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東洋眼虫による結膜炎とは
結膜に東洋眼虫という寄生虫が寄生することによって引き起こされる結膜炎です。
流行地域でなければ出会うことは非常に稀だと思いますが、原因不明の慢性結膜炎として見過ごされている症例もありますので、疑った際には翻転して結膜を丁寧にみる癖をつけると良いと思います。
寄生虫感染症において大切なこと
そもそも寄生虫の勉強って学生の時や研修医を含めてもほとんどやったこと無い方が多いのでは無いでしょうか?
寄生虫を勉強する際に一番大切なことは、以下の二つがあります。
- 生息域を知ること
- 生活環を知ること
東洋眼虫の生息域
東洋眼虫はパキスタン、インド、ミャンマー、タイ、中国、韓国など名前の通り東洋に多いです。
日本では西日本(特に熊本、大分、宮崎)に多いです。
寄生虫といえば宮崎が有名ですね。
東洋眼虫の生活環
生活環というのは寄生虫の一生についてです。
たいていの寄生虫は生まれてから中間宿主によって運ばれて終宿主に住み着くという流れになります。
東洋眼虫はショウジョウバエ科のメマトイという虫が中間宿主、終宿主はイヌやネコです。
メマトイがイヌや猫の涙を舐める際に幼虫を同時に摂取して体内で発育して成虫を再びイヌやネコの結膜へと運びます。幼虫が成虫になるのに1ヶ月程度かかります。
そして感染したイヌネコとの接触によりヒトの結膜へ成虫が住み着くことで結膜炎を発症します。
東洋眼虫による結膜炎の症状
自覚症状は異物感、結膜充血、流涙、眼脂などの一般的な結膜炎症状を呈します。
東洋眼虫による結膜炎の治療
治療としては点眼麻酔をして鑷子で全ての成虫を取り除きます。
点眼麻酔をすることで虫体自体の動きを鈍らせることができます。また、東洋眼虫は結膜嚢の奥へと逃げる傾向があるので注意深い観察が必要となります。
一度見つけたら4〜5匹いることが多いので全てを取り除きます。