抗菌薬について

腎機能と抗菌薬について

こんにちは!眼科医ぐちょぽいです!

本日は腎機能と抗菌薬について勉強していこうと思います。

腎機能が悪い患者では抗菌薬を減らすというのは皆さんご存知かと思います、それではどのように減らすのか、何故減らさなければいけないのかということについて解説します。

腎機能評価について

まず腎機能はクレアチニンを元に概算されたGFRが採血結果に表示されていることがあると思いますが、あの数字は体表面積が計算されておらず患者の体格を無視した数値になっています。(以外とCr上昇が軽度でも高齢で小柄だとeGFRの計算をすると腎機能が悪いことがあります)。

ですので正しいeGFRを毎回計算する必要があります。
ネットで調べたりアプリを使用することで、患者の年齢・体重・Cr値を入れれるだけで簡単に計算できます。

計算式についても貼っておきます。
これによって求めた腎機能を元にサンフォードに書いてある用量での抗菌薬使用が望ましいです。

Cockcroft-GaultのCcr計算式
男性:Ccr = {(140-年齢)×体重(kg)}/{72×血清クレアチニン値(mg/dL)}
女性:Ccr = 0.85×{(140-年齢)×体重(kg)}/{72×血清クレアチニン値(mg/dL)}

腎代謝と腎毒性

抗菌薬には腎代謝のものと肝代謝のものがあります。
肝代謝はセフトリアキソンが有名で腎機能での量調節は不要です。腎代謝はほとんどの抗菌薬がこちらになります。

そして腎機能が悪い患者に対して抗菌薬を減らすのは、薬によってさらに腎障害が出てしまうからだと思っている方が多数いらっしゃいますが、そうではありません。

基本的にほとんどの腎代謝の抗菌薬で腎障害が起こることはありますが、それはアレルギー反応による間質性腎炎で、量が多いからといって腎障害が起こる確率は上昇しません。

では何故量を減らすかというと、腎障害があると抗菌薬の代謝が遅くなり、通常量で投与し続けると身体にどんどん薬が蓄積することで種々の副作用が出てしまうからです。

一方で腎毒性のある抗菌薬もありアミノグリコシドなどが代表的です。これは薬の量が増えれば増えるほど腎障害を引き起こしてしまうので注意が必要です。

以上まとめると腎代謝=腎毒性では無いということです。

腎機能が悪いと薬が蓄積するので減らす必要がある。ですので点滴で抗菌薬を入れる時は腎障害があったとしても初回は全量投与で2回目から腎機能に応じた量に減らすのが基本になります。
そうすることで少しでも早く抗菌薬が有効な濃度に持っていくことができます。

ややこしいですが抗菌薬を考える上で非常に大切なことですので知っておいていただけると嬉しいです。

ちなみに抗真菌薬の中には肝代謝だけど腎毒性があるものもあってさらにややこしいです…

それでは本日はこの辺で。

こちらの記事もおすすめ!