目次
眼瞼けいれんとは
眼瞼けいれんは眼輪筋が過度に反応してしまうことによって眼を閉じてしまう疾患です。
名前はけいれんとついていますが、顔面けいれんとは違って実際けいれんが起こるわけではなく、中枢性の瞬目の制御の障害です。
瞼がピクピクする症状を眼瞼けいれんと間違えられることがありますが、こちらは眼瞼ミオキミアです。
具体的には視床や大脳基底核、補足運動野、視覚野などが挙げられます。
眼瞼けいれんの症状
自覚症状としては以下のようなものがあります。
- 瞬きが多い
- 眼を開いていられない
- サングラス無しでは外を歩けない
- 眼の不快感
- ドライアイ
見た目的には目を強くつぶったような表情で、顔面の深い皺が特徴です。
ドライアイの鑑別疾患としても重要です。
特に不定愁訴の多い患者さんの中に一定数この眼瞼けいれんが紛れています。重症例では日常生活でもほとんど目を開けることができない場合もあり、眼球使用困難症という疾患概念も提唱されています。
眼瞼けいれんの原因
原因としては本態性、薬物性、症候性の3種類があります。
本態性では40歳以降の女性に多いです。
逆に40歳未満の患者では薬剤性(抗精神病薬やシンナーなど)が多いです。
診断のためには自覚症状(瞬きが多い、眼を開いていられない、サングラス無しでは外を歩けない、眼の不快感、ドライアイなど)と、後述の瞬目テストが有用です。
眼瞼けいれんの検査
瞬目テスト
瞬目テストの項目としては大きく3種類あります
- 軽い瞬目
軽い歯切れの良い瞬きをしてみる。 - 速い瞬目
出来るだけ速くて軽い瞬きをする。 - 強い瞬目
強く眼を閉じ、素早く開ける瞬きをする。
上記3つの出来具合を見て診断します。
軽症例では疑って瞬目テストなどをしてみないと診断出来ず、不定愁訴として片付けられている症例もありますので注意です。
眼瞼ミオキミアと眼瞼けいれんの鑑別にも有用です。
眼瞼けいれんの治療
治療としては、まずはドライアイなどへの対症療法を行います。
けいれんが強い例では、ボツリヌス療法が有効です。
効きすぎた場合には閉瞼障害による角膜障害や眼瞼下垂が出現することがあるので注意です。
薬剤性の眼瞼けいれんの場合は原因薬剤の減量が必要です。
特に日本で濫用されているベンゾジアゼピン系の眠剤が眼瞼けいれんを悪化させることが報告されているので必ず薬剤歴を確認し、精神科や内科との連携が必要です。
羞明が強い患者に対しては軽減目的に遮光レンズを用いた眼鏡が有効です。
上眼瞼をひっぱるためのクラッチがついたクラッチ眼鏡を併用すると瞬目のコントロールができる場合があります。
内服治療としては、抗けいれん薬や抗不安薬が有効な可能性も言われていますが、それらの薬剤により薬剤性の眼瞼けいれんを誘発する可能性もあるので、治療希望の強い症例ではやはりボツリヌス療法が第一選択になると思います。