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クラミジア結膜炎とは
Chlamydia trachomatisによって発症する結膜炎で、封入体結膜炎とも呼ばれます。
昔は衛生状態が悪くクラミジア感染を何度も繰り返す症例があり、強い免疫反応によりパンヌスや結膜瘢痕が起こったものをトラコーマと呼びます。
トラコーマは現在では稀です。
クラミジア結膜炎の感染経路
クラミジアは性感染症であり、尿道炎や子宮頸管炎などの原因となります。
そして手指を介して眼に感染することがあります。
クラミジアの検査所見
細隙灯所見
典型的な所見としてはアデノなどのウイルス性結膜炎と同じく濾胞性結膜炎を呈します。
他のウイルス性結膜炎との鑑別点
クラミジアでは濾胞が大きく充実性であること、病期の進行につれて濾胞が癒合していくという点が挙げられます。
しかし発症初期ではアデノウイルス結膜炎と鑑別が困難な例もあるので、「アデノにしては長引くなぁ」と診ていくうちに濾胞の拡大を認めて疑われる例が多いです。
ギムザ染色
確定診断のためには結膜塗抹検査でギムザ染色が有用です。
ギムザ染色では好中球優位の細胞浸潤を認めます。
これに対してアデノウイルス結膜炎は単核球優位なので鑑別点となります。
上皮細胞内にProwazek小体と呼ばれる封入体を認めることも特徴的ですが封入体は見つからないことも多いので感度は低く特異度が高い検査となっています。
Prowazek小体のゴロ合わせ
「プロと遊んでクラミジア感染」
新生児クラミジア結膜炎の症状
新生児のクラミジア結膜炎は免疫力が未発達のためリンパ節が腫れたり濾胞を形成したりはあまりしません。
結膜の充血や浮腫が強く、偽膜の形成も認めます。充血した結膜の色調はビロード様と表現されます。
クラミジア結膜炎の治療
治療についてはクラミジアはなかなかしつこいので、タリビッド眼軟膏を1日5回を6〜8週間の長期投与が必要になります。
また、クラミジア結膜炎では尿道炎や咽頭炎の合併もあるのでジスロマック1g1回内服も併用すると良いです。
ジスロマックは初回に1度投与するだけで治療できるのでアドヒアランスが悪い患者にも使いやすいです。
その他の注意点
あとは性感染症では本人のみならずパートナーの感染の有無の検査や治療が重要です。
特に女性では子宮頸管炎や、そこからFitz-Hugh-Curtis症候群になったり、出産した場合には新生児クラミジア結膜炎を引き起こしてしまったりします。