目次
色覚とは
人間の眼には赤、緑、青の3色を感知する錐体細胞があります。
これらの3種類の錐体細胞の反応具合によって、我々は違った色を認識することが出来ており、全ての細胞が反応すれば白く、全く反応しない場合には黒く見えます。
光の波長による色の違い
可視光は波長によって色が変わり、赤は558nm、緑は531nm、青は419nmとなります。
赤より波長が長いと赤外線、青より短いと紫外線と呼ばれます。
色を感知する錐体の名称
各錐体には感知する波長に応じて下記の通り名前がついています。
- L錐体(large):赤を感知する
- M錐体(Middle):緑を感知する
- S錐体(short):青を感知する
色覚異常について
色覚異常とは、上記の錐体細胞の障害が起こることによって起こります。
そしてどの錐体に異常があるかによって名前が決まっています。
- 赤の錐体に異常がある=1型
- 緑の錐体に異常がある=2型
- 青の錐体に異常がある=3型
1型色覚異常 | 2型色覚異常 | 3型色覚異常 |
赤(波長558nm) | 緑(波長531nm) | 青(波長419nm) |
L錐体(Long) | M錐体(Middle) | S錐体(Short) |
色覚異常の分類
一つの錐体細胞に異常があるものの、3種類の錐体細胞を持つ場合は異常3色覚と呼びます。
例えば赤錐体に異常があれば1型3色覚という名称となります。
一種類の錐体細胞を持っていない場合には2色覚と呼びます。
赤錐体に異常があれば1型2色覚という名称となります。
これとは別に1色覚というものがあり、1種類の錐体細胞のみを持つ錐体一色覚、全ての錐体細胞を持っていない桿体一色覚などがあります。
異常3色覚と2色覚を比べると2色覚の方が重症度は高いことが多いですが、個人差があり、症状は非常に似ています。
ですので1型3色覚と1型2色覚をまとめて1型色覚異常と呼ぶ場合もあります。
色覚異常の遺伝形式
1型及び2型色覚異常
1型と2型色覚異常はともにX染色体劣性遺伝で、先天赤緑色覚異常と呼ばれていました。
X劣性なので圧倒的に男性に多く、有病率は男性5%、女性0.2%です。
ちなみに保因者の頻度は10%程度です。
3型色覚異常
3型色覚異常は後天性のことが多いです。
後天色覚異常の原因としては加齢や網膜障害(CSCなど)など様々です。
錐体1色覚
X染色体劣性遺伝です。
色覚異常の見え方について
1型だと赤が見えないとか、赤色が○○色に見えるなど様々なイメージがありますが、一般的な赤緑色覚異常でも、赤は赤に見えますし、緑は緑に見えます。
では何が異常かというと、以下のような症状が見られます。
- 色の境目が正常と比べて曖昧になる。
- 全体的に暗く見える。
例えばグラデーションを見た時に10段階くらいに分かれているものが、色覚異常があると7段階にしか分かれていないように見えたりします。
見えにくい色の組み合わせの例
- 赤と緑(黒板に赤のチョークで書いた字が読みにくい)
- 赤と黒(黒と赤のボールペンの違いがわかりにくい)
- 青と紫(ぷよぷよの青と紫がわかりにくい)
- ピンクとグレー
- 水色とピンク
色覚異常によって制限を受ける職業
職業的な制限としては、パイロットや船舶関係、鉄道運転士、自衛官などの色覚の制限がある職業は難しいです。
また、料理人など色で鮮度を見分ける必要のある職業などは難しい場合があります。
他には色が重要な職業(塗装業や芸術家、カメラマン、デザイナーなど)は困難を生じやすいですが、色覚異常があっても活躍している人も多数いらっしゃいますので一概には言えません。
色覚異常の診断の際にはご家族は将来のことを最も心配されますのでこういった知識も持っておく必要があります。
色覚異常の検査
アノマロスコープ
1型、2型色覚異常の確定診断に用いられる検査です。
上図のように正常色覚では1点以外では等色しませんが、2色覚では混色の全域で等色します。
1型色覚異常では赤色が暗く見えるため2型色覚異常より傾きが大きくなります。
仮性同色表
正常色覚患者と、色覚異常患者では見え方が違って見える指標を用います。
基本的には赤緑色覚異常があるかどうかのスクリーニング検査です。
例えば、正常色覚では8に見えますが赤緑色覚異常患者では3に見える指標などがあります。
仮性同色表では3型色覚異常はスクリーニングにひっかかりません。3型をスクリーニングするためには標準色覚検査表2部(SPP-2)などの検査があります。
ちなみにSPP-1は赤緑色覚異常のスクリーニング表、SPP-3は1部と2部が半々に入っています。