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殺菌性と静菌性の抗菌薬
他の記事ではベータラクタム系と呼ばれる細胞壁を破壊する薬(ペニシリン、セフェム、カルバペネム)、核酸の合成阻害を起こすクラビットなどのニューキノロンについて書いてきました。これらの薬剤は殺菌性といって今いる菌を直接殺すことが出来るので即効性があります。
これに対してマクロライドやテトラサイクリン系の薬剤は細菌のタンパクの合成を阻害することでこれ以上増えていくのを抑えて、その間に身体の免疫が菌を排除するという薬で、静菌性の薬剤と言われます。
マクロライド系抗菌薬
眼科で使用する代表的なものはクラリスロマイシン(クラリス®)やアジスロマイシン(ジスロマック®)と思います。
クラリスロマイシン(クラリス®)
クラリスはマイボーム腺機能障害(MGD)などで使用されますが、これは抗菌薬としての効果では無く、クラリスの抗炎症効果を期待して使用されます。
マクロライドの抗炎症効果といえば呼吸器内科領域でびまん性汎細気管支炎などでマクロライド少量長期投与が行われるのが有名です。
ただ、海外での使用の比べて日本では量が少なすぎて耐性菌を生み出していると批判されていますので、MGDへのクラリス内服量については今後議論が必要だと思っています。
アジスロマイシン(ジスロマック®)
ジスロマックについては眼科ではクラミジアが重要です。
ジスロマックは時間依存性の薬で有効な濃度を保つ時間が長ければ長いほど効果がある薬ですが、半減期が長いため一回1g内服するだけで治療することが出来ます。
特にクラミジア感染を起こす人は服薬コンプライアンスも悪い傾向にあるので目の前で一回飲んで頂くだけで良いこの薬は使いやすいです。
クラミジア結膜炎を起こしている症例では効率に咽頭炎や尿道炎を併発するので内服治療で原因巣治療も忘れずにすることが大切です。
ちなみに淋菌などの別の性感染症を発症した際にもクラミジアの混合感染が多いので調べる必要があります。
アジスロマイシン点眼について
アジスロマイシンの点眼が発売されましたが、点眼による抗菌効果だけでなく、抗炎症効果で難治性のMGDによく効く例があるようなのでそちらも期待できそうです。