医師や視能訓練士として働いていると、論文を読んだり学会で発表をするにあたって、英語を必要と感じたことは誰でも一度はあると思います。
この記事の対象読者は以下のような方です。
- 英語を見るだけで読む気が失せる
- 論文はすべてgoogle翻訳
- TOEIC800点以下レベル
英語を勉強して、海外留学へ行って現地でバリバリ活躍していきたい!
というような高い意識の方はおそらく僕よりも既に英語が喋れると思いますのでこの記事の読者には想定しておりません(笑)
具体的な英語勉強法を先に知りたい方は目次から英語学習ロードマップへ飛んでいただければと思います。
目次
本記事の内容
・英語を勉強するメリット
・効率的な英語の勉強法
・英語の勉強をしたその先に
を解説していきます。
英語の勉強は僕自身も学生時代から何度も挫折し続けてきましたが、100日間本気で勉強することでTOEICの成績が400→860まで成長することが出来ました。その経験から同じように英語勉強に挫折してきた方に役立つ情報を発信できればと思います。
英語の勉強の目標とメリット
英語勉強の目標
普通に日本で働きながら、知識や技術を磨いていきたいと考えている医師や視能訓練士の方はまずTOEIC 800点を目指すべきだと思います。
「TOEICで高得点が取れても英語はしゃべれない」「TOEICを受けるのは世界で日本と韓国だけだ」などと言われますが、実は日本語や韓国語と英語は言語の構造上非常に離れているためにそもそも英語を学習するスタートラインが他言語を使う人とは全然違います。
ですので我々日本人が英語勉強をはじめる上で、効率よく勉強したり自身の英語を読んだり聞いたりする力を測る最も適した試験がTOEICと言えます。
さらに英語力を伸ばしたい人はTOEIC800点レベルを超えてからTOEFLやIELTSなどの試験へとステップアップしていけば良いと思います。
TOEIC800点レベルで出来ること
・中学高校で学ぶ英文法や英文読解といった基礎的な内容を確実に理解している。
・TOEICテストレベルのリスニングはほとんど聞き取れるが一般会話や映画を英語で聞き取るのは難しい。
・英語を読んだり、英語で調べることに抵抗が減る。
正直これだけしか出来ないの?と思ったのではないでしょうか。
しかし最後の英語を読んだり調べるという行為へのハードルが下がることが非常に大切で、早い段階でわからないことや珍しい症例について英語で調べる癖をつけられれば、その後の人生の成長率は段違いとなります。
英語勉強のメリット
・英語の論文を読むハードルが下がる。
・困った疾患等についても英語で調べると圧倒的に情報量が多くなる。
・海外学会でも少しは理解出来るようになる。
日本語で調べても全くわからなかったことでも、英語で情報検索をするだけで簡単に解決することが多数あります。
困った症例や臨床での疑問について英語で調べる癖を早い段階でつけることで、その後の成長スピードが圧倒的に変わります。
英語の勉強をしなくてもgoogle翻訳を駆使して調べることは出来ますが、やはり心理的にハードルがあってあまり英語の論文を調べたりはしていないのでしょうか?
なんとなくは調べた英文が読めて、調べることのハードルも低くなるラインがTOEIC800点だと感じていて、そのための英語勉強法としてはTOEICが最も効率良いと思います。
英語勉強ロードマップ
まずは自分のレベルを知ることが重要です。以下にざっくりとレベルの目安を書いておきます。
400点以下:中高では英語が苦手で英文を見るだけでアレルギー反応が出るレベル。
400〜600点:中高レベルの文法や単語は理解出来るレベル。海外旅行でも日常会話はなんとなくできる。TOEICの平均点は580点程度。
600〜800点:中高レベルの英語はマスターしている。ある程度英語の勉強が継続出来てかつTOEIC対策をきちんと行えばこの点数帯に入れると思います。800点が一つの壁になります。
800点〜:英語へのアレルギーがかなり緩和され、リーディングは全て解ききることができ、リスニングもほとんど聞き取ることが出来るレベル。
正確な自分のレベルを把握するには、どれでもいいので是非TOEICの公式問題集を時間を測って解いてみてください。
2時間の時間を測って解いてみると、初めのうちは時間が足りないはずです。
TOEICの試験は800点レベルの人がギリギリ解き切ることが出来るように出来ていますので時間内に間に合うようになるのが一つの目標です。
自身の現在のレベルを知ることが出来たと思いますので、以下に点数レベル別の勉強法を書いていきます。
TOEIC400点以下の場合
400点以下の場合はまず基本的な英単語や英文法の復習で英語の土台を整えるのが大切です。
以下の3冊をきちんとやり終えられれば400点は超えられるはずです。
英単語
僕個人は上記のターゲット1900を使っていましたが、英単語は絶対にコレ!というものはなく、「システム英単語」や「DUO3.0」など自分が高校時代に使い慣れたものがあればそれでも大丈夫です。
大切なのは1冊をやりきることです。
英文法
英文法に関しては中学1年生の内容から復習するのが良いと思います。
僕自身も読んでみると意外と忘れている所がありましたし、日常英会話で使用する英文法は中学範囲で多くを網羅しています。
特に3冊目の中学レベル完結編は難しい内容もありますが、この内容が理解できれば一般的な文章を読む程度でしたら文法で困ることは無いはずです。
TOEIC400〜600点の場合
英語の勉強をはじめた際の第一の関門は600点だと思います。
この点数帯の方も、英語を学び直すという場合は復習も兼ねて400点レベルまでで紹介する書籍をクリアしてからこちらへ進むのをオススメします。
文法や英単語といった基本的な能力を伸ばしていくだけでなくTOEIC対策のための勉強もはじめていく必要があります。
TOEIC対策アプリ
600点以上へ最短最速で到達するにはこちらのアプリでの学習が最適でした。
詳しい使い方や登録法についてはこちらの記事をお読みください。
ただし基礎的な語彙力や文法がわかっていない状態だと難しいので、その場合は上記書籍を学び直すことをおすすめします。
※現在記事執筆中
英単語
TOEICのための英単語としてはこれが最強です。
単語帳としてはこれ1冊で900点レベルくらいまでカバー出来ており、実際TOEICで使用される単語や例文のみで構成されています。
TOEICで使用される語彙は実際のビジネスや日常会話で使用頻度の高いものが選ばれているので英語全般の勉強としても有用です。
TOEIC600〜800点の場合
スタディサプリTOEICと金のフレーズだけでも800点レベルに達することが出来る人もいます。
しかし、英語学習の目的はTOEICで高得点を取ることではなく、英語を使えるようになることですので確固たる英語の力を身につけるために有益な勉強法をここでは紹介します。
シャドーイング
シャドーイングが有効ということは一度は聞いたことがあると思いますが、正しい方法で行わないと効果がありません。
シャドーイングで得るべき能力はnativeの英語スピードやイントネーションに慣れるということです。
具体的なやり方としては、3分程度までの英語のスピーチを1つ決めてそれを徹底的に繰り返しシャドーイングするという方法です。
決めた文章については完全に英文法や単語もわかる状態にした上で、ただなんとなくスピーチの後について読むのではなくイントネーションや声のトーンなど全てを完全にコピーするつもりで繰り返すのが大切です。
イメージとしては歌を完全モノマネで練習するのと同じで、そのスピーカーになりきるつもりが良いです。
100個の文章を1回ずつやるよりも1つの文章を100回繰り返す方が確実に効果がありますので騙されたと思って試してみてください。
シャドーイングの正しいやり方を知るためにはこちらのK/Hシステムが最もわかりやすいです。
基本編がメインとなりますが、はじめは難しいのでK/Hシステム0を1冊やりきって雰囲気を掴んだ上で、K/Hシステム1基本編を徹底的にやり込むと良いです。
K/Hシステムでシャドーイングをやり込むとリスニングで聞こえる世界が一変しているはずです。
そこからさらにレベルアップするには有名な英語のスピーチをコピーするのが良いと思います。
僕自身は上記のsteve jobsのスピーチを全てwordに書き出して、アクセントを全て書き込み、シャドーイングをやりまくっていました。少し長いので短く分けて一つずつ練習しました。
リスニング
シャドーイングの練習が適切にできているとリスニング能力も上達していると思います。
しかし、それだけではまだ足りません。
英語のリスニングはかなり勉強したつもりでもなかなか能力向上を実感しにくいと思います。
その理由は圧倒的にリスニング時間が足りていないことが多いです。
最低限リスニングの能力向上を実感するには100時間程度が必要と言われています。
アメリカの赤ちゃんは3歳頃には自然と英語を理解して英語を話すことが出来ていますが、実は生まれてから3歳までに9000時間程度のリスニングをしています。
ですので継続してリスニングを続けることが重要で、通勤時間や移動時間に常にイヤホンでリスニングをする習慣をつけるのが良いと思います。
聞くのは好きなスピーチや海外ドラマなど何でも良いですが、自分がほとんど理解できないほど難しいものは避けた方が良いです。
特に聞きたいものがなければNHKのラジオが非常に有益なのでおすすめで、僕自身が毎日聞いている放送を載せておきます。
・ラジオ英会話
・ボキャブライダー
・エンジョイ・シンプル・イングリッシュ
・英会話タイムトライアル
・ラジオビジネス英語
TOEIC公式問題集
TOEIC問題のための最も良質な問題は公式問題集です。
様々なTOEIC用の問題集というのはありますが、そのようなものに手を出す前に公式問題集を満点が取れるまで繰り返す方が良いと思います。
具体的には僕自身は時間を測って公式問題集を解いた後は、採点時に自分がわからない単語や熟語をまとめた単語帳を作ったり、聞き取れなかった英文は何度もシャドーイングをして自分で使えるレベルにまで落とし込みました。
TOEIC攻略のテクニック
TOEICの勉強はあくまで自分の実力を上げるためですが、どうせ受けるなら良い点が取りたいですよね(笑)。
そこでコストパフォーマンス良く点数を上げられるテクニックが満載のこの一冊を最後に紹介します。
英語の勉強をしたその先に
TOEIC800点レベルに到達すればそこで終わりではなく、ここからがスタートです!
これからは英語「を」学ぶのではなく英語「で」学んでいくステージです。
英語を読むということの抵抗感はかなり薄れてきたはずですので、積極的に英語論文や英語の教科書を読んでいきましょう。と言われても何からはじめれば良いかわからないと思いますので眼科医・視能訓練士向けに何冊か紹介しておきます。
他科の先生が読んでくださっている場合は自身の領域の英語の入門書などから読み始めると良いと思います。
Ophthobook
https://timroot.com/ophthobook/
こちらはオンラインで読める英語の眼科入門書です。
いきなり自分の知らないことを英語で調べるのは難しいですし、眼科で必要な語彙力も不足していると思いますので、このような眼科入門書で英語で眼科を学ぶということに慣れつつ、知らない語句をまとめた単語帳を作りながら読んでみるのが良いと思います。ちなみに内容も非常にわかりやすい良書です。
紙媒体が良ければamazonからpaperbackを購入することも出来ます。
Kanski’s clinical ophthalmology
眼科全般が豊富な画像とともにまとめられた一冊です。
1000ページ程のボリュームがあるので通読というより適宜出会った疾患を調べるという使い方が良いと思います。
日本の本と違って洋書は紙の本を買ったとしても、スマホやiPadで読めるシリアルコードがついてくるのでいつでも調べることが出来て便利です。
僕もまだまだ英語の本は読めていないですが、調べていくと読みたい本がたくさん見つかり、読んでいくのが楽しみです。読めば読むほど速度も上がりますし、英語へのストレスも減っていきますので論文も積極的に調べていきましょう。