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猫ひっかき病とは
猫ひっかき病はグラム陰性桿菌のBartonella henselaeによる感染症で、猫の爪や口に存在しており、引っ掻き傷や咬傷からヒトに感染します。
猫ひっかき病の症状
全身症状
典型例では感染から1〜2週間後に感染部位の皮膚に赤色の丘疹が出てきて、さらに1〜2週間後に発熱、リンパ節腫脹と圧痛などの症状があらわれます。
眼症状
大きく分けて2種類あり、結膜炎が5%、視神経網膜炎が1%程度に合併すると言われております。
眼症状の出現は発熱から2週間前後が多いようです。
結膜炎は眼脂、結膜充血、眼瞼腫脹といった一般的な結膜炎所見のほかに、瞼結膜に大きな濾胞を形成することとリンパ節腫脹の程度が強いことが特徴です。
この結膜炎所見と同側の所属リンパ節の腫脹を合併している場合にParinaud眼腺症候群と呼ばれます。
また、視神経炎網膜炎を伴うこともあり、亜急性の視力低下や視野異常を来します。
猫ひっかき病の検査所見
眼底所見
検眼鏡的には視神経乳頭の発赤腫脹と黄斑部に星芒状の硬性白斑を伴うのが特徴的です。
このような視神経炎様の所見と網膜炎を伴うような眼底を見たときには、この猫ひっかき病や梅毒などの感染性のぶどう膜炎を想起します。
抗体検査
検査のためにらバルトネラの抗体を測定しますが海外へ送るので2週間程度かかります。
猫ひっかき病の治療
治療に関しては、基本的に予後良好なので無治療で経過観察することもあります。
全身症状に応じて抗菌薬投与を行います。
眼症状に対しては基本的に経過観察です。
結膜炎の症状がきつければフルメトロンなどの弱めのステロイド点眼からはじめて経過をみながら調整します。
視神経網膜炎に対しては1〜2ヶ月で自然治癒しますが、視力低下が著明な例ではステロイドパルスなどが行われることがありますがコンセンサスは得られておりません。