こんにちは!眼科医ぐちょぽいです!
本日はBielschowsky頭部傾斜試験について勉強していこうと思います。
患側に頭を傾けた時に患眼が上転することはよく教科書に記載されていますが、その原理までは理解出来ていない方もいらっしゃると思いますのでこちらの記事をお読みいただければと思います。
眼の回旋作用について
まず頭部を傾斜した時の眼の動きのイラストを載せます。
回旋の具合がわかるように12時に印をしています。
図にあるように右へ傾斜した際には12時が上方にくるように右眼は内方回旋、左眼は外方回旋します。
ですので左側のバツをしている図のように回旋が起こらずに顔を傾斜しているわけではありません。
頭部傾斜試験では、上斜筋麻痺がある時に患側に傾けると患眼が上転するというように覚えたと思います。
これを説明するためには、まず復習ですが眼球の内方回旋作用がある筋は上斜筋と上直筋、外方回旋作用がある筋は下斜筋と下斜筋ということを思い出してください。
右上斜筋麻痺の場合を考えると、図のように右へ頭部傾斜すると
左眼は外方回旋し、右眼は内方回旋しようとしても上斜筋麻痺のせいで回旋出来ず、代わりに内方回旋作用のある上直筋が収縮するので回旋するだけでなく右眼が上転してしまいます。
ここで考えていただきたいのが、外方回旋でも同じことが言えるのかということです。
下斜筋は動眼神経支配のため単体で障害されることは非常に稀なのであまり知られておりませんが、左下斜筋が単独で障害を受けた場合には右側へ頭部を傾けると左眼が外方回旋することが出来ずに下直筋が収縮して左眼が下転します。
以上のことをまとめると右側へ頭部を傾けた場合に上下に眼位がずれた場合には、右上斜筋麻痺もしくは左下斜筋麻痺の可能性を考慮する必要があります。
ただ単に検査結果を覚えるのではなく、理論を理解することで一生忘れない知識が付くと思っておりますので、少しでも理解の手助けになればと思います。
それでは本日はこの辺で。