視能訓練士国家試験解説

視能訓練士国家試験 第51回 午後 過去問解説

過去問解説が動画講義になりました!

第51回国家試験の午前・午後問題の計150問全てを、周辺知識も含めて解説しています。
試験直前の知識整理にも是非!

2021年の視能訓練士国家試験午後の過去問解説をしていこうと思います。

厚生省公開の国家試験過去問と解答はこちらから御覧ください。

第51回午前の解説はこちら。

単純な暗記系の問題は解説記載しておりません。
間違い箇所やもう少し詳しく解説して欲しい箇所などありましたら、問い合わせ欄もしくは私のTwitterへリプライもしくはDMで気軽に相談ください!

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書籍版では問題文も掲載しており、より使用しやすいように再編集しております。

目次

1:動眼神経

答えは1

外直筋は外転神経の支配です。
動眼神経が支配するのは以下の通りです。

  • 上直筋
  • 内直筋
  • 下直筋
  • 下斜筋
  • 瞳孔括約筋
  • 上眼瞼挙筋

2:眼動脈

答えは4

眼の周りの動脈についてはこちらの記事を参照ください。

ちなみに椎骨動脈は左右2本が合わさって1本の脳底動脈になり、その後また2本の後大脳動脈となります。
これらは脳幹部(中脳・橋・延髄など)や後頭葉の栄養を司っています。

3:ステロイドの副作用

答えは4

【STEROID】で覚えると良いと思います

  • S:精神症状
  • TER:タール便(消化性潰瘍で出血すると便に血が混じる)
  • O:osteoporosis(骨粗鬆症)
  • I:infection(感染)
  • D:DM(糖尿病)→肥満も一緒に覚える

4:眼球運動障害

答えは1

  • Adie症候群:Adie症候群のまとめ記事を参照ください。
  • 眼窩底骨折:骨折した所に筋肉が引っかかると眼球運動障害を認めます。下壁と内壁が好発部位で下壁骨折では下直筋がひっかかると上転障害を起こします。
  • 甲状腺機能低下症:甲状腺機能亢進症が有名ですが低下症でも甲状腺眼症を引き起こします。甲状腺関連の抗体が外直筋を攻撃してしまうことで炎症が起こり、筋肉が伸びなくなってしまいます。下直筋が好発で、伸びなくなるので上転障害を認めます。
  • 重症筋無力症:神経から筋肉へつながる所を邪魔するような抗体によって筋力低下を引き起こす疾患です。神経の障害では無いので神経支配には沿わず、疲労により増悪するので夕方に症状が強いです。
  • 糖尿病:糖尿病では虚血により脳神経障害を引き起こし、外転神経麻痺や動眼神経麻痺などを来すことがあります。

5:網膜対応の検査

答えは2

6:守秘義務について

答えは4, 5

守秘義務については医療法ではなく視能訓練士法で定められています。

7:角膜上皮

答えは2

基本的に皮膚など外界と接している表面の上皮は重層扁平上皮なことが多いです。

8:動脈硬化

答えは5

9:神経の再生

答えは1

10:点眼について

答えは4

点眼薬は角膜の表面から吸収されます。
角膜上皮は基本的にゴミや毒などから眼を守るバリアのような役目を果たしていますので、それを超えるためには濃い濃度の目薬を使う必要があります。
上皮障害があると、そのバリアが壊れているため吸収率は上がります。

2種類以上の点眼をする時は、5分以上の間隔を空けます。
懸濁液や軟膏と同じタイミングで点眼を使用する場合は最もサラサラのものから順番に点眼していきます。(例:点眼→懸濁液→軟膏)

11:眼心臓反射

答えは3

眼心臓反射は外眼筋を手術時にひっぱった際などに
外眼筋→三叉神経→迷走神経(副交感神経)→心臓
の経路で徐脈を引き起こす反射です。

副交感神経の活動を抑える抗コリン作用のあるアトロピンを治療として使用します。

12:プリズムの合成

答えは4

プリズムの合成はベクトルで計算します(3平方の定理を思い出してください)。
3の二乗 + 4の二乗 = 合成系の二乗
9 + 16 = 25ですので合成系は5⊿です。

13:前焦線

答えは1

C面の度数がマイナスの場合はS面が後焦線、プラスの場合はS面が前焦線となります。

この問題ではC面がマイナスなのでS面が後焦線でそこから-2Dを足した所が前焦線なので前焦線は-1.5Dとなります。

14:眼鏡倍率

答えは4

  • 眼鏡倍率:矯正眼の網膜像の大きさと、裸眼の網膜像の大きさの比
  • 相対眼鏡倍率:矯正眼の網膜像の大きさと、標準的な網膜像の大きさの比

15:近赤外線領域の波長

答えは5

16:Goldmann視野計

答えは1

17:暗順応検査

答えは3

明順応を行っていないのでKohlrauschの屈曲点以降の波形が得られるはずです。4と迷ったかもしれませんが、暗順応開始時に光覚閾値が測定できていないので違います。

  • ①は第一次曲線のみがみられ、最終閾値が高い(波形の一番右の光覚閾値)ので暗順応できていないことを示唆するので完全型先天性停止性夜盲でみられる波形です。ちなみに不全型では第二次曲線以降もみられるものの、最終閾値は正常よりは高くなります。
  • ②は暗順応の遅延があるものの最終閾値は正常なので暗順応に時間がかかる疾患(小口病や白点状眼底など)です。
  • ④は暗順応開始時の光覚閾値が測定できておらず、第二次曲線のみが得られており、これは杆体一色覚でみられます。
  • ⑤は暗順応の遅延があり、さらに最終閾値も高くなっています。このような疾患は思いつきませんでした。わかる方は是非ご教示いただけると幸いです。

18:低照度

答えは1, 3

低照度だと瞳孔径が大きくなり、球面収差は増大し、焦点深度は浅くなります。
暗くなればなるほどヒトの眼は青色に敏感になる性質があり、これをプルキンエ現象と呼びます。

19:眼球運動に関する法則

答えは3

20:自閉症スペクトラム障害

答えは3

  1. 計算が苦手 → 学習障害
  2. 整理整頓ができない → ADHD
  3. アイコンタクトが苦手 → 自閉症スペクトラム障害
  4. 順番を待てず、忘れ物が多い → ADHD
  5. 読み書き能力の習得が困難である → 学習障害

21:Krimsky試験

答えは1, 5

基底外方プリズムを入れるので内斜視のものを選べばOKです。

22:角膜内皮細胞検査

答えは3

  • CD:細胞密度
  • SD:細胞面積の標準偏差
  • CV:細胞面積の変動係数
  • 6A:六角形細胞の出現率
  • AVE:平均細胞面積
  • MAX:最大細胞面積
  • MIN:最小細胞面積
  • NUM:解析細胞数

23:既往歴

答えは5

実際の臨床現場ではこのように聞いても高血圧や糖尿病については病気だと思っていない人もいらっしゃるので、今飲んでいるお薬はありますか?や入院したり手術を受けたことはありますか?といった聞き方をしないと答えてくれないことが多いです。

24:輻輳近点

答えは3

25:対光反射

答えは2

対光反射の経路は求心路(末梢から脳への経路)は視神経、遠心路は動眼神経です。

26:医療面接

答えは2

27:Hertel眼球突出計検査

答えは2, 4

眼球突出をみる検査で両側眼窩外縁に検査機器を当てた状態で、鏡に映った角膜頂点の位置を測定します。
毎回同じ場所に当てなければ定量できませんので、両側眼窩外縁間距離は一定にする必要があります。

正常値上限は16mmで、2mm以上の左右差があった場合も異常と判定します。

28:細隙灯顕微鏡検査

答えは4

  1. 90Dなどの前置レンズを用いることで眼底検査も可能です。
  2. 鏡面反射法はスペキュラ検査でも用いられており、角膜内皮の観察に適します。
  3. 青色フィルタではフルオレセイン染色の観察で用いる光で角膜表面の障害などの観察に適します。
  4. van Herick法は隅角の深さを推測する方法です。
  5. 前房の炎症細胞の観察のためにはスリット光を細めて光量を下げるほうが見やすいです。

29:疾患と瞳孔

答えは4

30:眼圧に影響する因子

答えは2?

近視眼は眼圧が高い傾向にあるとの論文はありますが、眼軸長が長い眼の方が眼圧が高くなるという論文もあり屈折値が直接眼圧に影響するのではなく、眼軸長が眼圧に影響しているだけと考えることも出来るので、あえて選ぶなら屈折を選びました。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19741246/

公式解答は血糖値になっていますが、血糖値については眼圧に影響するという明確な論文が出ています。
参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32210291/

あえて選ぶなら屈折が答えだと思いますが、あまり良い問題ではありませんね。

31:隅角検査

答えは4, 5

この問題は4も5も正解ですので採点除外問題となりました。

サルコイドーシス等のぶどう膜炎では周辺虹彩前癒着(PAS)が認められます。
また、隅角の狭さの評価にはscheie分類が用いられ、grade0〜Ⅳで評価します(グレードが高いほど隅角は狭い)。
一方で細隙灯での隅角評価のShaffer分類はgrade0〜4で評価しますが、グレードが高いほど隅角は広くなりますので間違えないように注意です。

32:同名半盲

答えは3

左視放線である③の障害では右同名半盲となります。

33:ERG検査

答えは5

暗順応中は真っ暗な部屋に患者にいてもらうので体調不良の際に発見が遅れてしまわないように注意が必要です。
一般的にまず暗順応を行い、杆体反応、フラッシュ検査をします。そして明順応後に錐体反応、フリッカ応答を評価します。
フリッカーは錐体機能を評価します。

34:3歳児検診

答えは5

35:患者確認

答えは1

36:リスクマネージメント

答えは5

37:接触感染

答えは1

アデノウイルスは眼科では結膜炎が有名で、眼をさわったあとにドアノブなどをさわり、そこを触った人が眼をかくと感染するといった経路の接触感染で広がっていきます。

咳などで感染するウイルスは基本的に飛沫感染で、インフルエンザや風疹、マイコプラズマは全てこれです。
飛沫感染のウイルスは基本的にはマスクで防ぐことができます。

飛沫よりも最も細かい粒子で感染するものを空気感染と呼びます。
試験で覚えるべきなのは結核、帯状疱疹、麻疹の3つです。
「けだまフワフワ空気感染」で頭文字をとって私は覚えています。

38:自覚的屈折検査

答えは2

39:眼瞼挙筋力検査

答えは4

削除問題となりましたが、正常値はきちんと覚えておきましょう。

挙筋力の正常は10mm以上です。
正常の平均値は15mm程度です。

40:網膜中心動脈閉塞症

答えは3

  1. 眼球運動時痛みはありません。視神経炎などで眼球運動時痛みを伴います。
  2. 視力は急激に低下します。
  3. 眼底のcherry-red spotが特徴的です。
  4. ステロイドは基本的に効きません。
  5. 血流が改善したとしても視力予後は悪いことが多いです。

41:硝子体手術の適応

答えは1, 5

42:球後視神経炎

答えは2, 5

球後視神経炎は視神経乳頭の発赤を伴わない視神経炎です。
中心暗点やフリッカの低下は通常の視神経炎と同じですが、視神経乳頭発赤は認めません。
球後視神経炎は通常よりも抗AQP4抗体陽性率が高く予後が悪い傾向にあります。

弓状神経線維が傷害されるのは緑内障です。

43:サルコイドーシス

答えは4, 5

  1. 前房蓄膿を認めるぶどう膜炎はベーチェット、急性前部ぶどう膜炎などが有名です。
  2. 口腔内アフタはベーチェットです。
  3. 樹枝状角膜炎は上皮ヘルペス。
  4. 豚脂状角膜後面沈着物はサルコイドーシスなどの肉芽腫性ぶどう膜炎にみられます。
  5. 両側肺門部リンパ節腫脹(BHL)はサルコイドーシス診断基準の一つです。

44:後部硝子体剥離

答えは1, 5

硝子体は網膜に強くひっついており、50〜60歳頃に加齢とともに硝子体が縮んでいき、それにともない網膜にひっついていた硝子体はずれていきます。
網膜の血管につよくひっついていた硝子体が外れる際に血管を破ると硝子体出血となりますし、網膜を破ってしまうと網膜剥離となります。

45:眼瞼下垂

答えは5

頚部交感神経麻痺ではHorner症候群を引き起こすので眼瞼下垂がみられます。
Horner症候群についてはこちらの記事を参照ください。

46:急性緑内障発作

答えは3

急性緑内障発作は隅角が狭い人が散瞳した後、縮瞳しはじめた時に隅角が閉塞して起こることが多いので、中等度散瞳状態で固定します。
ですので隅角が狭い患者に対して散瞳検査をした場合、検査時は緑内障発作は起こしませんが、薬の効果が切れた頃に縮瞳しはじめると発作を起こす場合があるので注意が必要です。

47:角膜障害

答えは2, 5

顔面神経麻痺では眼を閉じることが出来なくなり、兎眼という状態になるので角膜障害を引き起こします。

三叉神経は角膜の知覚を司っており、障害されると神経麻痺性角膜症という角膜障害を引き起こします。

48:細菌性結膜炎

答えは2

  1. 咽頭結膜熱:アデノウイルス
  2. 新生児膿漏眼:淋菌の産道感染
  3. 巨大乳頭結膜炎:アレルギー
  4. 流行性角結膜炎:アデノウイルス
  5. 急性出血性結膜炎:エンテロウイルス

49:視神経管骨折

答えは5

視神経管の中には視神経と眼動脈が通っています。
骨折では視神経障害を引き起こすのでRAPD陽性となります。

50:滑車神経麻痺

答えは1, 4

滑車神経は中脳の後ろで交差して上斜筋へ向かいます。
交通外傷などで頭部打撲があると滑車神経がクロスしている部分に衝撃が加わることで両側滑車神経麻痺を引き起こします。

  1. 上斜筋には外転作用があるので内斜視となります。
  2. 両眼外方回旋しているのでV型斜視となります。
  3. 両眼の内下転障害があります。
  4. 両眼同程度上斜視となるので正面視で上下偏位が無いので、疑わないと診断するのが難しいです。
  5. 下直筋には外方回旋作用があるので下方視で最大角度の外方回旋偏位となります。

51:牽引試験

答えは5

筋肉に異常がある疾患では抵抗がみられます。
外転神経麻痺は神経の麻痺なので抵抗はありません。

52:滑動性追従運動

答えは2

53:斜位近視

答えは1, 4

外斜位があるせいでまっすぐ見ようとすると輻輳性調節がかかってしまい、見かけ上近視となってしまう疾患で、眼精疲労の原因となります。
調節がかかるので縮瞳します。

54:fusion lock training

答えは5

55:自覚的屈折検査

答えは4

クロスシリンダーでは最小錯乱円を網膜上におきます。

56:斜視角の定量

答えは1, 3

1歳児では自覚的検査は出来ません。
乳幼児に対してはHirschbergやKrimskyで他覚的に評価をするのが有用です。

57:網膜対応検査

答えは5

58:斜視と固視

答えは4

59:内方回旋斜視

答えは1, 4

内方回旋斜視をなおすためには以下の治療が有効です

  • 上斜筋をゆるめる
  • 下斜筋を強める
  • 上直筋の内方回旋作用をゆるめるために鼻側へ移動
  • 下直筋の外方回旋作用を強めるために耳側へ移動

60:手術適応

答えは1

61:部分調節性内斜視

答えは4

62:内斜視

答えは1

角膜反射が右眼で耳側、左眼で中央なので内斜視を認めます。
右眼に赤フィルタを入れる、つまり右眼固視した状態で評価すると右眼では中央に赤色光源が見えます。そして左眼は内斜視となるので中央よりも左側に白色光源が見えます。
以上より白色光に対して赤色光は右に見えるはずです。

63:眼球運動障害

答えは1

  1. Weber症候群:片側の動眼神経麻痺と反対側の片麻痺を来す疾患です。
  2. Fisher症候群:急性の両側外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失を認める疾患です。
  3. Möbius症候群:先天性の外転神経麻痺+顔面神経麻痺です。
  4. Kerns-Sayre症候群:ミトコンドリア異常の疾患で、慢性進行性外眼筋麻痺+網膜色素変性症+心伝導障害を認めます。
  5. general fibrosis syndrome:先天性に両眼の外眼筋の線維化を認める疾患で眼瞼下垂を伴うものと伴わないものがあります。
    症状は非進行性で、筋の線維化により伸展障害が起こるため牽引試験は陽性、Bell現象は陰性です。

64:偏光レンズを使用する検査

答えは4, 5

65:斜視と治療

答えは5

  1. 斜位近視:基本的に外斜位なので外直筋を緩めるか内直筋を強めます。
  2. 外転神経麻痺:外転神経麻痺による内斜視の治療はややこしい名前がついたものが多く、Jensen法、Hummelsheim法、Schillinger法、稲富法、上下直筋全幅移動術などがあります。
  3. 間欠性外斜視:外直筋を緩めるか、内直筋を強めるのが基本です。
  4. 部分調節性内斜視:遠視矯正眼鏡での矯正が基本です。残った斜視角が小さければプリズムレンズを使ったり、大きな斜視角では手術を行ったります。
  5. 屈折性調節性内斜視:遠視矯正眼鏡が基本です。二重焦点眼鏡を使用するのは非屈折性調節性内斜視です。

66:プリズム効果

答えは3

プレンティスの式より
プリズム効果=中心からのずれ(cm) × レンズ度数の絶対値(D)

右眼は乱視度数が入っているので縦方向の屈折力は+3.0Dとなっています。
1.5cm×3.0D=4.5⊿ のプリズム効果があり、凸レンズなので下方視の場合は基底上方のプリズムと考えられます。

左眼はS面だけなので単純に1.5cm×1.0D=1.5⊿のプリズム効果があり、凹レンズなので下方視の場合は基底下方のプリズムと考えられます。

以上より上下に生じているプリズム効果の和は4.5+1.5=6.0⊿となります。

67:瞳孔緊張症

答えは4

明所での右眼の散瞳を認めます。
臨床的には動眼神経麻痺の除外が非常に重要ですが眼瞼下垂を伴っておらず、眼球運動障害もありません。
また、近見反応では縮瞳を認めており、近見反応-対光反射解離を認めていることから瞳孔緊張症です。
こちらのまとめ記事も参考にして頂ければと思います。

68:眼振阻止症候群

答えは5

左10°で最も眼振が落ち着いています。
左30°では左向きの波形を認めます。

69:色覚異常

答えは1, 4

1型2色覚という確定診断、及び異常の程度は強度であったということがわかっているので、確定診断が出来るアノマロスコープ、程度判定が出来るパネルD-15が答えです。

70:間欠性外斜視

答えは3

時々視線がずれるという主訴からも間欠性外斜視を最も疑います。

71:中心性漿液性脈絡網膜症

答えは2

眼底造影検査では漏出点を認め、OCTでは漿液性網膜剥離を認めます。
この疾患では漿液性網膜剥離がありますが、嚢胞様黄斑浮腫や網膜色素上皮の異常を伴わないのが特徴です。

糖尿病黄斑浮腫は網膜内層と外層の間に水が貯まる嚢胞様黄斑浮腫となりますので違います。
選択肢にはありませんが加齢黄斑変性症の場合は網膜色素上皮にも異常がみられるはずです。

72:虹彩新生血管

答えは5

画像では虹彩表面に新生血管(ルベオーシス)を認め、新生血管に引っ張られて瞳孔の部分が外反しており、ぶどう膜外反と呼ばれる所見です。
瞳孔縁が手前に反り返っており、虹彩の裏面の色素上皮が見えているため瞳孔縁が黒色の輪のように見えます。

虹彩新生血管は網膜全体が虚血となるような糖尿病網膜症や網膜中心静脈閉塞症などでみられます。

73:円錐角膜

答えは2

前眼部写真では中央〜下方が急峻な角膜のカーブとなっており、角膜形状解析ではaxial power画像が載っており、やはり同様に強い角膜の強いカーブによる屈折異常を示唆しています、axial power画像では赤くなっているほど角膜のカーブが急で近視が強くなります。

円錐角膜により角膜不正乱視により矯正視力不良となっていることが予想されますので、ハードコンタクトで矯正します。

74:有髄神経線維

答えは5

眼底写真より有髄神経線維です。
視神経は眼球内に入る際に、無髄線維となるのですが先天的に有髄のままとなってしまうことがあり、このように神経の走行に沿って白く見えます。
軽度なものは特に異常がありませんが、この症例のように眼底全体に渡る有髄神経線維では病眼の近視化を認め、不同視弱視の原因となることがあります。

眼底が白く見えるので網膜芽細胞腫なども考えてしまったかもしれませんが、隆起性の病変ではないことと、網膜芽細胞腫の場合はCT所見など石灰化がわかる画像が必ず出るはずです。

75:滑車神経麻痺

答えは4

Hess赤緑試験と、左に頭部傾斜をすると複視が増大するということから左滑車神経麻痺を疑います。
糖尿病の罹患歴と突然発症の病歴からは虚血もしくは脳梗塞が原因と考えられます。

MRI写真はそれぞれ以下のとおりです。
①外直筋
②下直近
③内直筋
④上斜筋
⑤上直近

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