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角膜周辺部に潰瘍形成する疾患
角膜周辺部に潰瘍を形成する疾患は大きく分けて細菌によるものと、自己免疫性のものに分けられます。
細菌による角膜周辺部の潰瘍
細菌自体が原因ではなく、瞼の感染に対する角膜のアレルギー反応が原因となっています。
具体的には黄色ブドウ球菌による眼瞼炎に対するアレルギーではカタル性角膜潰瘍、p.acnesによるマイボーム腺炎に対するアレルギーでは角膜フリクテンを引き起こします。
これらの疾患は角膜の浸潤病変が主体で、潰瘍はあまり深くありません。
自己免疫性の角膜周辺部の潰瘍
自己免疫性のものでは関節リウマチやWegener肉芽腫症に合併する周辺部角膜潰瘍と、関節リウマチ等の基礎疾患をもたない患者に同様の角膜潰瘍を引き起こすMooren潰瘍があります。
これらの疾患は細菌によるものと違って角膜の浸潤所見は軽度で潰瘍が深いのが特徴です。
進行性に潰瘍が深くなり穿孔することもあるので注意が必要です。
透明帯について
細菌によるものと自己免疫性のものを見分けるために重要なのは透明帯の有無です。
角膜潰瘍と輪部の間に正常な角膜がある場合、そこを透明帯と呼びます。
細菌による角膜周辺部の潰瘍では眼瞼炎に対するアレルギー反応なので瞼が角膜に当たっている部分に潰瘍が発生するので、輪部と潰瘍は直接つながっておらず透明帯を形成します。
一方、自己免疫性の周辺部潰瘍は周辺部の血管から免疫反応が直接角膜を攻撃するので輪部と潰瘍は繋がっており、透明帯はありません。
注意点
リウマチ因子の有無やANCAなどの自己抗体の有無だけで関節リウマチやWegener肉芽腫症の診断をすることは出来ませんので透明帯の無い周辺部潰瘍を見た際には関節症状などを含めて一通りの膠原病科的精査が必要です。