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瞼の解剖
血管系の解剖の記事でも書きましたが解剖は頭で覚えるだけでなく、必ず自身で白紙の紙に一から書くことで知識として定着します。
上眼瞼の解剖
眼窩隔膜について
瞼では眼窩骨の縁から瞼板にかけて眼窩隔膜という薄い膜があります。
それよりも前方か後方かで上眼瞼の前葉と後葉が分けられます
前葉には眼輪筋やMoll腺、Zeis腺があります。
後葉には瞼板上眼瞼挙筋やMuller筋、結膜などがあります。
臨床的にこの眼窩隔膜が出血や感染の拡大を食い止める役割として重要で、蜂窩織炎の際には眼窩隔膜より前方で食い止められていた際には外来内服治療が可能なのに対して、眼窩隔膜を超えて眼窩蜂窩織炎となっていた場合には髄膜炎への波及の可能性もあるため原則点滴入院加療が必要となります。
マイボーム腺
マイボーム腺は眼瞼に存在する脂腺です。
分泌される脂質(meibum)はワックスエステルとコレステロールエステルで構成されます。
下眼瞼に比べて上眼瞼に多く内麦粒腫や霰粒腫の原因となります。
Zeiss腺
Zeiss腺は睫毛の毛根部にある脂腺です。
Zeiss腺の感染により外麦粒腫が起こります。
Moll腺
Moll腺は睫毛の毛根部にあるアポクリン汗腺です。
Moll腺の感染により外麦粒腫が起こります。
副涙腺
Krause腺とWolfring腺というものがあり、各々開口部が違います。
- Krause腺は上下結膜円蓋部に開口
- Wolfring腺は上眼瞼の瞼板上部に開口
Muller筋について
Muller筋は平滑筋で交感神経支配のため、ホルネル症候群では交感神経障害に伴いMuller筋が緩むことが眼瞼下垂の原因の一つといわれます。
逆にバセドウ病で甲状腺機能亢進では交感神経が強くなりMuller筋の過収縮により眼瞼後退が起こると言われています。
また、甲状腺機能は正常で、バセドウ眼症だけのeuthyroid gravesの場合でも眼瞼の進展障害によるグレーフェ徴候が見られますが、これはMuller筋ではなく上眼瞼挙筋の炎症による伸展障害が原因と思っています。
参考文献
眼の解剖については上記の書籍が最もまとまっており、見やすいように感じました。
ブログの内容以上に知識を深めたい方は是非ご一読ください。