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上輪部角結膜炎(SLK)とは
上輪部角結膜炎はその名の通り角膜上方の球結膜と輪部に炎症を起こす疾患です。
疫学としては30〜60歳くらいに好発で、左右差があるものの両眼性で女性に多いです。
上輪部角結膜炎(SLK)の症状
自覚症状として多いのは夕方からの眼の開けづらさです。
強い眼不快感を伴っており、角膜上方に限局するSPKがある症例などでは積極的に疑います。
上輪部角結膜炎(SLK)の原因
眼瞼と眼表面の機械的な摩擦によって炎症が起こるのが原因と考えられています。
また、甲状腺疾患との関連が知られており、上輪部角結膜炎の20〜50%に合併するとの報告もありますので各種甲状腺関連の抗体検査も行う必要があります。
上輪部角結膜炎(SLK)の所見
細隙灯所見
典型所見は上方球結膜の充血と血管のコイル状の走行、輪部の肥厚、角膜上方の上皮障害を認めます。
摩擦によって上方の結膜が擦れるのでローズベンガルでの結膜障害を示唆する所見や、上方結膜の結膜弛緩を合併します。
上輪部角結膜炎(SLK)の治療
基本的にはドライアイ治療を行います。
シェーグレンなどに伴い涙液が著明に減少している例では防腐剤フリーの人工涙液やジクアス点眼などを使用しますが、難治性の場合には涙点プラグが有効です。
涙液減少を伴わないものでは、ムチンの低下や表面の炎症が原因ですのでムコスタが有効です。
それでも改善無い例では結膜弛緩手術や摩擦をブロックするための治療用SCLなどを行います。
また、ビタミンA誘導体の点眼も有効と言われています。