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Peters奇形とは
神経堤細胞の遊走不全により、角膜中央部の内皮、デスメ膜、実質が先天的に欠損して角膜混濁を生じる疾患です。
表層外胚葉由来の角膜上皮は正常ですが、神経堤由来の内皮や実質のみが欠損しています。
Peters奇形の特徴
8割程度が両眼性で、PAX6異常が報告されています。
遺伝は孤発例が多いです。
Peters奇形にはⅠ型とⅡ型が存在し、下記のように分けられます。
Peters奇形Ⅰ型
角膜中央部の混濁と周囲の虹彩前癒着を認めるのみ。
Peters奇形Ⅱ型
Ⅰ型の特徴に追加で白内障や水晶体の前方移動といった水晶体の異常も伴うもの。
Peters奇形の所見
角膜混濁所見と、UBMでの虹彩前癒着の所見の画像です。
診断には前眼部所見と、UBM所見が重要で、角膜裏面や虹彩、水晶体の状態の把握が不可欠です。
Peters奇形の合併症
眼合併症
Peters奇形は基本的に眼としては単独の先天異常としてみられることが多いですが、神経堤の異常なので、同様に神経堤の遊走不全によって起こり得る強膜化角膜、コロボーマ、第一次硝子体過形成遺残などの合併を起こすこともあります。
全身合併症
眼以外の全身の先天異常を伴うこともありますので眼所見から疑った際には全身検査も行う必要があります。具体的には以下のような合併症が挙げられます。
- 小人症
- 中枢神経異常
- 精神遅滞
- 口蓋口唇裂
- 心奇形
- 肺低形成
- 13や15トリソミー
Peters奇形の治療
角膜混濁については成長とともに混濁は軽減すること、両眼性であることから弱視にはなりにくく経過観察を行うことが多いです。
臨床的な注意点としてはⅠ型、Ⅱ型ともに眼圧上昇とそれにともなう緑内障を合併しやすいので眼圧のフォローとコントロールが重要です。
点眼でもコントロール不良なら線維柱帯切開術などを行います。