルガルト病の症状
10〜20代の発症が多く、両眼進行性の視力低下、視野障害、羞明などの症状を認めます。
両眼性の黄斑萎縮を伴う視力低下症例をみた際には、頻度から考えても鑑別にいれる必要があります。
スタルガルト病の検査所見
眼底所見
眼底所見としては黄斑部の萎縮と黄色斑であるfleckが特徴的です。
また、リポフスチンの蓄積や網膜色素上皮の萎縮も認めますので診断には自発蛍光が重要です。
小児発症例では典型的なfleckを認めないこともありますが黄斑部の萎縮と、自発蛍光での軽度過蛍光は認めますのでこれらの検査は非常に重要です。
そしてもう一つ特徴的な所見としてFAG検査にてdark choroidと呼ばれる背景低蛍光を認めます。
本来であればFAGにて脈絡膜の蛍光により背景がぼんやりと明るく見えるはずですが、スタルガルト病ではそれが見えません。
ERG所見
重症度に関してはERG検査が有用で、上図のように3つに分けられます。
- Group1:黄斑部のみが障害されている
- Group2:黄斑部+錐体細胞の障害がある
- Group3:黄斑部+錐体細胞+桿体細胞障害を認める
group1では比較的緩徐進行性なのに対して、group3では急速進行性なので今後の予後の判断のためにもERGは重要です。
スタルガルト病の治療
治療は確立されたものはありません。
dark choroidを認める理由
リポフスチンというのは網膜での代謝産物つまりゴミのようなもので、これが自発蛍光で発色するため自発蛍光検査で光って見えます。
このスタルガルト病ではRPEにリポフスチンが溜まっているためびまん性に自発蛍光で過蛍光を認めます。
また以前window defectのお話があったと思いますが、この疾患では逆に網膜色素上皮にリポフスチンが溜まることで背景の蛍光をblockしてしまうことでdark choroidになります。